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第六話 対決!!○○○○!!

あけましておめでとうございます。

はい、本編最新話です、ええ。

先ほどは申し訳ありませんでした。

本日二度目の更新なのでぜひ前の話から読んでください。(本編には関係ないのですが)

ちなみに今回、視点変更が二回ほどあります。気を付けてお読みください。


 職場体験2日目の朝が訪れた。

 昨日のようにギルドに向かう。


「おはようございます。『閃光』の皆さんは?」


「本日はおやすみでございます。」


「え?」


「伝言を預かっております…『すまない!二人とも!僕たち今日は教えることができないから、適当に薬草採取の依頼でも受けててくれ!』…とのことです。」


「わ、分かりました。」


 なぜこの受付の人は物まねをしたのか。微妙に似てたし。


 さて…どうしたものか…


「どうする?カーム?」


「うーん、とりあえず言われた通り薬草採取にいきましょ。」


 とのことだったので依頼を受けに行く。


「この依頼をお願いします。」


「はい、分かりました。」


 特に何も無かった。若干、チンピラに絡まれる的な展開を期待したのだが……


「じゃあ、草原に行こうか?」


「うん。」


 こうして二人で草原に向かった。

 草原は街の門を出ればすぐなので歩いてもそう時間はかからない。

 僕とカームは話をしながら街中を歩く。


「クリンゲルのお父さんとお母さんは有名人なんでしょ?」


「ああ、そうらしいね。」


「凄いな~、会ってみたいんだけど、いいかな?特にお父さんに。」


「ああ、じゃあ今度の休みに僕ん家でパーティーでもするか?」


「…うん!そうしよ!」


 友達誘ったら父さんのしごきは無くなるだろう……多分。


「あ!あれが薬草かな?」


「…みたいだね。取ろうか?」


 草原に着くなり薬草採取を始める。そこら中にあることを見ればそれほど珍しいものではないようだ。


「…ねえ、クリンゲルってさ、今何歳?」


 ふと、思い出したようにカームが尋ねてくる。


「え?9歳だけど?」


「え!?ホントに!?」


「なんでそんなに驚いてんの?」


「私たちは大体の人が12歳くらいなの。」


「は?マジ?じゃあ僕は年上にタメ口を…」


 これはかなり予想外だ。知らぬ間に失礼を冒していたかもしれない。


「ああ、それはいいの。でも意外だなぁって。」


「なんで?」


「えっとね、背は少し小さいけどしっかりしてたから私たちと同じくらいの年齢なのかなぁって思って。」


「ああ、そうなんだ。」


 マジかよ、僕はなんてところに放り込まれんだ……


「でも、年下だけどさ…」


「ん?」


「…なんでもない!」


「はぁ?なんだよ、教えてくれよ。」


「ううん、何でもないの!早く依頼を終わらせよう!」


「お、おう…」


 なんなんだろうな? もしかして僕に惚れたのか?


「もしかしてさ…僕に惚れたの?」


「!?…バカッ!そんなわけないじゃん!」


 顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。

 そんなに怒らなくても…


「ごめんって」


 いくら謝っても聞いてくれない。

 どうやら今回は許してもらえそうにないな。



 ☆



 1時間ほど採取して僕たちは王都に帰った。


「いやぁ、大漁大漁!!」


「そうね!」


 僕たちは少し早いがギルドを出た。報酬?もちろん全部カームのものさ!


 カームの機嫌も直って僕たちは昼食をとることになった。


 どこにしようか?と悩んでいると美味しいにおいが辺りに広がっていることに気付いた。


「いい匂いだ…ここからか?」


 その匂いをたどると大衆食堂の『巨人のステーキ』という店を見つけた。


「ここに入ってもいい?」


「うん!いいよ!」


 カームもこのにおいに食欲を刺激されたようだ。


「…いらっしゃい。」


 そこには巨人がいた。なんで?店の店員には怪物を雇うのが一般的なのか?


