044-6a シギ@見え方捉え方
□シギ@見え方捉え方
リアちゃんが何を思って私をこの話し合いに参加させたのか、全然さっぱりわからない。
カラスはその、なんとなく分かるんだけど。
物知りだし。
あとリアちゃんは、なんでイオリ様に少しキツめの言い方をするんだろうか?
私と喋る時とは全然違う。
ハッ!!!
ひょっとして私ってば、リアちゃんの中では特別枠!?
将来のお姉さん的な扱いとかだったりするの!?
なるほど、なるほど。
それなら納得。
こうして訳の分からない話し合いに参加させるのも、スイ様と同じ時間を過ごせるようにっていうリアちゃんなりの気遣いなのね!!
うん、そうね。なら仕方ない。
私だってやれば出来る子ってのをアピールしないとね。
とは言ったものの、神人の遺跡なんてじっくり観察なんてした事ないし、あんな瓦礫の山なんて見る気もしなかったしなぁ。
確かに水の確保は生命線だけれど、今まで探して見つからないなら、やっぱりきっと水なんて出るわけないのよ。
あれ?
ジョン様がこっそり抜け出した。
私もこっそり抜け出したい!
けれどスイ様のあんな真剣な表情を眺められる機会はそうそうないし…。
ああ、スイ様。
何をやっても素敵。
本当に絵になる。
指先の仕草ひとつひとつまでもが神懸かってます。
「ぐぅるるるぅ…。」
やだ。お腹鳴っちゃった!!
誰にも聞こえてないわよね?
みんな白熱してるもんね!
というか、さっきから微かに油の良い香りが漂ってきてるんだけど…。
おぅ!リアちゃん!
その大皿に山盛りのモノは何!!
絶対おいしいって直感だけれど分かるもの!
それってやっぱりジョン様特製のなにかなんだよね?
食べてもいいのよね?!
パリッ。
うま!
やばい、ジョン様。これマジやばい!!
手が止まらない!!
ジョン様素敵!!
さすが神様!
ジョン様って何の神様だっけ?
食べ物の神様でいいわ。決定。
食べてる間に話し合い終わってるし。
いつの間にかスイ様も居なくなってるし…。
迂闊過ぎる私。
それもこれもジョン様がおいしい食べ物を次々と作り出すせい!!
あぁ、キラキラちゃん達。
私も手伝うよ。
運ぶくらいはするよ?
ジョン様、今度は洗い物担当なのね。
本当によく働く。
神様って案外忙しいのね。
所帯じみてるけど。
ジョン様は一体どうやって美味しく食べる方法を開発しているんだろう。
調理は苦手だから、まったく想像できないわ。
あんなに美味しく調理できるなら、きっと料理を作るのも楽しいんだろうなぁ。
そうやって作った私の手料理をスイ様が幸せそうな顔で食べる。
きゃー!!
想像してるだけで幸せになる!
私も調理のスキルを磨かないと…。
でも神様に直接お願いするのも気がひける。
今度キラキラちゃん達に頼んでみよう。
あ。リアちゃんだ。
「準備が整ってからだけど、神人の古代遺跡まで水源の調査に行くわ。」
あぁ、やっぱり行くんだ。
面倒そうね。
でもまあ私はきっとイオリ様と一緒にお留守番。というか私の役目はイオリ様の警護だし。
「古代遺跡かぁ。いいな、俺もいつか行ってみたい。」
ジョン様も興味あるんだ、神人遺跡。
なんで男子ってあぁいうモノに心奪われるんだろう?
「あなたも行くのよ、ジョン。森人様達も一緒にね。」
お。よかったじゃないですか、ジョン様。
里の外を見たいって愚痴ってましたもんね。
ん、ナカゴちゃん。
「よかったですね!神人の遺跡。興味あったんですよね?」
ハハ。彼女も愚痴を聞かされた一人だったか。
うんうん、これでジョン様の愚痴も減っていい事だらけね。
おやおやぁ?
なにやらジョン様の挙動がヘン。
洗い物の手を止めて、上を見たり鼻をすすったり風邪ですかね?
いきなり自分の顔を洗い出しましたよ!
器と一緒に自分の顔も洗ってしまうなんて、流石にちょっと引きますよ?
え。
目が真っ赤。耳も真っ赤だ。
泣いてるの?
なんで?
どうして?
今の流れのどこにそんな要素が?
まったくもって分からない。
女の子に優しくされるのが、そんなに嬉しかったのでしょうか?
いやいや、神様がそんな事で涙を流したりしないでしょう。
それともアレかな、神人遺跡。
泣いちゃうほど嬉しかったのかな?
神様が泣いちゃうくらいのモノだったんだ。
今度通る時は、いつもよりしっかり見てみよう。
普通の人には分からない何かがあるのかもしれない。
ハッ!!
それを私が見つけたら、きっとスイ様も私の事を認めてくれるに違いないわッ!!
「リアちゃーん、私も調査に参加したいー!!」