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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
四章 攻める者と護る者
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偉大なる我が魔王さま

オーガキングと対峙するジン。


その様子からして余裕がありそうだ。


飄々とした佇まいで葉巻を一服している。


「先手は譲るよ。かかって来な?」


手をクイクイと動かしオーガキングを挑発する。


オーガキングは躍動する筋肉を上下させ憤慨している。いや、黒光りした筋肉の塊が鬼面をしているといった表現が正しいだろうか?


ジンは振り抜かれた拳を受けるも仁王立ちしダメージを受けた様子はない。


圧倒的なステータス差があるからだろう。


「今度は俺の番だ」

ジンはそう呟くと突進してくオーガキングをひょいと後ろに飛び避け一瞬後には懐に入りアッパーを食らわせていた。


鑪を踏むオーガキングに間髪入れず蹴技と拳技で一気に攻め寄せるジン。


大の字で倒れたオーガキングに腰に差した山刀マチェットで手足を斬り捨てた。


痛みと混乱のためか呻き声を上げるオーガキングにジンは無言で首に山刀を振り下ろす。


「すまねえ、俺の糧になってくれ」


聞こえるか聞こえないかのか細い懺悔は魔王化した俺の耳にはきっちり聞こえていた。


ドロップアイテムを手に戻ってきたジンを労う。



「お疲れ」


「こんくらいどうってことないさ、それよりなにか様子が変だぞ?」


ジンが指差す中央は黒い靄が集合している。しばらく見ていると目の前にステータス画面と似た例の半透明の板が浮かび上がる。


ーーCONGRATULATIONS YOUR TEAM WIN, NEXT ROUNDS?ーー


BATTLE/NEXT FLOOR


つまり次のラウンドを戦う事が出来るってことなのだろうか?奥を見ると下へと続く階段が解放されている。進むもよし、留まるもよしってことだよな?



「どうする?」


俺はこの後どうするか二人に尋ねた。


「俺はソラトに任せよう」


「取り敢えず上に戻るか?いや、また同じ魔物が出てくるんだろうか…それも検証してみたいな」


「良いぜ良いぜ!俺はまだ暴れ足んねぇんだよ!」


ふむ…戦闘狂いと全てを俺に委ねる奴だと結局二択だな。



「よし…戦ってみるか」


俺はBATTLEを指で触ってみた。



黒い靄が集結し、形となって現れる。


ハーピークイン、ジェネラルトロール、グランドウルフ…


ふむ、初めて見る魔物ばかりだな。先ほどよりは楽しめそうだ。




▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼




それから三時間俺達三人は戦い続けた。普通に戦闘していると飽きがやってきてゲーム感覚で何かしらの縛りを設け遊んで魔物と対峙したのだ。


一番辛かったのは十分間その場に立ち続けるだったな…対戦相手のキングミノタウロスの斧撃を十分もの間受け続けたのだ。


ジンは逆立ちしながらとかコクランは目を瞑ってとかだったからマシっちゃマシなのかな?


そこまで痛くなかったし。


結局俺達は三時間で10ラウンドをこなした。


ラウンドを経る度に報酬の格が上がり質の良い装備や魔道具がドロップし経験値もそれなりだ。


コクランの装備も調ったしな、



俺のレベルも5上がり現在25だ。


1レベル上げるのに通常の十倍の経験値が必要な俺だが今日の戦闘で通常の経験値が入ってれば50上がったことになる。


ジンなんて60上がって現在271、コクランは70上がって224だ。

まぁコクランの場合は元々レベルが低かったからな。


俺は満足し、ブルースを【召喚サモン】して階下に足を向けた。


「主殿お呼びで御座いましょうか?」


「あぁ、下の階層に向かうから転移ポイントの更新を頼む」


「御意」


ブルースを呼んだのは転移ポイントを増やす為だ。こうしておけば日帰りでダンジョンを移動する事が出来る。俺も転移欲しいなぁ…


『スキルー【転移】が発現しました。以降固有スキルに表示しますー』



ファッ?!電子音さんが30分振りのご登場…!俺はステータスを表示した。


名前 ソラト・ユウキ

種族 人間 漂流者

年齢 20

レベル 25

職業 初級魔王《覚醒状態》

称号

【魔物の主】

【魔族の庇護者】

【漂流者】

【殺戮の悪魔】

【大罪を覚醒せし者】

【悪を裁く悪】

【十八番目の魔王】



能力

物理攻撃力 35000

物理防御力 32000(+40,000)

魔法攻撃力 40000

魔法防御力 50000(+40,000)

敏捷 49000

運 20000


魔法 氷魔法LVMAX 氷結魔法LV2 闇魔法LV4 暗黒魔法LV1

《アイシクル・ブロウ》

《アイシクル・バースト》

《アイシクルボール・オリジン》

《アイシクル・エイジ》

《アイシクル・レイン》

《フリーズ・エクスプロード》

《フリーズ・アロー》

《シャドウ・シールド》

《シャドウ・マスク》

《アビス・ミスト》



スキル 拳闘術LvMAX 拳技LVMAX 拳聖技LV5 テイムLVMAX 配下任命 直感 話術 気配察知 地図 全体指揮 空間把握 経験値分配 部隊編成 召喚 送還 導きの力 魂魄武器生成 スキルテイク 配下能力底上げ