「あ、あの2人分の席ってあります?」


「ああ。奥のテーブルに座ってくれ。注文があれば呼んでくれ。」


 それだけ言うとおじさんは厨房に入っていった。


 僕たちはメニューを開く。


 ダメだ。どのメニューも旨そうで考えられない。


「どれにしよう?」


 カームも目を輝かせている。


 少し悩んだ後、僕は『巨人のステーキ』と『海神のスープ』を頼んだ。


 カームは『天空のリゾット』を注文したようだ。


 …この店のメニューの名前はいちいち壮大で凄いことになってそうだ。


 数分カームと話をしていると2人分の料理が運ばれてきた。


 僕たちは目の前の料理に目を奪われ、話を中断した。


 まず驚いたのは、凄まじいまでのボリューム。特に『巨人のステーキ』は圧巻の大きさで、分厚くて、高さでいうと5㎝はある。


 しかし、そんな大きいのに『食べられそうにない』という気持ちは微塵もわいてこない。

 なぜなら、嗅覚を直接刺激してくるスパイシーな香りが食欲をこれでもか!というくらいに増進させているからだ。


「ねぇ、クリンゲル、早く食べよう!」


「ああ!いただきます!」


 口早にそういうと僕はまずステーキに齧り付く。


 口の中に香辛料の辛味と肉のジューシーさがあふれる。


 ひと嚙みするごとに肉汁があふれてくるのに、のどにまとわりつく肉独特の感触はなく、もっと食べたくなってくるような味だ。


「うんめぇぇぇ!!!」


 次に『海神のスープ』に手を付ける。


 スプーンですくって少し息で冷まして飲む。


 その瞬間、何とも言えぬ魚介の旨味が口の中に充満する。


 しかしそれでいてこちらはさっぱりしていて、柑橘系のさわやかさを感じることができる。


 もしかしたらここの料理はトップレベルのおいしさなのかもしれない。そう思えるほどに素晴らしい味だった。


 ちらりとカームの方を見ると笑顔でパクパクとリゾットを食べていた。


「ご馳走様でした!!」


 食べ終えた僕たちは大きい声で礼を言って店を後にした。


「美味しかったね?」


「うん!」


「また今度一緒に来ようか?」


「!うん!」


 そういってカームは飛び切りの笑顔を見せた。


「あ…」


 僕はなぜか頬が熱くなるのを感じ、顔を逸らした。


 そうして2人の職場体験2日目は終わりを告げたのだった。



 ☆



 3日目の朝がやってきた。ついに職場体験最終日となってしまった。

 僕はカームと一緒にいつも通りギルドに入っていった。

 すると今日はやけに中が騒がしいことに気付く。受付の人に何があったのか聞くと、


「今日の早朝、竜種の目撃情報があったため、緊急討伐依頼を出しているのです。」


 とのことだった。

 どうしようか……と悩んでいると、後ろから声をかけられる。


「やあ、君達、ちょっと手を貸してくれ!」


 誰かとも思ったが、『閃光』の皆さんだった。


「何を手伝うんですか?まさか…」


「ああ、そのまさかさ。ドラゴンの討伐だよ。」


 やっぱりか……ドラゴンはとても強靭な種族で高い知能を持ち古龍エンシェントドラゴンになると人語を話すことができる個体もいるようだ。

 下位種でも国のエリート兵たちが100人いないと倒すことができない。とさえ言われている。正直それも眉唾物で100人いたところで蹴散らされるのが目に見えている。


 なんで僕はこんなに面倒ごとに巻き込まれるんだ?あ、母さんの血だな。

 多分あの人は行く場所ごとに面倒ごとに巻き込まれていたに違いない。


「手伝ってくれるかい?」


「いや、ちょっと身の安全を――」


「報酬は弾まれるよ。」


 なん……だと……?


「やります。」


「えぇ……」


「良いからやるの!」


「う、うん。」


 僕の有無を言わさぬ態度にカームも覚悟を決めたようだ。

 僕たちは討伐隊の皆さんと共に馬車に乗り込み目撃証言のあった森に向かう。

 道中で、カームが不安そうな顔で、


「大丈夫かなぁ…」


 と呟く。此処は男として励まさなければ。


「大丈夫!僕が君を守るよ!」


 とか物語的なかっこいいセリフが言いたかったけど、そんな度胸は無いので、


「大丈夫さ。僕がついてる。」


 といった。

 あれ?あんまり変わってなくないか? なんだか恥ずかしくなってきたぞ?

