OZ系女子
ノリと勢いって大事だよね。
※40部から三章と区切らせて頂きました。
後出しですが御容赦ください。
おっす皆!俺は結城空人!20才の爽やか系青年だ。今日はダンジョンにて俺の彼女くっころ系美女セレナ!の部下を引き連れてレベリングツアー中だ。若い子が多いが俺の命令を素直に聞いてくれる良い子達だから安心して俺も指示を出せる。
今も三体のハイオークを囲んで皆でフルボッコ中だ。
「死ね!死ね!オラ!」
「ひゃあ~!早く死んでください!えい!えい!」
「ヒャッハー、豚野郎は皆殺しだぁ!死ね死ねぇ!」
「オーク、殺す。絶対、殺す。」
十代、二十代の武装した少女達がハイオークを返り血を浴びながら囲んでタコ殴りにしている。怖い確信。
まぁ、ハイオークは女性を捕らえて孕ませる様な云わば女性の天敵だからな。俺と初めて会ったときもハイオークにぐへへされてたのでトラウマもあるんだろう。
フェルト、ホーリー、クレマ、モネの四人と俺、それと分身体のブルースを引き連れ27階層で暴れ回っていた。現在俺のスキル、パーティー編成はレベル7で七人までと繋がりを持てる。上記した四人とブルース、セレナ、アンリエッタさんを選択している。
「ソラトさん!後ろからケンタウロスが来ています!かなり多いですよ!」
後方警戒をさせていた一番若いモネがそう知らせてくれる。あの数はこのパーティーじゃ荷が重いな。ブルースと俺で間引きしておくか。
「わかった。モネ、皆とここで警戒しておいてくれ。ブルース行くぞ。」
「承知!先行します主殿!」
ブルースは駆け出すとあっという間に俺を置き去りにしてケンタウロスの群れへと突っ込んだ。全部で四十以上はいるか?接敵すると光剣の一撃で数体を薙ぎ払って倒していく。これは俺も敗けてられないな。遅れて到着した俺はアイシクル・ブロウを発動し拳を握りしめ手近なケンタウロスへとお見舞いした。
「凄い!」
「ソラトさんかっこいい!」
後ろからきゃーきゃーと黄色い声を浴びながら俺は平静を装って戦っていた。ふふん、どうだ!悪い気はしないがこんな姿セレナに見られたら嫉妬されそうだな。まぁ今だけは良いだろう。てか警戒してくれって頼んだのにこっち見てるのか?後で一言釘を刺しておこう。
後ろから近寄ってくるケンタウロスを振り向き様に殴り飛ばすと俺はアイシクル・ボールオリジンを発動し数体を巻き込み攻撃した。
ブルースのほうをちらりと見ると既に担当していた半数を倒しきっていた。
「ブルース、援護を頼む!」
「承知!」
巨大な水流のビームを手から出し十体を纏めて昇天させたブルースは俺の背中側に立って光剣を構えた。俺もファイティングポーズを取り臨戦体制を取る。
五分と係らずケンタウロスの群れを倒した俺達は少し休憩を取ることにした。
「ブルース、他の班の様子はどうだ?」
「しばしお待ちを。ふむ、順調に魔物を狩って回っているようで御座る。セレナの班はカイン殿の協力のお陰か現在48階層へ入った様でござるな。」
「そうか、安心した。俺達はゆっくり実力を付けてから先に進もうとするか。」
「はい、ソラトさん。あ、ブルースさん!お水を頂けますか?」
「はいでござるよ。」
水を飲みたかったのかモネがコップを差し出すとブルースが手から水を出す。スライム系美少女の体内から出た水。ごくり…考えようによっては卑猥な解釈も出来るな。や、やめよう。俺のマイサンが大暴れしてしまう。
「ブルースさんって凄いよね!何であんなに強いんだろう…?私も早く強くなりたいなぁ」
モネがそんな事を呟いた。ブルース先生は強いからな。それでも今日一日で皆五レベルは上がってる。モネは十も上がってるんだ。焦る事はないと俺は伝えた。
「わぁー本当だ!凄い…!」
自分のステータスを開いてレベルを確認したモネは関心していた。他の三人も似たようにステータスを開きわいわい言い合っていた。
「まぁ、急速なレベル上げで体が着いてこないかもしれないから戦いながら覚えればいい。俺も人の事は言えないけどな。」
つい一月前までは俺も戦えない素人だったんだ。けど数をこなせば体が覚えてくる。
この世界は優しくない。ゲームの様な世界観だけど人の命なんて羽よりも軽く散ってしまう様な危険極まりない世界だ。俺は正義の味方じゃないけれどそんな儚い命を守れるのならば守ってやりたい。彼女達にも身を守る術は身に付けて欲しいからな。
「そろそろ移動しようか。モネ、あまり水を飲みすぎるなよ?戦闘中に催したら大変だからな」
少し下世話な話だがガバガバと水を飲んでいる年若い騎士見習いの少女に釘を指しておく。
顔を少し赤らめて悪戯が見つかった子供みたいな表情をしてごめんなさいと謝られた。
