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正月特別企画! お年玉的な?

皆さん、あけましておめでとうございます!

またやってしまいました。

反省も後悔もしてません。(笑)

楽しんでいただけたら幸いです。

(本編とは全く関係ないので読み飛ばしていただいても結構です。)

「クリンゲル!!正月だ!!」


 ヘルが僕の部屋のドアを叩く。


「うっせえよ!二回目だぞ!!」


 クリスマスの時から反省は無いようだ。


「うるせえ!正月だ!遊ぼうぜ!!」


 今日は前よりもテンションが高いのでしぶしぶ外に出る。


「で?何すんだよ?」


「やっぱ凧揚げだろ?」


「…タコはあんのか?」


「……」


「…作れよ。」


「…ああ。」


 こいつはテンションしか取り柄がないのか。




 そのまま二人でみんなが集まっているらしい教室へと赴く。


「おーおー、やってるねえ。」


 そこにはSクラス全員がそれぞれのタコを作っていた。


「ほら、おまえの分だ。」


「お、サンキュー」


 僕はヘルから真っ白のタコを渡される。

 そこに僕は用意してあったペンや色鉛筆などで絵を描いていく。


 それから20分ほどして僕のタコが完成した。


「なかなかうまくできているじゃないか。」


 僕は自画自賛した。


「どれどれ…ってお前なんてもん描いてるんだ!?」


「何って…ゴブリンだよ。」


「いや、分かってるけど!そういうことじゃないよ!!


 無駄にクオリティ高いんだよ!!」


 僕は記憶の中にあったゴブリンを描いていた。


 女子はキャーキャー言っている。


 なんか…まずかったか?


 そんなことを考えながら僕はピースサインをして、笑顔になったゴブリンの絵をもう一度見直すのだった。




「よーしじゃあ凧揚げ大会開始だ!!」


 ヘルの号令でみんなのタコが一斉に上がっていく。


「ほー、みんなよくできてんな。」


 僕はひとり、ゴブリンを空へと解放しながら呟く。


 僕のゴブリンが空へと舞い上がるとその近くにいた別の人のタコが逃げていく。


「なんで逃げるんだよ!」


 僕はそいつのタコを追いかけるようにゴブリンを動かす。


 いつまでもその追いかけっこは続いているのでイラッとしてそのタコを操っている人物は誰なのかを探る。


「…カッツェちゃんか…」


 僕はそのタコに『ファイヤアロー』放つ。


 ボボウッ!!


 カッツェちゃんのタコが消し飛ぶ。


「あっ!!!!」


 カッツェちゃんの悲壮な叫び声が聞こえる。


「クリンゲル君!!!!」


 僕に怒りの矛先を向けるカッツェちゃん。(犯人は僕だが)


「ち、違うよカッツェちゃん!ヘルがやれって言ったんだ!!」


「ヘル君!!!!」


「やめろ!!僕じゃない!!クリンゲル!!貴様ァ!!」


「…悲しいかな、この世は非情なんだ。」


 そうヘルに告げると僕は颯爽とその場を去った。


 こら!そこ!逃げたって言うな!戦術的撤退と言え!!


 後ろから凄い叫び声が聞こえたが僕は何も関係ないよね?




 それから少しして僕は部屋に帰った。


「ふう。疲れた。」


 そのままベットに倒れようとした…が


「クリンゲル君!!カルタしましょ!!」


 今度はカッツェちゃんが僕を呼びに来た。


「良いよ!」


 僕はレディーファーストの精神を重んじる男なのだ。


 教室でカルタ大会はあるらしい。


 僕たちは教室に向かった。


「よし!みんなそろったな!?カルタ大会開始だ!!」


 ヘルが号令をかける。


 こういう会の時は大体あいつが仕切るよな…


「まず…『あ』つすぎる お湯かけられた クリンゲル 」


 は?何の話だ?なんで俺の名前が出てんだよ!?