 その後、カームは顔を真っ赤にして僕の腕を殴ってきた。

 な、なんでだ……?


「よし!みんな!着いたぞ!」


 声がかかったので馬車から降りる。


「ここからは徒歩だ。ドラゴンを見つけたら決して1人で立ち向かおうとせず、仲間を呼ぶんだ! いいな!」


 僕とカームは2人で森の中へと向かった。

 じめじめした空気が肌に張り付く。


「暗いね」


「ああ、そうだな。」


 その暗さが不気味さを際立てている要因の一つなのだが。

 警戒は、解けない。



 ☆



 10分ほど歩いただろうか。辺りはうっそうとしていて様々な植物が生えているまさに、手の付けられていない森だった。

 そして異常なほどにこの森は暗かった。そしてその理由が何なのかは一瞬で気づいた。いや、気付いてしまった。


 何かが羽ばたく大きな音が聞こえる。最初は鳥かと思ったが、音はどんどん大きくなる。更に暗くなる森。


「まさかっ!!」


 僕が上を向くとそこには標的がいた。


「うっ…」


 そのあまりに大きすぎる躰にカームが口を押えて恐怖に体を震わせる。


「カーム。落ち着いて仲間を呼びに行くんだ。」


「でも…」


「大丈夫。ここは任せろ。」


「無理だよ!!」


「無理じゃない!! 僕は強い、誰よりも!! だから行け!!」


 僕はカームの肩を掴み彼女の目を見てそう言った。


「…うん!」


 カームは目じりに浮かんだ涙を拭うとその瞳に覚悟をあらわにして走り出した。


「さて…どうやって時間を稼ぎますかね…」


 舞い降りるドラゴンに目を向けながら僕はそう呟いたのだった。



 ☆



 私は今、必死に走っている。大事な友人を守るために。


 今にも倒れてしまいそうで、力尽きてしまいそうで、何より…怖かった。


 私たちの目の前に突然現れたドラゴン。その圧倒的な圧力を前に私は為すすべがなかった。


 それでも彼は、クリンゲル・ヴァールハイトはそれに立ち向かった。自分の身長の何倍あるかもわからないほど巨大なドラゴンを目にしても一切の迷いを持つこともなくただ一言私にこう言った。


「行け!!」


 と。私の行動で彼の命が左右される。私を守ってくれた彼をこんなところで死なせるわけにはいかない。私がたとえここで死んでしまうのだとしても彼の命だけは絶対に守り切って見せる!


 額から汗が流れ、足もいきなりの全力疾走に悲鳴を上げている。

 でも立ち止まれない。…いや、立ち止まらない!そう決意し、討伐隊の皆さんを呼びに走った。


 人が叫んでいる。そこに討伐隊の人がいる。そう思って草を分け、声のする方向に駆け寄る。そこにいたのは…



 ドラゴンと戦う討伐隊の人たちだったのだ。



 私は困惑した。なぜここにドラゴンがいるのだと。もしかしたら先に討伐隊の人々がクリンゲルを見つけたのかもしれないと最初は思った。そんなはずはないのだ。なぜならそこにクリンゲルの姿は無い。分かっていた。それでも叫ばずにはいられなかった。


「だれか、クリンゲルが!! ドラゴンに一人で!!!!」


 やはり応答はない。みんな集中しているのだ。目の前の怪物との戦いに。

 私は決意した。


 彼を救うには自分が行くしかない、と。


 そうして私は駆けた。今来たばかりの道を。さっきよりも速く。



 ☆



 僕はドラゴンを正面に捉え短剣を構える。その双眸を見ただけで普通の者は恐怖感にかられ、逃げ出せもせずそのまま蛇に睨まれた蛙になってパクリと行かれるのがオチだろう。

 その巨体は15mを軽く超えていて、二本の足で地面を踏みしめ、巨体を支えている。そして前足は少し短くなっているが、爪は鋭くとがり、触られようものならば切り刻まれててしまうだろう。そして全身の中で最も目立つのがその背から生えた翼。広げれば10mほどのその翼は威圧感をこちらへと放ち続けている。


