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第14話 王都観光

 俺たち一行が王都エリテアに着いた次の日、国王との謁見を無事に終え――国王の名前はクヴェル・ジャリオ・フォン・リファンて、謁見の内容は依頼の確認と魔族の事はこちらで調べるから何かあったときに動けるようにしておいてくれということだった――王宮の中庭に来ていた。


「謁見が終わったのは良いけど暇になったな」


 中庭の花や木を眺めながらポツリと俺が呟いた。


「そうっすね」


 その言葉をセナが肯定し、アインがコクコクと頷く。

 藍玉は俺の膝の上で丸くなって昼寝中だ。


「なら、王都観光などどうでしょう?」


 そう提案してきたのは第三王女であるミカエラだった。

 なぜミカエラが俺たちと一緒にいるのかというと、やっぱり彼女も暇らしい。

 王女とはいえ第三だし、王子もいるわけだから王位継承権などあるはずもなくーーあるにはあるのだが、実質無いも同然だーー仕事なども姉兄たちが優秀過ぎて回ってこないそうなので毎日暇になってしまうらしい。彼女は「兄弟姉妹が優秀だと大変です」と苦笑していた。

 そうは言っても、働かなくても聖金貨なんて大金があるのだから羨ましい限りだ。

 そして、毎日毎日暇で俺たち話し相手ができたのが嬉しいのか今日の朝起きてからずっと一緒にいる。

 

「そうだなー、観光でもするか。案内頼めるか?ミカエラ」

「はいっ、是非お任せください」


 俺がミカエラの案を採用すると彼女は嬉しそうに元気よく頷き「準備してきますね」と言って走って部屋に戻ってしまった。

 シエテは苦笑しながらも微笑ましいものを見た、といった様子で彼女を追いかけていった。

 シエテの態度もここ最近で随分と軟化してきたものだ。それがなにかはわからないが恐らく何かあったのだろう。

 一番最初に会ったときに睨まれたのが嘘のような変わりようだった。

 暫くして外行きの格好に着替えたミカエラと甲冑を着たシエテが現れた。


「お待たせしました、それでは行きましょう」


 門番に軽く挨拶をして王宮から出ると、ミカエラの右にシエテ、左に俺、俺の頭に藍玉、そして後ろにセナとアインの形で王都の様々なところを屋台で軽く串焼きとかを食べながらミカエラに案内されていった。

 最初に来たのは、道具屋だった。

 道具屋には一般市民向けの日曜雑貨から、冒険者向けの様々な道具が取り揃えてある。

 俺たちは迷わず冒険者向けのコーナーに向かい消耗品を補充した。

 といっても傷は自動回復(オートヒーリング)で回復するしそもそも自動防御(オートディフェンス)を破れるやつなんてそうそういないから怪我を負うこと自体ないのだから俺はなにも必要ないのだがな。

 と、商品棚を見ているとあるものが目に入ってきた。

 魔力回復薬だ。

 そもそも、魔力回復薬とはなんぞやという感じだろう。魔力回復薬とはその名の通り魔力を回復する薬だ。

 原材料はシノザの葉と水、これだけ。

 シノザの葉とは大きさ五㎝程の水色の葉っぱだ。

 まず水100mlにシノザの葉を一枚入れて水に魔力を込める、そしてシノザの葉が入った魔力を込めた水を一日程置いておき、次の日に水の色が透明だったのが紫になっていれば完成、らしい。

 そして紫になった水を小瓶に詰めて売ると、そういうことだ。

 ちなみに、回復できる魔力の量は込めた魔力に比例するらしい。

 込めれば込めるほど回復する魔力は増えるということだ。

 ここまで来てふと気付いた、「あれ、俺魔力回復薬作れんじゃね?」と。

 そう考えたら行動は早かった。

 道具屋に置いてあったシノザの葉を十五枚買い、小瓶も100ml程入るやつを十五個買ってアイテムボックスに仕舞った。

 シエテに「なんでそんなものを買うのだ」と聞かれたが「秘密だ」と答えておいた。

 成功しなかったら恥ずかしいからな。


「よし、次いこう次」


 俺たちは道具屋を出ると鍛冶屋に向かった。

 なんでも王都一の名匠らしい。

 鍛冶屋に向かう道すがら俺は不穏な噂を聞いた。

 なんでも帝国が軍を増強しているとか皇帝が女に誑かされたとかなんとか。

 まぁ、こっちに来て一ヶ月位の俺は帝国がなんだか知らんがな。

 暫く歩くと鍛冶屋に着いた。

 鍛冶屋には特に用はなかったので顔合わせだけして出てきた。

 次に向かうのは武具屋だそうだ。

 

「その前に、飯食おうぜ」

「そうですね、もうお昼ですし」


 ということになり近くのレストランに入った。

 王女様なんだからもっと他の豪華な店に入るのかと思ったが、違うらしい。

 ミカエラが入ったのは普通の平凡なレストランだった。

 俺たちはそこで気が済むまで食べると会計をし、店を出て武具屋へと向かった。

 そしてまた暫く歩く。

 十分ほどだろうか、歩いたのは。


「いらっしゃ……って姫さまじゃねーか、どうしたんだ?」

「ご無沙汰しています。今日はこの方たちに王都を案内していますの」

「ほーかほーか、ま、たのしめや」

「おう」

「ん?坊主の頭に乗ってんのドラゴンか?」


 俺の頭に乗っかって眠っている藍玉を指差して親父が言う。


「あぁ、相棒の藍玉だ」

「ほーほー、契約したのか?」

「そうだ」

「ほー、契約ねぇ」

「なんだ?」

「いやね、ドラゴンと契約できるなんてスゲーやつだなぁ、と」

「そうなのか?」


 俺は疑問に思ったので素直に聞いてみる。

 俺は素直だからな。


「そうなのだ。そもそも魔獣とかと契約するにはそいつよりも力が上でなけりゃいけねぇ、闘ってそれを示すとかだな。契約ってのはそれからだ」

「ほうほう」

「そんで契約ってのには二種類ある。契約した相手をそのままの形で顕現させる顕現契約と契約相手の能力を自分の思うかたちに特化させた武装とする武装契約だ」

「へー、よく知ってんな」

「知り合いの魔術師に聞いたんだよ、これでも俺は昔冒険者だったんでな」

「ふーん」


 どうでもよさそうに相槌を打つ。


「ふーんてお前、どうでも良さそうだな」

「うん、どうでもいい」

「おい」

「嘘だよ、冗談だからそんな怒んなって」


 ちょっと青筋のういていた親父をあわてて宥める。

 

「まったく……」


 まったく、と言いつつ矛は納めてくれたようだ。

 良かったなり。


「では、これで」

「おう、また来いよなー」


 ミカエラが親父に挨拶をして店を出る。

 そして他の店なんかも見ながら王都をブラブラして夕方まで時間を潰す。

 

「そろそろ帰るか」

「そうですね、もう夕方ですし」


 ということで王宮に帰ってきて、夕飯を食べて、風呂に入って、部屋に戻り今日買ってきたシノザの葉と小瓶を取り出して魔法で水を出して小瓶に流し込みその中にシノザの葉を入れて、一瓶につき25000ほど魔力を込めて机の上の置いておく。

 俺は明日の今頃を楽しみにしながら眠りにつくのだった。

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