ロリババアドラゴンの自分語り~運命の出会いと主の消失~
チトセ視点二話目です。
わらわが理不尽な主と会って三日が経った。
今夜はわらわ達従魔をほっぽって人の子のメス、セレナという女と逢い引きをしておった。解せぬ…わらわをほったらかしにして、まだ二十そこらの小娘にかまけるなど…!
ふ、ふん、別に悔しくはないが五大龍の尊厳に関わるからな!大人のれでぃーであるわらわを従魔にしておいて人の子なぞにかまけるのは腹が立つわ!
だが新たな主が言っておったがわらわはロリババアとかいう分類に入るらしく新たな主の良心を痛ませるとか。なんじゃ、それは!珍妙な言葉でわらわを飾り立てるとは…!憤りを感じてしまうぞプンプン
まぁ、よい。わらわからしたらそんなこと知らぬが好みの問題ということらしい。
その日わらわは第一の従魔を名乗る青い悪魔、ブルースに連れ回され人の子の作った町を見回る機会が出来た。
見るもの全て真新しくわらわは柄にもなくはしゃいでしまったのが悪いのか青い悪魔ブルースに怒られてしまった。
「ちーちゃん、一人で走って行っては、めっ!でござる!元気なのは分かるでござるが、もう少し落ち着きを持つでござるよ!」
「むぅ……すまないのじゃ…。」
「分かれば良いでござるよ。今日は主殿から少し多目にお金を預かって居るので皆でスイーツを食べようぞ!」
「ブルース、すいーつってなんだ?肉か?」
「違うでござるがとても美味しいものでござるよ。さぁ、ちーちゃんも行こうぞ。」
「…甘いもの、好き…!」
「うむ。…すいーつ?」
わらわは聞き慣れない言葉に戸惑いを隠しきれんかったが、おとなしく着いて行くことにした。ブルースのめっ!には逆らえないのだ…ぐぬぬ…!
少し歩くと甘い匂いが漂ってきた。なんじゃ、この匂いは?わらわは少し幸せな気分になりつつも独り言のように呟いた。
「なんじゃ、この甘い匂いは?」
「これがスイーツの匂いでござるよ。主殿と同郷の旅人が伝え広まった素晴らしい食べ物でござる!ちーちゃんもカミツレもティアも楽しむといいでござるよ!きっとびっくりするでござる!」
「オレこの匂い知ってる。美味しい匂い!」
「…クレープだ!私好き!」
「くれーぷ?なんじゃ、その珍妙な名は?」
店の前に着くと無口な雪妖精、ティアが感情を露にした。口数が少ないので意志がないのかと思ったがこれはわらわの早合点だった。今も絶妙な笑顔をし、しばし興奮している様に見える。
はて…くれーぷとやら…!ティアが表情を返るほどとはどれ程のものか…!わらわが喰ろうてやろうぞ!
「カミツレはチョコ生クリームバナナ、ティアはホイップカスタードベリー、ちーちゃんは拙者と同じで良かろう。はい、ピーチアーモンドチョコカスタードでござる!」
青い悪魔から手渡されたのは温かい生地の中に果実が入っておる食べ物じゃった。ふむ、これがすいーつとかいうやつか!わらわが試してやろうぞ。
「どれ、…はむっ!ッ…………!」
な、なんじゃこれは!口の中で甘味と酸味が重なりあい絶妙なハーモニーを掻き立てる!よほどわらわは味気無いものしか食べてなかったことを痛感した。この三日間新たな主の元に来て一番嬉しかったのは食事の改善だったが…!
今まで食べてきたそのどれをも圧倒的に凌駕し、超越したのじゃ!
止まらぬ、止まらぬぞ!!
「どうでござるか、ちーちゃん?」
「ふ…ふふ…!」
「ちーちゃん?」
「フワーッハッハッハ!認めてやろうではないか…!くれーぷとやら、わらわを一口で虜にするとはまこと甘美なる誘惑…!気に入った!気に入ったのじゃ!」
「あ…ありがとうございます…?」
くれーぷ屋の人の子がわらわに感謝の言葉を延べ平伏した。ふん、善きに計らえなのじゃ!
「おー、ちーちゃん!そんな一気に食べるとはかなり気に入った様でござるな!良かった良かった!だがお店の前で大声を出すとお店の人や他の通行人の迷惑になるから端に移動するでござるよ?」
「うむ…分かったのじゃ。」
青い悪魔にぴしりと怒られわらわは頭を下げた。何故高貴なるわらわが頭を下げねばならぬ…解せぬ!
「うおー!甘い!甘いぞー!オレ肉食いてえ!」
「…美味しい。ブルース、もっと食べたい。」
「ではティア、二人分を渡すのでちーちゃんの分も買ってきてやって欲しいでござる。ちーちゃんはお金の使い方が分からないのですまないでござるな。」
「…分かった。チトセ、一緒に買いに行こ」
「う…うむ!」
ティアに手を引かれまた人の子の成す列に列び始める。だが外の世界にはこんな素晴らしい食べ物があったなんてわらわは気付きもしなんだ。そこはブルースと新たな主のお陰よな。
べ、別に感謝などはしないがわらわに毎日くれーぷを捧げるのならば、してやっても構わんがな。ふん…!
「ブルース、肉!にくぅー!」
少し離れた所でカミツレ…駄犬が吠えておるわ…折角感傷にひたっておったのに台無しじゃ。躾がなっておらんぞ飼い主よ!
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その翌日、わらわの主は昼食の後忽然と姿を消した。わらわとブルース、人の子達で班を作りそれぞれ別の階層を探索しておったがどうやら大型転移罠を踏んでしまったらしい。まだわらわ達の中では誰も足を踏み入れた事のない48階層を探索しておった時じゃった。
その場は混乱と化し誰もが慌てておったが青い悪魔…ブルースだけは落ち着いておった。
「わらわが飛んで探そうかの?」
「その申し出はありがたいが、今はある程度固まって動いた方がいいでござる。一度広場に戻るでござるよ。」
セレナと何事か話していたブルースはそうわらわの提案を断ると入口の部屋へと移動した。
わらわは話半分に聞いておったが突如としてブルースは百を越える数へ分散し、各階層に侵入させる作戦とやらを開始したではないか。
こやつ、まだこんな奥の手を持っておったとは…
ぐぬぬ、やはりわらわではブルースには勝てぬのか…?
いや、今に見ておれ!
わらわが今度こそお主を地に伏せさせてやろうぞ!!
それよりはまず、新たな主…いや、もう意地を張るのはやめだ。ソラトを何としても救出しなければ…!
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三日が経った。ソラトは未だに見付からない。49階層までにそれらしき者の姿はなかった。深層…50階層から下は何百年か前に人の子が一度踏破してからは成されなかったという。
わらわは思いの外悔しく思っていた。わらわとブルース、カミツレで深層に潜ればソラトを見付けることなぞ容易いだろう、そう思っていた。だがブルースはこう言ったのじゃ。
「50階層以降には必ず守護者がおるでござる。更に転移石板が作動しないと聞く。何層かは降りれても必ず何処かで躓く可能性があるのでござる。情報を逐一集め全ての力を使わぬと主殿とモネの救出は叶わぬでござる。心に留めておくが良い。」
その気迫迫る表情にわらわは頷く事しか出来なかった。そして斥候とブルースを先頭に皆で50階層へと足を進めた。
次回はソラト視点に戻ります。
意外と人気なチトセ、如何でしたか?
貴方のお気に入りキャラが居たら感想に書いて頂けると如月は跳び跳ねながら小躍りして全裸でバク天をするかも。(大嘘
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