大罪スキル《憤怒》《??》《??》



固有スキル ダンジョン生成 迷宮魔物生成命名 魔眼《鑑定》《石化》 転移



耐性 飢餓耐性 魅了無効 炎熱耐性 凍結流用強化 麻痺無効 毒耐性 石化無効



……うん…たしかに増えてる。


それと未覚醒から覚醒状態になってる…なんだこれ?詳しく見ようとしてもエラーが出る。まだ俺の能力が低いってことか?


「どうしたでござるか?」


「転移スキルが生えてきた」


「……スキルが生えた??」


「あぁ、俺も転移スキル欲しいなぁって考えてたら急にな…ほれ」


俺はステータス画面を反転しブルース達に見せた。ジンやコクランも興味津々と言った風に覗き込んでくる。



「確かにあるでござるな」


「だろ?」


「ふむ…他の…例えば拙者の分身などは使えないのでござるか?」


「ちょっと待ってろ」


俺は頭の中で分身…分身…と念じた。するとまたもや脳内にアナウンスが流れる。



『ーースキル【分身】は会得出来ませんでした。ですが固有スキル【二対の黒影】を開発出来ます。開発しますか?』


なんか全く違うパターンのアナウンスが響いた。なんだ?【二対の黒影】?


俺は目の前に現れたウィンドウのはいをタッチする。するとステータスに【二対の黒影】の欄が新たに増えていた。


鑑定眼で詳しく確認する。


【二対の黒影】…

使用者のステータス二割と引き換えに二体の影を召喚する。ステータスの一割が能力となり自らの意思で行動する。致命傷を得た場合は霧散し消える。



…ほう…。中々良さそうだな。俺は【二対の黒影】を発動させた。



「おぉっ!主殿…ではないようですな。影…でござるか?」


「あぁ。【二対の黒影】ってスキルだ。念じたら生えてきた。そうだ、ブルースお前も何かスキルを使いたいと念じてみてくれないか?」


俺はとあることを閃いた。ブルースも魔王であるなら俺と同じようにスキルがはえるんじゃないのか?と。


ブルースは短く「御意」と返事するとうんうん唸りながらクネクネしはじめた。


しばしその様子を見守っているとブルースはハッとした顔をし、こちらに目を向けてくる。そして嬉しそうにこう言った。


「主殿、主殿!拙者ではスキルは無理でござったが魔法ならいけそうでござる!見てくだされ!【偉大なる我が魔王さま(グレートマイロード)】!!」


それは異様としか形容できなかった。ブルースが発動した魔法は魔力が収束していき巨人を形作る。禍々しく靄が立ち込める巨大な拳、草臥くたびれたブーツ、黒い外套に白地のシャツ。深緑色のズボンにぼさぼさの白く長い髪、何処かで見たことあるような仮面をずらして左側に付けている。


極めつけはその仮面から覗く黒い瞳。顔。うん…間違いなく俺だね。いや正確には俺に似た何かだ。


まず美化されすぎてて原型を留めていない。


最近あまり笑わなくなった俺だがその異様なそれは満面の笑みを湛えている。


俺はそんな爽やかに笑わないぞ?


そして悪魔の羽と額から生える角が違和感を強める。


全身からキラキラとした粒子が飛んでるのは何だろう?


それに偉大すぎやしないか、ブルース先生?


五メートルはあるぜ?


コクランは唖然とし、ジンは大爆笑だ。取り敢えずジンを殴って(わざわざ魔法を発動して)からブルースの様子を観察する。


ブルースは目をキラキラさせながら顔はそっくりだとか、ここは完成度高いだのあっちはちょっと違うだの頭を傾けつつも腕を組みあざとく俺にジリジリ近寄ってくる。


これはあれだ。褒めて欲しいときの仕草だな。


いや、自分の巨大化(少し美化と魔改造もされてる)を見せられても反応に困る。


だがブルースが頑張った結果なので一応は褒めておこう、俺は褒めて伸ばすタイプだ。


「よくやった。」



雑に頭を撫でながらそう言うとブルースは犬ならば尻尾をはち切れんばかりに振っているだろうと幻視させるような喜び様で俺にすり寄ってきた。


「主殿のお陰でござる!早く戻ってセレナ殿達にお披露目せねば!」


「おーい…ブルース目的忘れてないか?いや…俺が転移出来るから良いのか。呼び出しといて悪いが先に戻っておいてくれ。俺も直ぐに戻る。」


「御意」


そう言うとブルースは巨人の俺を名残惜しそうに消してからさっさと転移した。


ブルースを見送り蹲るジンを引き摺ったコクランと階下へ降りた。

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