濃い出会い
絵描くのに集中して小説更新してなかった案件
銀髪の髪を靡かせ、俺の前で仁王立ちを決め込んだ美少女は、座る俺を必然的に見下ろす形になった。それが嫌だったのか、銀髪少女は少し顔をしかめた。
「立って下さい」
「あ、ああ」
言われた通りに立ってみせると、今度は俺が銀髪少女を見下ろす事になってしまった。見た感じ彼女の身長は160あっていいところだろう。俺との身長10センチ以上の差がこの状況を生み出したのだ。
銀髪少女は今度は見下ろされる事に腹が立ったのか、先程よりも顔をしかめて手で座る様にジェスチャーした。全く忙しいものだ。
「で、何か用かな?」
「特にこれと言った用事はありません。ただ、これから苦楽を共にするクラスメイトとして自己紹介をしておこうかと」
なるほど、律儀な奴だ。
俺は感激のあまり、「おー」と口にしてしまった。
「私はセリアス・レイネース。Cクラスの学級委員を務めさせていただいています」
「ご丁寧に。俺はツヨシ…ってさっき聞いたか」
「確かに聞きましたが…もう一度名乗ると言う心がけは素晴らしいものです。その事を忘れないよう、覚えていて下さい」
セリアスが背を向け、歩き出す。短い会話だったが何となく彼女の事が分かった気がする。所謂、生真面目と言うやつだ。
しかし、何故セリアスの様なしっかりした人がCクラスにいるのだろう。そう疑問に思ったところで不意に彼女が足を止めた。
「後、予めに言っておきます」
「ん?」
「くれぐれもCクラスの、いいえ。学園の名を汚す様な行いはしないで下さい」
釘を刺す様に述べると、その後は一切振り返る事もなく教室を出て行ってしまった。
「あんな堅物がどうしてCクラスにいるのか、気になるだろ?」
「わりと気になってたところだ。なんでだ?」
「セリアスはさ、所謂天才型って奴でな。魔法の扱いに関しても頭の良さに関してもSクラス級なんだよ。それがどうしてCクラスなんかにいるのかと言うと…」
「あいつ、なんでか字書けないんだよ」
ハルートの台詞を奪い、リーナが教えてくれた事情に俺は驚いた。まさかセリアスがそんな事情を持っているとは思わなかったからだ。
「口ではスラスラと説明出来ても、字を書けなきゃ筆記試験の前では無力だしさ」
「そりゃ…そうだよな。何か救済措置とかないのか?」
「一人の生徒にそこまで尽くしてくれる程、このルカリナ学園は甘くなんかないんだぜ。可哀想だよなー」
どんなに強くても賢くても、字が書けないと言うだけでCクラスの仲間入りにされたセリアスに同情しつつ彼女が出て行った扉を見つめていると、台詞を取られて呆然としていたハルートが我に戻ってリーナに掴み掛かった。ここからはまた二人の喧嘩が始まるので以下省略。
騒がしい二人を余所に教室を再度見渡してみると、俺は徐々に生徒の数が減っている事に気が付いた。
「そう言えばこの後始業式とか言ってたな…今のうちに移動しとくか」
俺は教室を出ようとしていた黒髪長髪の男に近付いて声を掛けた。
「悪い、始業式やる場所が何処か分からないから着いていっていいか?」
「ふ、良かろう。同行を許すぞ!何、編入したてで戸惑う事もあるだろう。だが安心したまえ!これを機に俺が華麗に学園の全てを教えてやろうではないか!ふふはははははは!!」
「あ、やっぱりいいです。他の人に頼みます」
「まあ待ちたまえ」
ややこしい奴に声を掛けてしまった。
明らかに馬鹿丸出しな男がしつこく掴んだ肩を離さないものだからとうとう俺も諦め、このロン毛に大人しく着いていく事にした。
「俺はジェイル・ドラフコール!やがて魔王を討ちし勇者となろう男だ!今のうちに媚びを売っておくのだな!!」
「もう魔王倒されたらしいぞ」
「なぬ!?」
俺に、とは言わずに真実だけを伝えておく。それを聞いたジェイルとか言う頭の痛くなる様な男は心底驚いたと言わんばかりの顔をして硬直した。今のうちに別の人に頼ろう。
俺はそのままジェイルを放置し、偶然近くを通り掛かったユリカを掴まえた。
「どう?ここでの生活、何とかなりそう?」
「無理そう。濃い奴多過ぎる」
心の中に押し留めていた本心が漏れ出す。濃い。そう、濃いのだ彼ら彼女らは。
怠慢教師、喧嘩厨の男女、字の書けない堅物、痛い奴。この短時間での出会いがあまりにも濃過ぎた。
「定期的にユリカの裸体見ないとどうにかなりそうだ」
「ここでどうにかなってみる?」
そう言って片手に闇属性の魔力を実体化させるユリカを見て冷や汗を流しつつ、両手を挙げる。
ちなみにユリカの属性は全てらしい。規格外を体現したような奴だ。
「い、嫌だな。ジョークじゃないか、ジョーク」
「全く…とにかく、さっさと慣れた方がいいよ。近々クラス対抗戦があるみたいだから」
「へ…?」
そんな間抜けな声を上げて、俺はキョトンとするのだった。
「アレチェスカ王国」
世界一ギルドが多く、そして発展している武の国。
魔王が拠点とする闇国に限りなく近い位置に存在する所謂最前線…の筈なのだが、
そもそもの魔王軍は壊滅し、戦いに参加しなかった魔物達は自由になって何処かへ
行ってしまった為、魔物による被害に関しては一番安全な国となった。
ただ、今まで魔物に怯えて暮らしていた人々が恐怖から解放された事によってこれまでの鬱憤が
爆発し、結果人による被害が多くなった。
アレチェスカ王国の王城を中心に大規模な結界が張られていて魔王軍残党が攻め入った際に
魔物一匹も通させなかった。(結界については後日記載)




