表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

BLゲームってだけでわりとR指定になるよね

誤字、脱字ありましたら、こっそりお願いします。


私がゲームについて覚えていること。


攻略対象のキャラの容姿と名前。

それから、バッドエンドにえげつないのがいくつかあること。



攻略キャラは、今はおいておくとして……問題なのはバッドエンド。

それこそ、ゲームのあらすじは少女漫画を学園もののBLにしただけかってくらいぬるかったのに、R18だったのは間違いなくそのえげつないバッドエンドのせいだ。本編はほのぼのなのに、いくつかのバッドエンドのせいでどこかシリアスな雰囲気が漂うゲームってどうなの?

だから、前世の記憶を思い出したあの日、私はひそかにもうひとつ誓いをたてた。


それは、大和をバッドエンドにさせないこと。



恋愛は自由だし、大和が好きなら相手が男の人だって文句は言わない。

でも、それは相手が真っ当な人だったら、だ。私の大事な家族を不幸になんて絶対にさせない。

大和が彼氏を、彼女の可能性もあるけど、連れてきたら、それはもう厳しく審査してやるんだから!


おっと、話がずれた。

とにかく、私は大和のバッドエンドを回避したいんだけど、肝心のストーリーをあまり覚えていない。

やり込んでいたのは腐のつく友だちだし、いろいろ聞いていたけど別に私が腐というわけでもなかったから右から左へ通り過ぎて行くだけだったのだ。

ジーザスっ!肝心なところで役に立たない前世の記憶だ。

誰か私に、どうしたらバッドエンドを回避できるのか教えてください。







「…な、花!またぼーっとして、大丈夫か?」



どうやら、ゲームのことに思いを馳せていたら入学式が終わっていたようだ。

いけない、校長先生のありがたいお話も何も聞いてなかった。




「……大和。うん、大丈夫!

大和の貞操は私が必ず守ってみせるからね!」


「………っはぁ!?」



大和が素っ頓狂な声をあげる。

あれ、どうやら考えていたことをそのまま声に出してしまったようだ。

幸いだったのは、周りに人がいなかったこと。


それでも、ドン引きだけど……



「何 言ってんだ!花!」


「あ、えっと、そうじゃなくてね…」



こういう時はあれだ。誤魔化すにかぎる。

でも、なんて言えばいい?

大和はこれからたくさんの男の人に言い寄られるから心配なの、いやいや、率直すぎるでしょ!

それとも、女の子よりも可愛いから男が放っておかないんだよ、これは間違いなくケンカ売ってるね!却下で!!


一体、どう言えば……



「俺のことよりも、天使な花の方がよっぽど危ないからな!

いいか、これから登下校は絶対に1人でするなよ。特に夕方、暗くなってからの1人歩きなんてぜっーーーたいにダメだからな!

あと、もし男から呼び出されても1人で行くとかなしだから!俺か……っ最悪、景人でもいいから付き添ってもらえ!いや、むしろ、そんな呼び出しシカトしろ!

あーーーっ、もう、ほんとにこんなに可愛くてお兄ちゃんは心配だよ」



あ~、そうだった。大和はこういう奴でした。

母親譲りの金髪碧眼の天使のような見た目なくせに、シスコンを隠しもしないせいでもれなく残念なイケメンの称号を冠している。

……まぁ、私も大和のことを言えないんだけどね!



「花、返事は!?」


「はぁーい!大和は、相変わらずお兄ちゃんなのにお父さんだね~」



思わず、クスクスと笑いがもれる。

それを見て大和は、頬を染めてハグをしてくる。



「当たり前だろ!花は自分の魅力に気づいてないから、余計に心配なんだよ!」


「はい、妹バカいただきました~。そんなこと言うのは、大和だけだよ!

私は大和と違って、いたって平凡なんだから」


「っもう、花はまたそんなこと言って……」


「だって、本当のことだもん!」


さすがに小さい頃から言われ続ければ勘違いもできない。

天使のような可愛い兄と平凡な妹。

でも、そこに卑屈な感情なんてひとつもない。

だって、そんなことを言うのはいつだって私たち兄妹の外面しか見ない人たちだ。

両親はもちろん、けいちゃんも私たちの友だちも誰もそんなことは言わない。

つくづく、私は周りの人に恵まれていると思う。


私からもハグをすると、大和はさらにぎゅーと力を込める。

2人でぎゅーぎゅー抱き合ってふざけていると、私にとってもう1人の兄と呼べる人がやって来た。



「はーい、そろそろ2人の世界から戻って来てくださーい。

もう他の新入生は移動してますよー」


「あ、けいちゃん!」


「新入生の花はとりあえず、教室に移動しようか。

教室でオリエンテーションしたら今日はもうおしまいでしょ?」



飛びつくようなハグも軽く受けとめ、けいちゃんがさらりと軌道修正する。

さすが頼りになる兄、やりおるな。

でも、さすがに新入生はみんな移動しているので出遅れているのもたしかだ。



「大変だ!」



これから始まるゲームへの不安を振り払うように急いで教室へ向かうのだった。

大和は残念イケメンです。ただしイケメンレベルが高いので、それでもモテます。

むしろまともなイケメンだったら、高嶺の花だったかもです。男ですが…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