 ドラゴンの鱗はとてつもなく硬い。そんな天然の鎧がドラゴンの体をびっしりと覆いつくしているのだ。普通の短剣では貫けないだろう。しかし、それも使い方次第。ある程度の業物ならば使う人の力量によって変わってくるはずだ。それにこの短剣はかなり質のいいもののはずだ。


 ドラゴンが僕を認識する。そして咆哮をあげる。


「グルオォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!」


 それだけで逃げ出したくなる。それほどまでに恐怖感を煽られる咆哮だった。


「うおおおおおおおお!!!!!」


 負けないように僕も雄たけびを上げる。


「やぁぁぁぁ!!!」


 僕は『縮地』でドラゴンの眼前へと急接近し、ドラゴンの巨大で鋭い牙の生えそろった顎を蹴りあげる。ドラゴンは咆哮を中断させられ、大きな隙を見せる。その隙に落下に合わせて回転しながら何度もドラゴンの体を切り付ける。浅い傷ではあるが、確かに鱗を切り裂き、ダメージを与えることに成功した。そしてそれは僕に確かな感触をもたらした。


「行ける!!」


 と。


 僕は『縮地』を使ってドラゴンの懐に潜る。そして鱗の少ない腹の部分を短剣で切り裂く。

 その攻撃はさっきの浅い攻撃よりも深く決まり、ドラゴンの方にも少なくないダメージを与えた。だが、命を狩るにはまだ遠く届かない。


 ドラゴンも僕の攻撃をうっとおしく感じ、体を大きく揺さぶる。

 僕はそれに巻き込まれないように大きく後ろに跳躍し、回避する。

 もう一度僕は懐に潜ろうとする。しかしドラゴンもそれを許さない。

 今度は空を飛んで僕を炎で焼き殺そうとしている。

 さっきの攻撃はやはり、さすがのドラゴンでも痛かったようでドラゴンの僕に対する意識が『獲物』から『敵』に変わった。凄まじい風圧で僕の動きを阻害しながら宙に舞い上がったドラゴンはその口の中に大きな炎を生み出すために周囲の魔力をかき集める。そのせいで大気が揺らぎ自分すらも引き込まれそうになる。

 そしてそれが発射される。完全に僕の命を狩り取るためだけに放たれたそれはとてつもなく大きく、避けることを許されない。

 なので僕はそれを水と風の魔法の応用で吹雪を生み出し、それに指向性を持たせて消火と同時にドラゴンの炎塊の軌道を逸らそうとする。


「あっち!!」


 空気までもが焦げ付くような高温で熱風が近くをかすめただけで軽いやけどをしそうになる。だが、何とか僕の吹雪がブレスの軌道を横に逸らし、森が大火事になったがダメージを押さえることに成功した。


「冗談じゃねえ」


 空中で僕をあざ笑うように吼えるドラゴンはさらにブレスを放つために魔力をかき集める。

 その眼は僕が地面にはいつくばって足掻くさまを嘲笑していた。

 だが、僕は出来ないことはやらない主義。ドラゴンに勝つ算段があるからここに残った。


「高々トカゲ風情が図に乗りやがって…少し…喧嘩を売る相手を間違えたな。」


 僕はそういって


「『フライ』!!」


 と叫ぶ。この魔法は僕が編み出したものだ。魔法は簡単に編み出せるものではないが苦労して作り上げた。自由自在に空を飛ぶことができる。


 ドラゴンは空に浮かぶ僕を見て驚愕し、何とか地面に叩き落そうと足掻くがそのすべてを僕は躱していく。


「どうした?自分のアドバンテージが失われて、今まで舐めていた人間に恐れているのか?」


 僕はドラゴンを挑発して笑うと短剣を魔力を込めて振りぬき『衝撃波』でドラゴンの翼を切り裂く。その攻撃に切り裂かれた翼がうまく空気の抵抗を受けられなくなり、そのままドラゴンは翼から鮮血をまき散らしながら地に落ちる。