厳しくしておかないといけないからな。
セレナとアンリエッタさんにバシバシ鍛えるよう言い含められてるから皆には悪いが嫌われることも覚悟で俺は鬼教官となろう。
ダンジョンに入って七時間、魔物を見つけてはサーチアンドデストロイを繰り返していくうちに気づけば魔物狩りに夢中で昼食を食べ忘れていた。
「そろそろ一旦下がって昼食にするか。そのあと28階層に降りてみよう。」
「やったー!お昼ご飯!モネお昼ご飯好きぃ!」
「ブフッ!」
などとはしゃぐモネをフェルト、ホーリー、クレマがたしなめるが俺は思わず吹き出してしまった。
そのネタを知ってる訳がなく素で出してしまったんだろうけど思わず吹き出してしまった。
「ごほっごほっ…はぁ…はぁ」
「主殿大丈夫でござるか?これを飲んで下され。」
「あぁ、すまない。」
セレナが水を手渡してくれたのでそれを飲み干すと俺は呼吸を整えた。
ダンジョンを一度出て近くの食堂に入るとセレナ班とアンリエッタ班が既に席を囲んでいた。
「拙者が伝達しておいたでござる。ささ、セレナ殿の隣に腰掛けると良かろう。」
「おーソラト!この肉ウマイぞ、お前も食べろ!オレもいっぱい食べるぞ!」
「…はぁ…貴方はいっぱい食べたでしょ。ソラト早く座って。貴方が座らないと隊の皆が食べないから。」
俺を見つけて声を掛けてきたカミツレをぴしゃりと叱ったティアに促され俺はセレナの隣に腰掛けた。俺の班の皆は厳しくしつけられているのか俺が座るまでずっと立っていた。
「悪いなティア。そっちはどうだ?探索は順調か?」
「…ええ、それなりには。アンリエッタが思っていたより良い動きをするから助かっているわ。…それにユリアンもね。」
ふふん、と聞き慣れた声が聞こえ此方に向けて主張してきた。
「そうか、アンリエッタさんくれぐれも無理をしないでくれよ。ユリアンもありがとな。」
「まぁ、この僕が居ればダンジョンの低層なんて余裕さ!問題は40階層からかな。今までソロでやって来たから苦戦していたが今は仲間が居るからね。」
腰に手を当て立ち上がると垂れた前髪を持ち上げてイケメンのみに許されしポーズを取った。ぐぬぬ…
「ああ、そうだな。追加で銀貨を五枚支払うから明日から暫く一緒にダンジョンへ行ってくれるか?」
「報酬はそのままでいいさ。僕はお金が欲しいわけじゃないからね。」
「ん?良いのか?」
「当たり前さ、友人の頼みだからね!少しでも君と共に戦いたいだけさ。」
「そうか…ありがとな!」
適当に飯を頼んで済ませると改めて全員を鑑定した。
ブルースとチトセ、俺以外の全員が5レベル以上、上がっていたので安堵する。一番レベルが低かったモネは48から61まで13も上がっている。
俺のスキル凄すぎないか?俺が何かした訳ではないがスキルが優秀すぎる。転移者あるいは転生者のアドバンテージってやつか。
「とりあえず今日はこのままで行くけど明日また再編成するか。レベルだけ上がっても技量が身に付かないと拙いしな。」
「左様でござるな。体捌きを会得しているのといないのでは全然違うでござる。拙者が直々に指導するでござる。」
独り言の様にごちると聞いていたのか、ブルースが同意してくれる。ブルース先生、手加減はしてあげてね?
「そいつぁいいな、おう、ソラト!さっきユリアンに話していたことだが俺も付き合うぜ?しばらく世話になる。」
「良いんですか?カインさんが居てくれれば百人力だ!宜しくお願いします!」
俺達の会話を聞いていたのかカインさんがユリアンと同じ様に同意してくれた。ベテランのカインさんが指導してくれるのは助かる。俺も近接戦をするがこの際だから武器の扱い方を教わろうかな?
「のう、人の子よ!わらわは疲れたぞ、甘味を所望する!」
「あぁーはいはい。んじゃこれで適当に買ってこい。」
「こら、物を投げるでないぞ人の子よ!危うく落としかけたではないか!」
「すまんすまん。親父、会計だ!」
ぷりぷり怒るロリババアドラゴンに軽く謝ると俺は席を立ち上がり支払いを済ませる。
銀貨十枚を取られたがそれなりに美味しかったのでここはグッと堪えた。しかし相当な額だよな十枚って…まぁ大所帯だから仕方ないがそれでもこの人数なら銀貨三枚で十分食べられるはずだ。肉肉と言っていたカミツレが犯人だろうけどこれはしょうがないよな。
「俺達は先に行く。金はセレナに持たせておくから好きなように使ってくれ。ただし無駄遣いはするなよ?」
「あぁ、また夜会おう。」
セレナと短い会話をしてダンジョンへと向かうことにした。
OZ(オーク絶対殺す)系女子
明日午後も更新します。理由は明日の前書きにて