「はいっ!!」


 カームが『あ』のカルタを取る。


「お、流石カームさん!一発目のカルタを獲得、おめでとうございます!

 この札の解説をしたいと思います。

 クリンゲル君が8歳のころお母さまと魔法の練習をした際に、『ヒート』の魔法を使ってお湯を温めたところ、沸騰したお湯が顔面にかかった…との情報がありました。」


 ヘルが解説をする。


「なんでそれ知ってんだよ!!」


 と半ば叫ぶように尋ねると、


「ごめんね、しゃべっちゃった。」


 そこにいたのは母さんだった。


「なんでいるんだよ!!」


「パーティーだから呼ばれちゃった。」


「…」


 もう何も言えない。


「よろしいですか?では続きを…

『の』ばしてた 女子寮事件 鼻の下 」


 誰のことだよ!!


 僕か!?僕なのか!?


「はい!!」


 カッツェちゃんがカルタを取る。


「さすがカッツェさん。

 では解説を…あの忌々しい女子寮事件でカッツェさんが恐怖のあまりクリンゲルに抱き着いたところ、クリンゲルの表情は一気に崩れ去り…情報源は私です。」


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 僕は思いっきり立ち上がる…が女子の視線に耐え切れず着席する。


 ヘルがニヤニヤしながらこちらを見ている。


 母さんは、


「カッツェちゃんってだれー?」


 と言ってカッツェちゃんと会話をすると、


「クリンゲル、いいわよ、あの子なら。」


 謎のGOサインを出してきた。


 もうだめだ。


「じゃあ次!

『し』らけすぎ クリンゲルのギャグ センスなし 」


「やめろおおおお!!!」


 もう僕のライフはゼロよ!


「はい!!」


「おお、今度はドンナー君ですか。

 では解説を…これは入学したてのとき、自己紹介の時のギャグのセンスがなかったことですね…情報源は僕です。」


「」


 僕はちょっとだけ三途の川に旅行に行ってきた。


「じゃあ次!

『も』うやめて 彼のライフは もうゼロよ 」


「はい!」


 これはすぐさま僕がとった。


「はい、クリンゲル君ありがとうございます。

 そんなこと知ったこっちゃありません。まだまだ行きますよ!」


 僕の地獄は続く…


「『か』くされた クリンゲルの名 『懲罰者』」


「ぐはぁ!!!」


 なんだこれ?口から赤い液体が…


「ハァ!!」


「はい、ザータン君ありがとーございまーす。解説は…」


「はい!私がします!」


 カッツェちゃんが声をあげる。


「これはザータン君との会話の時にクリンゲル君がいろいろ言ってたのを聞きました。」


「ありがとうございます。」


 もう…僕は…死んだよ…


「じゃあ次!『に』どみした かわいい顔の 町娘 」


「はい!!」


 ちょ、母さん、なんで普通に参加してんの?


「さすがクリンゲルのお母さんですね、では解説をします。

 これはお父さんからの情報で、家族旅行に来た時にすれ違った、かわいい顔をした町娘にクリンゲル君が目を奪われているところ…とのことです。」


 ……僕の親は何でこういうことに協力的なんだ。


 息子が干されてるぞ。


「次、『ふ』ざけるな なんでお前が モテるんだ 」


「はぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃ!!!!!」


 男子がみんな一つの札に向かって突撃した。


「いよっしゃああああああ!!!!」


 ゲヴィッターが取ったようだ。


「俺が解説するぞ!!普段からずっと女にもててる!!そのくせ自分には全くその気なし!!これは男子に喧嘩を売っているのと同じだぁ!!!!」


 もはや暴露でもなんでもないな、ただの嫉妬だ。


「…フッ…嫉妬ですか?醜いですね。」


 男子全員からプチッという音が聞こえる。


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「ぶち殺してやる!!!!!」


「死にさらせ!!!!!!!」


 皆が僕に向かって突撃してきた。


「女子の諸君!!加勢を願おう!!」


 僕は女子にそう告げる。が、


 シーーーーーーン!!!!


