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転移大学生のダンジョン記~拳一つでフルボッコだドン~  作者: 如月 燐夜
四章 攻める者と護る者
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それぞれの戦い


\PV40,000突破を記念して2/17(日)まで毎日更新します!/


それもこれも応援してくださる皆様のお陰!


これからも精進したいと思いますのでよろしくお願いします!


今回視点が四人に変わります。

場所_名前と表示してますので分からないことは無いと思います。この先もあると思うので馴れて貰えれば…と思います。

俺は対話をしようとクリマとソルダに話し掛けるが全く意に介さない、というよりこちらの声が届いてない様だ。


にらみ合いは空が白け始めるまで続いて居た。


「クリマ!おい!話くらい聞いてくれよ!」


「うるさい!殺すころすコロス…」


弓に矢をつがえ、狂ったかのように彼女は何度も殺すという言葉を連呼している。


ソルダの方も高笑いを続けどうしようもならない状態だ。


今にも詠唱を始め魔法をぶっぱなそうとしている。


ワタメの損耗が激しい…

ずっと結界魔法を駆使してきた代償か息が荒く、ふらついている。


どうする?




その瞬間だった!


『全力で東の川に飛ぶでござる!!』


声が直接脳内に響き光の雨が降り注いだ。


その一粒一粒がワタメの使用するファイヤーボールの三倍の威力はあるだろうか。


俺は慌てて三人を抱えて川に飛び込むとその場を何とかやり過ごすことが出来た様だ。


気付いたら俺はエルフの集団に回収され事なきを得たのだった。


▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


エルフの里から五キロ先の布陣内_ブルース分身体1


最初に気付いたのはカミツレだった。


新たなスキル【粘魔の覇者】によってもたらされた同胞からの情報により主殿を起こし一息吐いた頃、戦場で馬妨柵などの段取りを行っていた拙者にカミツレが異変を伝えた。



「ブルース、音聞こえる。何か変!」


「ふむぅ…拙者が行ってこよう。ティアここは任せた!カミツレ、頼んだぞ?」


拙者は時空間からオーク肉を渡すとカミツレに投げる。


その後分身してカミツレの指す方角へと急いだ。


周辺に散会させていた【粘魔の覇者】スキルで同胞達を使い少しでも情報を集める。


【粘魔の覇者】…スライムの偉大なる覇者にのみ与えられるスキル。


凡てのスライム系統を指揮下に入れ指示を出すことが出来る。


使用者の能力依存でどんな複雑な事も指示することが出来る。


主殿がダンジョンから出てきていつの間にか手に入れていたスキルである。


やはり偉大なるお方…!


拙者は遠く空の彼方へ居る主殿に畏敬の念を送った。


人数は六。うちエルフが二、いや幼いハーフエルフも入れたら三か。


人族が三人、うち二人はまだ年端も行かぬ子供ばかり。


何やら様子がおかしい。拙者はしばし状況を確認していた。


ふむ、人族の男は中々の力を持っておるでござるな。


その脇に控える三人の幼子も中々どうして。


更に四人を挟む容姿の似た白銀のエルフ達もかなりの能力を持っている。


これは拘束して、お話をした方が良かろうか。


しばしの観察中、分かったことがある。


エルフ二人は兄弟であり尚且つ何者かに精神汚染の魔法を掛けられている可能性が高い。


このままでは危険だ。


そう判断した瞬間、男のエルフが高笑いをしながらも魔力を高めているのが確認出来た。


拙者は観察を止め光魔法【極光のブライトレイン】を発動した。



『全力で東の川に飛ぶでござる!』


そう伝えるや否や四人は川に飛び込み里の方向へ流されていく。


同胞を伝者として里の方に送ると茂みから飛び出し二人のエルフと対峙した。



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


エルフの里から二キロ、コボルトの集落_カミツレ


ソラトがチーちゃんに乗って人の群れに行っちゃった後。


オレはブルースに指示された事をやりに昔の巣に来ていた。



「おー、皆久しぶりー!」


巣には相変わらず元気に駆け回る馴染みの仲間達が居た。


元気だなー。


オレが姿を表すと皆綺麗に整列して両側に並んだ。


尻尾を振って頭を下げて御機嫌なやつらだ。


族長にでもなった気分だ。


はは、大きくなったな、チビ共!


よし、ブルースに持たされたお土産を渡すのは今だな。


オーク肉の塊を家族ごとに渡していきオレは族長の前に立つ。


「ヒサシ、ブリダナ。ゲンキシテタカ?」


「おう、親父!元気だぞ!」


「ソウカ、ナラヨカッタ。急ニ来テ、ドウシタンダ?」



オレは人間の群れがエルフの里を襲う事について話した。


ここも危険だとソラトは言っていた。


逃げるか戦うか。

どちらを選ぶのかは誇り高きコボルトならば考えなくても決まってる。


そう、オレ達コボルトは戦士だ!


「オレに着いて来い親父!一緒に戦おう!」


「オ前ニツイテイケバ、腹一杯クエルカ?」


「オレに任せとけ!」


「ジャア、イク!」


オレに着いて来れば肉を腹一杯、ソラトかブルースが食わせてくれる。


親父は分かってくれたのか遠吠えをして集落の同胞を集めた。


後の面倒はソラトが見てくれるよなー。



▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


エルフの里から五キロの布陣天幕内_ユリアン



僕は最前線の作戦基地でアンリエッタ嬢、セレナ嬢、カインさん、ソラトの従魔ティア、エルフの里長アリシア殿と作戦を練っていた。



「もう少し敵の大将の情報があればな…それに勇者パーティは相手するのにキツすぎる…!」


現在全員で情報の共有を図っているが何分情報が少ない。


こんな時、秘書…執事のローアインさえ居れば…いや、無いものねだりは止めよう。


今もっとも必要なのは敵の総大将バーストレウスの情報だ。


ここまで隠し通してきたがそれも切羽詰まった状況では意味がない。


僕は切り札を切ることにした。


「皆、これまで隠し通してきたがそろそろここで話しておこうと思う。バーストレウス…兄さんについてだ。」


「んな…!兄さん?ってぇことはユリアン!お前王族なのか?」


覚悟はしていたが、このカインさんの慌てよう…心に棘が刺さったように痛みが響く。


今まで築いてきた関係がガラガラと音を立てて崩れ去る…そんな幻影が見えた。


これは私の身内が引き起こした戦争だ。


目の前のアリシア殿に処罰されても仕方あるまい。


覚悟を決めろ!


僕は軽く頷き、周囲を見渡す。


「僕は…いや、私はミンストレイル王国王家継承順位三位のユリアンヌ・ソシエ・ミンストレイルだ。こんな格好や振る舞いをしてるが所謂、第一王女だよ。これから我が国について話そう。そう、我々の敵について…」


僕…私は隠し通してきた事を全てぶちまけた。


はぁー…やっちゃったよ…!


実はユリアン女の設定でした!

ホモじゃありません。百合属性持ちの両刀でした!


初登場時からユリアンは女って決めてました。

ここまで隠し通せてたかな?


ブクマ感想レビューお待ちしてます。


明日の更新もお楽しみに!!


次回

天翔る龍の呟き~銀の龍の背に座して~

チトセ視点です、お楽しみに!

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