「さて、今までと立場が逆になったな?」


 僕は短剣を鞘に納め、腰に戻すと嘲笑を浮かべる。


 ドラゴンもしびれを切らして炎を僕に向かって連発で吐き出してくる。とてつもない熱量が僕を襲うがそれを僕は全て、難なく回避する。

 さて、そろそろ勝負を決めるか。


「お前と同じ土俵で勝負だ!『メテオフレア』!!!」


 空に黒と赤が入り混じった焔の塊が生まれる。その大きさはドラゴンのブレスを大きく凌駕する。


「あばよ」


 炎の塊がドラゴンを包み込み、焼き殺そうとする。とてつもない熱量から空気が焦がされその火が辺りの木々に燃え移り本格的に大きな火事になる。


 ドラゴンは魔力を体に纏い、魔法の効果を何とか遮って必死に対抗する。

 そして炎が燃え尽きるころにはドラゴンも息絶え絶えとなっていた。


 しかし油断はできない。


 ドラゴンという強大な怪物を前に、一瞬でも油断した瞬間、僕の命が消されると分かっているから。


 だからこそ僕は確実に仕留めるために今、僕の放てる最高の剣技を持って討伐しにかかる。


「鬼神雷光斬!!!!」


 僕は短剣を抜刀する瞬間から魔力で覆い、稲妻よりも早く鞘から走らせ抜き放ったままの威力でドラゴンの首を狙って振り切る。

 短剣はドラゴンの首を半分を切り裂き、ドラゴンの命を狩り取った。


「さて、この火事、どうするかな……」


 僕はこれからの苦労を思って頭を抱えるのだった。



 ☆



 私は涙した。しかし、それでも走った。

 彼がもう死んでいるかもしれないという恐怖と戦いながら。

 そして彼と別れた場所に戻る。そこはもう森ではなく、焼け野原だった。

 生い茂っていた木々は灰と化し、そこには何も残っていなかった。


「あ、ああ…」


 この様子では、彼はドラゴンのブレスによって焼き尽くされてしまったのでは?

 という疑問が脳を支配する。

 自然に涙があふれた。

 その時、


「おい、どうした?」


 聞きなれた彼の、死んだと思っていた彼の声が私の耳に届く。

 振り向くと、そこにはほぼ無傷のクリンゲルが立っていた。


「ク、クリンゲル……!!」


 私は彼に駆け寄り泣いた。大きな声で。安どの涙が彼の泥と煤で汚れた鎧を濡らす。


「お、おい、泣くなよ。」


 彼は私の頭をなでながらそういうが、私は涙を止めることはできなかった。



 ☆



 いきなり抱き着かれて泣かれた。

 周りを見ると仲間はいない。なぜだろうか、カームは仲間に助けを求めに行ったはずなんだが……

 少しカームが落ち着くのを待って仲間がいない理由を尋ねる。すると、


「あのね…向こうでもドラゴンがいてみんな必死に戦ってたの。」


 何てことだ。ドラゴンは2匹いたのか。


「じゃあ、助けに行かないと!」


 そういったところでのろしがあってくるのに気付いた。

 きっと勝利をおさめたのだろう。

 流石、冒険者ギルドの実力者、というところか。

 何はともあれ皆さんと合流しに行かなければ。



 少し歩いて狼煙の上がった場所につくと小型のドラゴンが倒れていた。しかし、小型といえど、10mはあるが。

 僕のは15mはあったはずだが……

 僕が冒険者の皆さんに声をかけようとした瞬間、なぜかここにはいないはずのカッツェちゃんが抱き着いてくる。


「え?なんでカッツェちゃんがここに?」


「無事でよかったですぅぅぅ!」


「いや、答えになってないから。」


「あのぉ、私、けが人の治療にきてて…」


 ああ、そういうことか。と、一人納得していると、


「あ! 君達、どこにいたんだ?」


「閃光」の皆さんに声をかけられた。


「ドラゴンがいたので討伐していたのですが、この森には2匹いたらしいです。」


「冗談だろ?」


「ホントです。なんなら向こうに死体がありますよ?」


「君はドラゴンに2人で立ち向かったのか?」


「いや、クリンゲル一人です。」


 カームが話の間に割って入る。

 微妙にどや顔してないか?