 誰も僕には加勢してくれなかった。


 その瞬間男子たちが動きを止め、同情するような目で僕を見てきた。


「な、なんだよ…」


「いや、俺たちが悪かった。すまなかったな、クリンゲル様。」


 止めてくれ!そんなこと言うなよ!そんな同類を見るような目で僕を見るな!!





 その後も僕の過去を暴露され続けたが、何とか僕は気力で耐えきることができた。


「さて、みんな、昼だ。ここには大量の資金がある。町へ行って何か食べようじゃないか!!」


 全員が歓声をあげる。


「おい、まて、一応聞いておく。それ、どうやって用意した?」


 僕は資金を指さしながらヘルに尋ねる。


「……」


「答えろ」


「…………ゲヴィッターの金です。」


「ならいい。」


「おいコラ、待てや。おい。」


「なんですか?」


「俺の金だと?ヘル?貴様覚悟は出来てるんだろうな?」


「ヒッ…命だけは…」


「…」


 無言で指を三本立てるゲヴィッター。


「!?三つですか!?」


「ああ。これ以下は無理だ。」


「…分かりました。」


 何の話をしてるんだ?


「じゃあみんな、今日の飯は俺のおごりだ!!いいもん食えよ!!」


 もう一度みんなから歓声があがる。


 そうして僕たちは高級焼肉店に行ったのだった。


「やっべー!!うめぇ!!」


「最高だー!」


 焼肉って良いな!!もう、箸が止まらない!!


「さすがゲヴィッターだ!金はあんのか?」


「ああ。どんどん食え!」


「なんでそんなに金があるんだ?」


「…俺んち王族なんだ。」


「…は?マジで?」


「……嘘だよバーカ!ちょっと金持ちなだけだよ!」


「嘘かよ!!」


 て感じで遠慮なくみんな箸を進めていった。(ヘルは顔色が終始悪かったが)


「ああーもう食えないな!!」


「ああ。満足だ!」


 僕たちは十分に胃袋の中を肉で満たして店を後にした。


 会計に向かったゲヴィッターが金額を見て腰を抜かしていたのを視界の端に捉えながら…


「ゴチになりました!!」


 僕たちはやっと店から出てきたゲヴィッターに礼を言う。


「ああ、大丈夫だ。」


 そう言った彼の背中は悲壮感が漂っていた。





「餅つきしてないぞ?」


 学校に戻ると、誰かがこういった。


「おい、正気か?さっき食ったばかりだぞ?」


「ああ。正月の醍醐味だろ?これは抜けないって。」


「…じゃあやるか。」


 そんなこんなでやることになった餅つき。


 臼と杵はなぜか用意されていたのでそれを使うことにした。


「おい、もち米、あんの?」


「あ…」


 皆が今気づいたというような顔でこちらを見る。すると…


「あるに決まってんだろ!」


 どこからか響く声。とっても聞き覚えがある。まさか…


「父、参上!!!」


「帰れ。」


「そういうこと言うなよ!」


 やはり父さんだった。


「ほら、もち米。いるんだろ?やるよ。」


「おお、ありがとう。」


「そんなことより母さんが許可した女の子って誰だ?」


「そんなの母さんに聞けよ。」


「…まあそうだな。」


 父さんはいったん放置して僕たちは餅つきの準備を始める。


 準備してから、誰が餅つくのかでもめた。


「俺がつく!」


「いや、僕だ!」


 もめたといっても僕と父さんとでだが。


 結局父さんがつくことになってしまったが無事に餅つきを開始することができた。


「イッチ、ニー」


「イッチ、ニー」


 僕と父さんは掛け声を出しながら餅をつく。


 あれ?これは相当地味じゃね?


