1 少年と木
燃えていた。
家や木、いろんなものが燃えていた。そこに、一人の少年が血を流しながら泣いていた。
「...ぐすっ。」
少年の周りには家族の死体が散らかっていた。死体の目の前に大きく真っ黒な木。少年は、全てを失い泣いていた。
突然、少年の頭の中に声が響いた。
[少年よ、なぜ泣いている。]
「...誰?」
[俺か?俺はお前の目の前にいるぞ?]
「ふぇ、...木?」
[ああ、まあ枯れかけだが...]
「枯れる?」
[まあ、年をとりすぎてな。]
「...おじいちゃん?」
[せめておじさんにしてくれないか?]
「...おじさん?」
[ああ、ありがと]
「んっ、」
[ところで、...なぜ泣いている?]
「ぐすっ...僕は、守れなかった。
パパもママもじぃじもばぁばも
ミルも...ぐすっ、守れなかった!」
[なぜだ?]
「ぼ、僕が弱いせいで...僕のせいで。」
[...少年よ、力が欲しいか?]
「力?」
[そうだ、守りたいものを守れる力だ。]
「...いいの?」
[ああ、俺の体はもうすぐ滅びてしまう
しな。]
「...どうして?」
[俺はな神を滅ぼす木なんだ。]
「ふぇ、体様 倒すの?」
[それほど俺は強いんだ。]
「ならなんで死ぬの?」
[俺はな、俺を信仰する人がいなくなると
死ぬんだ。]
「.....」
[今は、俺の力でなんとか生きている
だけだ。]
「...ごめんなさい。」
[ははっ、いいさ。いつかこうなること
はわかってたしな。]
「じゃあ、なんで力をくれるの?」
[まあ、単なる気まぐれもあるが...]
「?」
[お前のその気持ち、気にいってな。]
「僕の気持ち?」
[ああ、どうだ?受けとってくれるか?]
「...うん‼」
[そうか、じゃあどっちかの手を俺に
触れてくれ。]
「うん。」
少年は左手で木に触れた。
[言っておくが俺の力を取り込むと
力が大きすぎて、体中に痛みが走る
がそれでもいいか?]
「うん、もう決めたもん。自分が守るって。」
[じゃあいくぞ。]
そう言って木は、自分が持っている全ての力を少年に送りだした。
「あっ、ああああぁ!!!」
少年の体中に痛みがはしっていく
[耐えろ!もう少しだ!]
そして少年が中へ全ての力を取り込んだ
瞬間、少年の体から強い光が出ていた。
[!!!...これは、]
少年の体は初めは緑色に光っていたが
次に黄金に光りさらに紫色に光った。
[俺は、とんでもないやつに力を与えて
しまったな。]
「すー、すー。」
[おっと、寝てしまったな。はっ、
かわいいやつめ。仕方ない、守って
やるよ。]
そう言うと木は最後の力を振り絞り
少年を火から守るように覆った。
[次、お前が起きる時には俺はもう
いない。力の使い方やお前の力は
お前の脳内に伝えといてやる。
だから、...その力、夢のために...
使え。]
そう言うと木はもう何も言わなくなった。
聞こえるのは、少年の寝息と燃え盛る
炎の音。そして空に輝く星が神を余裕
で倒せる存在きらびやかに祝福して
いた。
少年の名は、葉月相馬
(はづきそうま)




