61 ネックホールダ―男爵の新製品
まだ続きます
今回は友人との酒盛りです
といいつつ、仕事の話です
社畜一直線
どこの世界も男は変わりませんね
主人公とのかかわりはもう少し後に判明します
男爵様は自分で考えて仕事しているようで実は主人公の手のひらで踊ってましたというオチ
ってもう言ってるやないか~い(笑)
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「結構軽いな」
オレが酒を注いでいるうちに、勝手にパイプに詰めて吸った上に文句を言ってきた
学生時代からの友人なので遠慮がなさすぎだ
まあお互い様だからな
お互いにバカをしたり、されたりの関係だ
だから長く付き合えるとも言える
・・・学生時代に大げんかしたのはいい思い出だ
よく仲直りできたな
今だったら無理だろう
まあ、そんな懐古趣味はさておいて
現在は御貴族様御用達の酒場の個室で男子会だ
もちろんオレの奢り
最近『旅人』で儲けたからな
・・・言っておくがたかられてはいないぞ
以前、オレが金ない時に何回も奢ってくれたからな
持ちつ持たれる
人生が終わるころにトントンになっていればいいんだ
それが友達ってものだろう?
って話がそれたな
元に戻そう
「ああそれは女子供用の試作品だ」
そういうと
「ん?女が吸うのか?」
驚いて聞いてきた
『旅人』は男が吸うものだろう?
男は仕事や家庭で大変だ
だからその手助けとなる『旅人』は必須だ
それなのに減らすようなことをするのか?
そう顔に書いてあった
・・・顔を見るだけで心がわかるのが良いんだか、悪いんだか
お互いに入婿だ
子供ができたら用済み
日々、肩身を狭くしている
そんな中、オレから融通される『旅人』と酒だけが心の支え
・・・小遣いが少ないから酒なんてめったに飲めないのはどこも同じ(涙)
数少ない楽しみなのになぜ減らすようなマネをする?
女子供に渡すくらいないら友人に回せ
顔がそう言っている
女子供は遊んで暮らしているんだから不要だろう
うわさ話と甘い菓子があれば十分だろう
だからその分親友にくれ
顔に書いてある
こちとら気の強い妻と、実権を渡さない義両親と一緒に住んでいるんだ
ストレスが半端ない
その解消のためにも心の友に渡すべきだ
顔に書いてある
・・・おいこら、ペンで書くな
おまえ酔いすぎだぞ?
『旅人』の量は減らないし、大丈夫だから!
そう言って安心させた
『旅人』は早い話、植物の葉っぱだ
この夏、というか去年から大増産するように畑を広げてきた(らしい)
今年は今までよりも簡単に手に入る(はず)
だから問題ない
ここまで詳しく説明してようやく納得した
言っておくが大増産するのはオレではない
かなり遠い南の国の貴族だか商人だかのことらしい
商人がそう言っていた
まあ、量が増えるなら誰がやってもいいんだけどな
だからといって『旅人』をただ売るだけなんて暇すぎる
だから新製品を作ってみた
ある日、『旅人』を吸っていると食欲がなくなることに気がついたんだ
だったら『旅人』に薬草の葉っぱとかを混ぜてみれば売れるのでは?、と思いついた
女子供はダイエットに必死だからな
絶対に売れるだろう
え?
そのまま売ればいい?
薬草を混ぜるのは、『旅人』は慣れないと気分が悪くなるくらいクセが強いからだ
女子供にはキツイってものだ
そんな欠点があっても効果があることが必要な男しか使ってない
でもハーブとか、薬草とかを入れればキツイのが治る(かも)
そう思って試しに自分で作ってみた
学生時代に薬草学やら毒薬やらの授業があったからな
貴族なんてものは毒殺したり、されたりが日常茶飯事だ
だから防御の意味もあり授業は結構しっかり組まれていた
・・・まさかその知識をこんなことに使うとは思ってもみなかったがな
言っておくが毒殺する実習なんてないからな
色々と試した結果、そこそこのモノができた
もっとも女子供用なので、男には軽すぎて物足りない
おまけにダイエットなんてのは無縁だ
そこで友人に助けて貰おうと新製品をいくつか用意した
要は家族か親戚か、誰かいい女子供が居れば試して貰ってくれ、だ
・・・効果があったら周りに宣伝してくれるってのもあるな
そうしたら勝手に吸われて文句を言われてた
まあいいんだけどな
酒に酔って忘れる前に言わないといけないと思っていたし
・・・酒に関する逸話が一杯あるからな
さあ、仕事(新製品のテスト依頼)も終わった
これからは酒の時間の始まりだ




