いざ戦地へ
新章突入です!読者の皆さんは急展開の連続に着いて来れるでしょうか?
ギルドを後にした俺は宿へと戻った。
ブルース達に詳細を伝えなくちゃ。
「よう、兄ちゃん!久しぶりだなーー」
「わりぃ、おっちゃん!急いでんだ!」
串焼き屋のおっちゃんに話し掛けられたが今は急いでる。申し訳ないけど、エルフの里へ向かうのが最優先だ。
走ること五分、やっと宿の前に着いた俺は受付やら何やら全部無視して部屋へと向かい叫んだ。
「ブルース、皆を集めてくれ!」
「委細は分身を通して聞いているでござる!しばしお待ち下され!」
あ、そういや新しいブルースウォッチ着けてたの忘れてた。
これでギルドの会話を聞いてたブルースは既に準備をしていたらしく食堂に本陣を構えて居た。
「既にブルースから話は伝わっていると思うが明日の昼には王国軍がエルフの里へと到着する。セレナ隊の皆は祖国と戦うことになるから残りたいやつは残ってくれ、無理強いはしない。」
俺はセレナ隊一人一人の表情を確認する。セレナとモネ、シアさんは行く気満々の様で武器の手入れを始めた。難色の顔色をしたのはアンリエッタさんと他の隊員だった。
「ソラトさん、少し考えさせて下さい。私も立場という物があるので。」
「あぁ、分かってる。だがあまり時間はないことだけを理解してほしい。王国内に親しい人や知り合いが軍に居るなら尚更だ。お互いに血を流すことを覚悟してくれ。俺は利己的な王国軍を許すつもりはない。直ぐにでもクロッセアを経ち、それこそチトセの背中に乗って飛んでいくつもりだ。」
本当に今すぐにでも飛んでいきたいのだ。だが俺にはそれが出来ない。だけど俺の従魔には空を駆けることができるチトセが居るのだ。無いならば有るものの力を借りればいい。どんな代償を払っても出来ることはするべきだ。
「主よ、わらわの背に無断で乗るつもりじゃったのか?」
そこで眠そうな顔で話を聞いていたチトセが問い掛けてきた。
「あぁ。お前が無理なら他の手は幾らでもあるさ。足の早い魔物には心当たりがあるからな。それで乗せてくれるのか?」
俺にはヴァネッサの魔物屋のハヤセやプルネリアの眷属ジビエやタマという足の早い知り合いが居る。どうとでもなるだろう。
「ふっ…誰も乗せないとは行ってないだろう。帰ったらクレープ四つじゃ!それ以下は絶対に負けんぞ?」
「乗る人数の倍は買ってやる。既に八人は確定してるんだ、16個は確実だぞ。頼めるか?」
「ほう?強気に出たのう…。なればわらわとて断る理由が見つからん。好きにせえ。」
「助かる。それで皆はどうするんだ?」
あまり時間はない。ブルースとカミツレを先行させるか?いや、万が一があっていけないな。ここは固まって動いた方がいいだろう。そんなことを思案しているとアンリエッタさんが口を開く。
「行きます。セレナさんやモネを放って置けませんから。」
「皆もそれで良いのか?」
セレナ隊の面々の表情が変わる。
「正直行きたくありません。」
「両親や兄弟、家族を残したまま離反したら危害を加えられるんじゃないかと内心怖いです。」
「でも行かないと…。」
「私達の国の事は私達の手で…!」
「一介の騎士である我々では国の暴走を止めることは出来ないかもしれない。」
「だけど私達にはソラトさんや皆が居る。正直、五万の軍勢に十数人で抗うなんて無理難題ですが私は皆を信じて居ます。」
皆の強い意思を感じる。
「これで16人か。」
「待ってくださいソラトさん!私達も行きます。」
澄んだ声が響く。耳障りの良い昨日聞いたばかりの声と懐かしい顔が。
「アリシアさん…!なんで此処に?それに…ヒューイとリラまで!」
「ちっちゃいブルースちゃんが私に教えてくれたんです!私達の里が危機に陥っているのでしょ?お願いします!連れていって下さい!」
分身を飛ばしてわざわざアリシアさんに連絡するなんて流石、恩義を大事にするブルースだ。多分ブルースに会って無かったら俺はこの異世界の人達と触れ合うことがなかっただろう。
「分かりました。俺の大切な従魔であり……のブルースの命の恩人の頼みです。」
「主殿…!」
誤魔化したかったけどブルース本人には聞こえてたようだ、恥ずかしいな。だがアリシアさんや他の人達は誤魔化せたみたいだ。
「それじゃあ行こうか。エルフの里救出に!」
「「「おう!」」」
次回は別視点でお送りします!




