探し物は何ですか④
『正恩!入りなさい。』
部屋に入ってきたのは、まさしく朴正恩であった。正恩は、おどおどし、キョロキョロしている。彩を恐れているのが分かる。
『正恩、その服を脱ぎなさい。』
もたもたしている朴に対し、容赦なく平手打ちをした。あの朴正恩に平手打ちをした。
『わたくしの命令よ。さっさとしなさい。』
朴は、仕方なく人民服を脱いだ。
『こっちに来なさい。』
下着姿の朴が彩に近づく。彩は朴の髪の毛を掴み、振り回す。数十本の髪が抜けた。その髪を人民服の上に置いた。
『はい。約束の品物よ。朴正恩の人民服。疑う者がいたら、髪でDNA鑑定するといいわ。』
俺は品物を受け取った。そして、朴に、こう伝えた。
『俺は死神だ。宗彩聖より怖いぞ。お前の命は、俺の手の中にある。』
俺は金の胸に掌を当てた。金の胸には、真っ赤な掌の跡が残った。弱い奴には、これが一番効く。
『出て行け!』
俺は朴正恩を叩き出した。彩は、笑って俺を見ていた。
『彩先生。ありがとうございます。ご恩は忘れません。お元気で。』
俺は、抱きしめ、口づけをした。
『さようなら、赤崎さん。かすみさんを幸せにさなさい。』
そう言うと、彩は不敵な笑みを浮かべ、部屋を出て行った。不敵な笑み、俺は、このとき、その意味を理解できなかった。
俺の心は、最後まで、彩先生に読まれ続けられていた。
昨日までの俺は消えた。俺は使命を果たすべく目覚めた。新たなヒロの誕生だ。全身の力がみなぎる。
その姿は金色のオーラをまとっていた。
ホテルをチェックアウトし、空港に向かった。すぐに異変に気がついた。数人の男が後をつけている。俺は、路地に入った。男たちは、慌てて走ってきた。6人だ。目つきが鋭い。『ちょうど良い。腕試しだ。』俺はそう思った。男が近づく。俺の黄金のオーラが輝き広がっていく。オーラに触れた瞬間、男は倒れた。今度は俺の方から、近づく。男たちは、次々と倒れていく。最後の男が拳銃を構えた。俺は構わず近づく。男は引き金を引いた。銃弾はオーラで跳ね返された。
『ば、ば、化け物だ。』
男は、後ずさりし、逃げて行った。CIAの暗殺者であった。彩の命令で、俺に襲いかかったのだ。
『先生。俺を試したんですね。』
俺は、嬉しかった。
北京空港でも、怪しい男の集団に狙われた。チャイニーズマフィアだ。俺は無視をして、集団の真ん中を通っていく。触れずして、バタバタと男が倒れていく。彩から伝授した能力が、完全に目覚めたのだ。
さらに、空港で、ある男とすれ違った。AGUの櫻井だ。すれ違いざまに、心を読んだ。お前も、借り物競争に参加してるのか。北京から平壌に飛ぶつもりだ。
『バカか。宗彩聖に殺されるぞ。』
俺は、振り向き、櫻井を追った。そして、気を送り気絶させた。
『先生。俺は、非常にはなれそうもないです。まだまだ、甘いです。』
櫻井を連れて、北京を発ち、日本に向かった。
東京に戻った俺は、AGUの北村のところに向かった。警備など無論、問題ない。近づく者はバタバタと気絶していった。北村の部屋は分かってる。最上階だ。エレベーターが開くと、数人の男が待ち構えている。俺は櫻井をその男たちに向かって、投げ捨てた。
『北村に会いたい。』
俺は一言だけ口を開いた。櫻井が目を覚めし、何やら言っている。ドアの奥から北村が出てきた。
『騒々しい。何の騒ぎだ。』
なかなかの貫禄だ。櫻井が近寄り、耳打ちした。
『貴様がヒロか?いつぞやは世話になったのう。』
『総帥、お目にかかれて光栄です。今日は土産をお持ちしました。』
俺は手提げ袋を北村に向けて投げた。
『なんたる無礼なやつ。いったいこれは何だ。』
『あんたが櫻井に命令してた代物だよ。悪いが、櫻井では役不足だ。俺が先に頂いた。総帥、あんたには、かすみのことで世話になった恩義がある。礼のしるしに、そいつをくれてやる。』
手下共が、袋をあさる。中からは、人民服が出てきた。
『こ、こ、これは。』
『そう、朴正恩の人民服だ。小さな袋は奴の髪の毛だ。疑うものがあれば、DNA鑑定でもすれば、本物だと証明される。』
『いいのか。』
『俺は構わない。ただし、参加したのは櫻井だ。櫻井が得たことになるぞ。裏世界の注目になる。暗殺者が世界最強と見て、攻撃の対象となるのは間違いない。櫻井に、それが務まるかが心配だ。最低でも2人の戦士を護衛につけた方が良い。』
『かたじけない。恩は忘れない。儂はお前の敵ではないぞ。必要な時は力になる。櫻井のことは、こちらでなんとかする。』
俺は、AGUを後にした。