 僕がそんなことを考えていると、父さんがいきなり速度を上げた。


 僕は手を思いっきり杵で叩かれる。


「ぐえええ!!!」


 僕の手からぐちゃっという音がする。


 折れた!!ってか砕けた!!


 手を見るとそれぞれの指が明後日の方向を向いていた。


 その瞬間激痛が襲ってくる。


「のおおおおおおおお!!!!!!」


 僕は叫びながら自分の腕に回復魔法をかける。


「ハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」


 父さんは爆笑している。


 僕の中で何かがキレた。


 無言で父さんが持っている杵に火をつける。


「あっちぃ!!」


「…」


 僕は続けざまに父さんの服に火をつける。


「のわぁぁぁぁぁぁ!!!」


 父さんは急いで服を脱ぎだす。


 服を脱いだ瞬間に僕は父さんに水をかける。


「ぶえっ!!!!」


 父さんは水浸しになる。しかしこれだけでは終わらない。


 さらに父さんの周りに『クール』をかけて(全力で)父さんの体についている水滴を凍らす。


「ヤベデグダザイ」


 父さんが震え出したが知ったこっちゃない。


 そのまま僕は魔法を辞めて父さんを放って餅つきを始めた。


 もうあんな奴知らない。


 そう思って餅を見ると…


 餅が真っ赤だった。(僕の血)


