表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
R15 終末世界で、執事は僕を調律する。~人外執事×傲慢坊ちゃま~  作者: 島田まかろん三世
第一章 北海道編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/12

 僕は久世の腕の中に閉じ込められ、窓から庭へと飛び出た。


 きっと、昨夜もそうだったんだ。

 目覚めた時の状況からして、僕はこの男にこうして運ばれたのだ。まるで子犬か、か弱い令嬢のように。


 この姿を、いったい誰に見られていた!?

 ああ、屈辱だ!!


 もし、カレッジの連中に知られたら——終わりだ。


 なのに、久世の首に両手を回して必死に掴んでいなければ、僕は振り落とされてしまう。

 腹立たしい。けれど今は、仕方がないんだ。

 世界がおかしいのだから。


 久世の腕の中で揺れる視界の先――僕がそこで目にしたのは、六角柱の青く透明な何か。

 それが、地面から幾つか生えていた。

 人ひとり分の高さ。


 その間を、ゆらゆらと動く影がある。


「――あれは」


 庭師の。


 本来、手に持つはずの長い刈込鋏かりこみばさみが、いくつか体に刺さっている。いや、生えているように見える。

 それは青く発光しながら、こちらに駆けて来るではないか。


 久世が、溜息を吐いた。

 通りすがりに、その首が飛んだのを、僕は見た。


 裂けるような音は、なかった。


 断ち切られた断面から溢れ出したのは血ではなく、激しい青い光の粒子。

 頭部はそのまま輝く塵となって霧散し、庭師だった体は、糸の切れた人形のように、地面に崩れ落ちる。


 ……今のは。


 人を殺した?

 いや、人?


「久世?」


「なんですか? 坊ちゃま」


 眉根に皺を寄せ、苦しそうに、疲れたように、久世は僕を見た。


「……今の」


 声が、思ったよりも上擦っていた。

 僕は別に、びびってなんかいない。


 ただ――この世界は、どうなってしまったんだ?


「――パパは?」


 生きているのか。

 それとも、もう。


 聞いて――どうするつもりだ。


 僕の問いに、久世は一瞬だけ目を伏せた。


「そのうちに――」


 そう言って久世は、力なく微笑んだ。

 その微笑みの裏にある計り知れない空虚に、僕の背筋を、冷たいものが駆け抜けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