「君…化け物だね。」


 そんな、ひどいな!!

 少しして僕たちが倒したドラゴンの方に皆さんと共に行くと、


「なんだここは!?森はどこへ行ったんだ!?」


「おい!あのドラゴン上位種だぞ!?」


 なんてこった。ここでも悪目立ちをしてしまうのか……と思っていると、


「君がやったんだろ!? すげぇなぁ!!!」


「英雄だな!!」


「いや、そんな、街を救ったわけではないですし。」


「いいや。君は街を救った。こんなドラゴンが街に入れば街は確実に崩壊するだろう。」


 なんだか大事になったぞ。


「何はともあれ死体を回収してギルドに行かないと。報酬がもらえなくなるぞ。

 もちろんこのドラゴンは君が独り占めできる。」


「あ、ありがとうございます。」


 そうして僕たちは馬車に戻った。え?ドラゴンの死体はどうしたのかって?当然『アイテムボックス』に入れたよ?ほかの人はなんだか驚愕してたけど。


 王都に戻るとすぐにギルドに向かった。

 ギルド内に入った瞬間、歓声で迎え入れられる。うわぁ、すごいなぁ。


「皆さん、よくご無事で!!」


「よくやったぞ!!」


 そんな声が至る所から聞こえる。


「それではここにドラゴンを出してください!」


 そういわれたのでドラゴン2匹をそこに出す。

 重く響く音とともにギルド全体が大きく揺れる。


「へ?」


 みんな一気に静かになった。

 なんだよ、出せって言ったのはそっちじゃねぇか。

 嫌味も込めて僕はこう言った。


「はい、どうぞ。」


「…………うおおおおおおお!!!!!!」


 うるせえよ!! ちょっとは静かにしろよ!!

 あ、騒がせたの僕か。


「この上位種は彼がひとりで倒したものだ。だから報酬は彼のものになる。」


 そうブリッツさんが言う。ああ、余計なことしやがって。また目立つだろ。


「うおおおおおおお!!!!!!」


 まただ!こいつら叫ばないと生きていけないのか?


 そんなお祭り騒ぎのあと、僕とカームはギルド長から報酬を受け取ることになった。その額何と一千万ゴールドだった。


 これも討伐しただけでだから部位を売るとすればさらに高くなる。

 売らないけどな。

 大体普通の大人の年収が300万ゴールドだからとてつもない額だということがわかるだろう。


「…こんなに。」


「ああ、君たちは街どころか国まで救ったんだ。これじゃ安いくらいだ…」


「いえ、そんな。ありがとうございます。」


「君達にはぜひギルドに登録していただきたいんだが…」


「いえ、自分はまだ学生なので…」


「そうだな。では登録したいときは言ってくれ。君たちはAランクからスタートできるように手配しておこう。」


「あ、ありがとうございます。」


 Aランクは凄いぞ! 

 ギルドのランクにはE,D,C,B,A,S,SSがあって、一つ一つのランクでは差が激しい。例えば、Sランクのトップレベルの人間ではSSランクの最下位の人間には勝つことはできない。勝負にすらならない可能性すらある。そこまで凄いことなのだ。


「君たちは職場体験か…」


「はい。今日で終わりなんです。」


「そうか。それは寂しいな。気を付けて学校まで帰ってくれ。」


「ありがとうございます。」


 僕は見送ってくれるギルド長の顔を見ながら階段を降りようとした。


「ぐうえっ!!…」


 僕は派手に階段を転げ落ち、全身打撲を負った。

 ごめんなさい。無事に帰れって言われたそばから怪我しちゃった。

 てへぺろ。





 こうして僕とカームの波乱万丈の3日間は終わりを告げたのだった。


いかがだったでしょうか。

ドラゴンなんてありきたりですね…

まあでもそれがぽてっちゃんクオリティー。堪忍してください。

今年も「天才少年の転移旅行記」をよろしくお願いします。

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