 イラっとしたのでもう一発『ファイヤアロー』を父さんに撃っておいた。





 結局餅はお釈迦になってしまったが、僕たちはいったん教室に戻って次に何をするかの会議をすることになった。


「何する?」


「大体のことはやったな…」


「ん~、鬼ごっこでもするか?」


「いやだ。」


「じゃあ、カルタ…」


「それもヤダ。」


「ベイゴマ大会は?」


「…決定!!」


 そうして僕たちはベイゴマ大会を開くことになった。


「じゃあ、これから二時間以内に駒を調達してくること。いいな?」


「おう。」


「じゃあ解散!」


 ヘルの号令でみんながそれぞれ散っていく。


 本気で優勝狙っていくぞ…


 まず僕は王都の武器防具屋に寄った。


「ちーす。硬くて軽い金属はありますか?」


「…ああ。どれにする?」


 そういって見せられたのは3種類の金属だった。


 まず左のものを手に取る。


 触った感じは確かに硬い。それに軽い。しかし、軽すぎて吹き飛ばされそうな感じがする。


 続いて二つ目を手に取る。


 先ほどよりも少し重いが硬さは少し物足りないような感じがする。

 最後の一つを手に取る。


「…!これだ!」


「ほう…いいものを選んだな。だが、それを買ってどうするんだ?」


「…駒にしてくれ。」


「…ベイゴマか?」


「ああ。金なら出す。」


「……いいだろう。金はいらん。だが…」


「だが?」


「優勝して来い。」


「!…分かった!」


 数十分待って駒が出来上がったようだ。


 その造形はまさに凶器と言っても差し支えは無かった。


 サイズ自体は駒。いや、普通のものより少し小さいかもしれない。しかし、そのサイズとは裏腹に手に乗せた瞬間の重量感は半端なものではない。

 重くはない。しかし、動かない。そんなことを感じ取ることができる。

 そして形。相手の駒とぶつかるであろう部分には刃がついていた。刃の部分は切断ができないように潰されてはいるもののそこに当たれば間違いなく吹き飛ぶだろう。

 そして全体的に低くされた重心。これのおかげでふらつきが抑えられる…かもしれない。


「今の俺が作れる最高のものだ。持ってけ。」


「ありがとう。必ず…必ず優勝してくるよ。」


 ここに9歳の男子と54歳のおっさんの奇妙な友情が生まれるのだった。






「よし、みんなそろったな。ではこれより第一回、ベイゴマ大会を行います!」


「イエーーーーイ!!!!」


 皆のテンションも上がる。


「ルール説明をします。…なんでもあり!ただしリングから落ちるか駒が止まったら負け!」


「それでは一回戦、カッツェ・リーブリヒVSドンナー・トネールの試合を開始したいと思います。」


 ちゃっかり父さんと母さんが実況、解説をするようだ。


 用意されたリングの前に立つ二人。


「それでは…レディー!…ファイト!!」


 カァン!ゴングが鳴り響く。その瞬間二人の手からベイゴマが放たれる。


「おお、カッツェ・リーブリヒさんのベイゴマは木製ですね。これによって駒本体が軽くなり、機動力が高くなります。おそらく、相手の攻撃を回避して持久戦に持ち込む気なのではないでしょうか?」


 母さん、実況に力入りすぎだろ…


「対してドンナー・トネール君の駒は金属製ですね。おそらくパワーで短期決戦を狙っているのではないでしょうか。」


 父さんもかよ。


 リングでは一進一退の攻防が繰り広げられている。すると、


「おおっと!カッツェ選手のベイゴマが動き始めた!だんだんとリングの端に寄っていくぞ!?」


「これは…ドンナー君の突進を紙一重で躱し、ドンナー君の駒を場外に吹き飛ばす気ではないでしょうか?」


 無駄にわかりやすい解説ありがとうございます。


 確かにカッツェちゃんの駒がリングの端によっていっている。


 ドンナー君の駒はフェイントを織り交ぜながらじわじわと近寄っていく。


「!!ドンナー選手、左にフェイントをかけてそのまま突進したぞ!!?」


「これは!カッツェ選手、危ない!!」


「おっと!!当たってしまった!!カッツェ選手の駒はきれいに吹き飛んでいく!!」


「勝負あり!!ドンナー君の勝利です!!」


「いやー、一試合目からいい試合でしたね。」


「はい。これからの試合にも期待できそうです。」


 第一試合は終了したがみんなのレベルが予想以上に高い!これは気を引き締めなおさなければ…



「それでは第二試合を行います! アイス・フリーレン選手VSバーン・フランメ選手です!」


「レディー…ファイト!!」


 なんだ?アイスの駒の形?先がスパイクみたいになってんのか?


「もらった!『アイス』!!」


「おお!!『アイス』の魔法によりリングが氷のリンクになった!!」


 誰がうまいこと言えって言ったんだよ。


 ちょっと笑っちまったよ。


「おお…アイス選手の駒は失速するどころか加速してきましたね。」


「あの駒の形状はこのためのものだったようです。」


「しかし、バーン選手も諦めていないようですよ?」


 バーンの駒を見てみると周りの氷がだんだんと解けて水になってきていた。


「ば、バカな!」


「そう来るだろうと思ってな!!『ヒート』が付与してある金属を選んだのさ!!」


 付与とは対象にその魔法の効果を与えることを意味する。


 大体そういう付与がかかった商品は高い。


 金持ちなんだな、あいつ。


「くそおおおおお!!!」


 アイスが切れて突進を始めた。


 これは勝負あったな。


 突進を簡単にバーンがいなしてアイスの駒を場外にした。


「勝者、バーン・フランメ!!」


 さあ、次は僕の試合だ。勝つぞ!!




「では、第三試合!クリンゲル・ヴァールハイト選手VSレーゲン・レイン選手!」


「レディー…ファイト!!」


 ゴングと同時に僕は駒を回し始める。


 レーゲンの駒は意外にも近距離パワー型のようだったが僕の駒に近づいた瞬間、


 バチィィィィィィン!!!


 と音を立て、場外になってしまった。


「…あ、勝者クリンゲル選手!」


 瞬殺だった。


 その後、僕の二回戦の相手は、ブリュム・ミストだったが、これも瞬殺、準決勝のドンナーとはそれなりにいい試合をしたがこちらもあっけなく勝利。

 残すは決勝のみとなっていた。


 ちなみに気になってたヘルとザータンの試合を見ると、ヘルが、


「ふははは!!これには勝てまい!!」


 と言いながらリングよりデカい駒を出して場外になり、ザータン君の不戦勝となっていた。


 めちゃくちゃいじってやったぜ!



