第7試合 再始動
4月になった。俺や天堂たちは、最高学年になった。
新入生歓迎の顔合わせは、体育館に部員全員が集まって行われた。
男子部、女子部、合わせて10人以上が並ぶと、それなりに賑やかな絵になる。
新入部員は4人。男子が2人、女子が2人。
緊張した面持ちで並んでいるのを見て、2年前の自分もこんな顔をしていたんだろうか、とぼんやり思った。
自己紹介は、学年が上から順番に回っていく。
天堂が主将として全体の挨拶をして、それから一人ずつ、名前と簡単な一言を添えていく流れだった。
「主将の天堂大河だ。両面ドライブでガンガン攻めるタイプなんで、ラリー好きな1年は歓迎するぜ。まずは体力づくりだな。目標は全国制覇だ。うちは5年前に全国ベスト4まで行っている。遠い目標じゃないと思う。みんな、力を貸してくれ」
声を張った天堂の自己紹介に、新入生の何人かがつられて背筋を伸ばした。
「鹿鳴館黎。三年。シェイクの粒高と裏。ロクでいいよ」
ひょろりとした身長の高さとリーチ。
試合中とはまるで違う、気だるげな調子でそれだけ言うと、ロクはすぐに口を閉じた。
何か言いたそうにしていた天堂が「もうちょっとあるだろ」と横から突っ込んだが、ロクは肩をすくめただけだった。
背中近くまである長髪が風に舞う。
こいつが試合になると豹変することを、新入生たちはまだ知らない。
「大石修です。3年、副主将です。気軽にシュウと呼んでくれればOK。ラケットは、まあ、見ての通り変わってるやつ使ってますけど、気にせず何でも聞いてください。主にダブルスが主戦場かな」
まとめ役らしい、柔らかい笑みでの自己紹介だった。
シュウのラケットは「ハンドソウ」、いわゆるピストル型のシェイクハンドラケットだが、回転がかなりかかる特殊な構造をしているため、ダブルスにはめっぽう相性がいい。
「影山和靖。3年です。ペンホルダー中国式、表ソフトに裏面打ち。よろしく」
短く言って、すぐに視線を下げた影山に、天堂が「もっと自信持てって」と声をかけている。
俺の事故で補欠から正メンバーに上がった経緯を、まだ完全には消化しきれていないのが伝わってくる態度だった。
自分の番が来る。
「結城雄介。3年です」
言葉を、一瞬だけ選んだ。
事故のことを、どこまで話すべきか。
だが、隠すようなことでもないと思い直した。
「10月、交通事故で、右腕を肘から先を欠損している。見ての通りだ」
軽い調子で言ったつもりだったが、新入生たちの空気が、少しだけ固まったのが分かった。
無理もない。実際に、あるはずのものがないんだから。見ないようにしても見てしまう。
「今はサーブのトスもだいぶ安定してきたところで、団体戦に戻れるように練習中。基本はフォアドライブ・バックカットです。困らせるくらい拾うんで、よろしく。あ、油断しちゃダメだぞ、ちゃんと攻めるときは攻めるからな」
最後の一言に、少しだけ笑いが起きた。
緊張がほどけたのが分かった。
「早坂久寛です。2年は俺だけ!他はみんな練習きついんでやめちゃいました。先輩からは「ヒサ」と呼ばれてます。日ペンドラ。絶滅危惧種です。ただフットワークだけは自信あるんで、球拾いなら誰にも負けません」
早坂の自己紹介に、また小さな笑いが起きた。
緊張していた新入生の表情も、だいぶ和らいできている。
女子部側でも、同じように自己紹介が続いていた。田中灯がキャプテンとして威勢よく挨拶をし、岸田輝夜が落ち着いた声で「副キャプテンです、何かあれば聞いてください」と締めくくる。二人の温度差に、新入生たちが戸惑いながらも笑っているのが見えた。
新入生の中に、明らかに只者じゃない気配をまとった女子がいた。丸山美海。
あとで聞いた話では、全日本U15代表クラスの実力者らしい。
女子部の自己紹介が始まった。
【キャラクターズファイル】
鹿鳴館黎…シェイクハンド粒高裏・異質攻撃 身長189cm
パワー…3 スピード…3 テクニック…5(に見せる) 守備…5(に見せる) 経験値…5(に見せる)
サーブ…4
大石修…ハンドソウ攻撃型裏裏 174cm
パワー…4 スピード…2 テクニック…3 守備…4 経験値…4 サーブ…3
影山和靖…中国式ペンホルダー裏面攻撃 179cm
パワー…4 スピード…4 テクニック…3 守備…2 経験値…3 サーブ…3
早坂久寛…日ペンドラ 161cm
パワー…4 スピード…4 テクニック…3 守備…2 経験値…3 サーブ…2




