002_守りたいものはありますか?改稿版_上
やり直す
そんな気分になった
9/14大幅改稿。
これは 「上」です。まだ続きがあります。
守りたいものはありますか?
どうしても、失いたくないもの。
命に代えてでも守りたいもの。
そう。私は命よりもそれが大切。
自分の命より大切なものを十代で見つけるなんて思ってなかった。
犬みたいな短い命を人間のそれに直すってあるじゃないですか。
あれが私にも当てはまるとするなら、私は今よぼよぼのおばあちゃんぐらいに相当すると思う。
それぐらいだって思うと、自分の命より大切なものを見つけてもおかしくないんじゃないかなって思う。
……ただ、私の命の価値はもうゼロにも等しい。
私の命は誰の役にも立ってないから。
コンコン。入るぞ。
大丈夫か?
でも、彼はやってくる。
幼馴染だったっていうだけで。
視覚は失っていて時計が見えないからどれぐらいの頻度で来てくれているのかはわからないけれど。
それでも、結構な頻度で来てくれているんだろう。
学校もあるはずなのに。
それが結構うれしい。
でも、それに対して何のアクションも取れないことが悔しい。
その優しさに、何も私は返せない。
それが本当につらい。
手でも動けば、また話は別なんだろうけど。
触覚と聴覚がかろうじて生きているぐらいだからなぁ……
生きてる今が本当に不思議だよ。
きっかけは一つの交通事故だった。
彼と一緒に自転車に乗って走っているとき、それは起こった。
彼のほうを向いて話していたが故に、前をよく見ていなかった。
ゴン。っと固い感触があった。
ふと見ると、銀色の鉄塊が私に向かって横から突っ込んできていた。
弾き飛ばされ、死を覚悟した。
でも空を舞う途中で私は気を失ったらしく、地面とキスした記憶がない。
次に目覚めた時には、今いる白い今部屋だった。
一年以上も前のことを思い出した。
懐かしい……というのはちょっと違う気がする。
死刑囚が、最後にたばこを吸うような。
最後に許された甘さみたいな、
漠然とした終わりの予感がする。
考えることすべてがマイナスな方向に行く。
だめだな。
私は。
でも、そんな私の心の中身を知らず彼は私に話し続ける。
昔一緒にいろいろ遊びに行ったよね。
公園とか、神社とか、夜の学校とか。
彼が話すのはいっつも昔のことで、楽しかったあの頃に彼を閉じ込めてしまっているのかな?とも思う。
そう考えると、また自分が嫌になる。
なんで迷惑しか、かけられないのか。
過去のことを語って、そして帰る。
いつも彼はそうだし、今日もそうのはずだと思っていた。
でも、違った。
彼は、私の手を握って言った。
外の気温とは違って、あったかい手だった。
涼しい風が吹いて、
寒い風が吹いて、
暖かい風が吹いて、
熱い風が吹き込んで、
今涼しくなり始めた。
あれから、一年が過ぎたんだ。
長いよな、一年。
俺にとっては一瞬だったんだけどな。
でも、いつも君が大好きだった。
持続的に、瞬間的に、いつも君が好きだった。
何度も、何度も君に恋をした。
終わってしまったあの頃を取り戻したかった。
何度も、何度も一緒に行った場所を思い出した。
もう一緒に歩けないんだって思いながら。
でさ、終わりそうだから最後に言う。
君が君のことをどれだけ卑下しても、僕は君のことが大好きだ。
恥かしいこと言った。と、彼はつぶやいた。
手がさっきよりあったかい。
なんか、私の気分もちょっと変だ。
彼のことが嫌いなわけがない。
ずっと前から好きだった。
だから、
この気持ちを
さっきの返事を
伝えたい。
どうにか。
ずっと見に来てくれて、
好きって言ってくれて、
ありがと
大好き
その後、私は大切なものを失くした。
それは、
手の、温かさ。
つづきまーす。