 ついに迎えた決勝戦。


 昼過ぎに始めたこの大会もすでに夜の8時ぐらいにまで長引いてしまった。


「さぁ!お待ちかねの決勝戦!!対戦するのはこの二人!!

 瞬殺、瞬殺、瞬殺!!規格外の強さを誇る、『懲罰者』クリンゲル・ヴァールハイトと!!

 何が起こったのか理解不能!こちらも規格外!『深淵の覇者』ザータン・ナハト!!」


『懲罰者』はやめてくれ。頼むから。同類だと思われちゃうから。


「両者ともに規格外の強さを誇っており、勝負の予想は困難!!見ごたえのある試合になるでしょう!!」


「それでは始めます!!レディー…ファイト!!」


 ゴングが夜の教室に鳴り響く。よく先生に怒られずに済んでるな。


 両者の駒が同時に放たれる。


 ザータン君の駒は黒く光っていて、僕と同じように、刃がついていた。


「さあ、まずは両者ともに様子見といったところか?お互い動きません。」


「相手の力を計るのは重要ですからね…おっと、ザータン選手の方に動きがありました!!」


「『視えざるインビジブルブレイド』!!」


 僕の駒が一瞬大きく体勢を崩す。


 なんだ!?何が起こっている!?


 よく感覚を研ぎ澄ませるとかすかに魔力の流れが見える。


 こいつ!!魔力をそのまま駒から打ち出してやがる!!


 やり返してやる!!


「『目潰し(フラッシュ)』!!」


 駒から思いっきり光を放つ。


「ぐえっ!!」


 ザータン君は見事に引っかかる。


「おぉぉっと!!これは目くらまし!!汚い!汚いぞクリンゲル!!」


 外野からヤジが飛んでくる。


「うるせぇ!!なんでもありだろーが!!」


 僕は今のうちに攻撃しようと駒を操る。


 が、しかし、


「『暗黒の世界ダークネスワールド』」


 そのザータン君の言葉により体が一気に重くなり、目の前が真っ暗になる。


「おおっと!!ザータン選手も汚い!自分が羽織っていた漆黒のローブをクリンゲルへとブン投げたァ!!」


 なんじゃそりゃ!!僕より幼稚じゃねえか!!


 僕がローブをはねのけるとザータン君の視力も回復していた。


「やるじゃねえか…」


「貴様もな…」


 そんな言葉を交わし僕は攻撃に移る。


「『落としホール・イン・ワン』!!」


 僕は土魔法を強引に駆使して強制的にザータン君の足元へ巨大な穴を掘った。


 結果、ザータン君は見事に穴に落ちた。


 が、その穴の中から声が聞こえる。


「『天国へのロードトゥヘブン』!!」


 瞬間、ザータン君の駒から僕に向かって魔力が打ち出される。


 僕は驚いて一歩下がると視界が一周して天井が視界を埋め尽くした。


「おお!ザータン君のローブを踏んで滑ってこけた!!クリンゲルもザータン君も汚い!!」


 だが僕は次の手は打っていたのだ。


「『聖なる結界ダーティーサンクチュアリ』」


 僕の駒は高速回転し中心からじわじわと外側に動いているため、ザータン君の駒は外に逃げるしかなくなっていた!


「きったねぇぇぇぇ!!!」


 父さん、断言したら終わりだから。


 そのままザータン君の駒は押し出され、僕の優勝となった。


「汚いですが勝利おめでとうございます!!」


 母さんに言葉をかけられる。いや、嬉しくないから。


 でもあのおっさんとの約束は果たせたからいいか。




「あ、教室の穴、お前直せよ。」


 ……忘れてました。


いかがだったでしょうか。

今年も一年、よろしくお願いします!

質問や感想、ご意見などお待ちしております。

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