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第12話 ミカエラ・ツヴェル・フォン・リファン王女

 俺がギルドからの指名依頼でエクレイルを瞬殺してから一週間が経っていた。

 この一週間でセナのランクがB下級からA下級へと上がったり、ランクアップ祝いで渡した武器を物凄く喜ばれたりと色々なことがあった。

 無論良いことばかりでもなかったが……、そう思いながら俺はエクレイルを討伐してその後に此方を伺っていたヴェリクから聞いた|《黄昏を齎す者》《ラグナレク》という組織についてゲオルグに聞いたことを思い出していた。

 何でもラグナレクという組織は世界的に活動が見られていて、その狙いは疎か規模も分かっておらずほぼ全てが謎に包まれている組織なのだそうだ。

 それでも多少は分かっていることもある。

 例えばラグナレクが絶大的な化学力と戦力を持っていることとか、七年前の獣人国家ベスティアに於ける天空に浮かぶ巨大な城である|《天空城》《シエル・シャトー》がラグナレクの手によって復活し、空に浮かび上がり消えてしまった天空城事件や妖精王国ネライダにある古代遺跡の奥深くに眠っていた大量破壊兵器|《鮮血の魔撃砲》《ツェアシュテールング》を組織が復活させてその力試しとばかりに行った大量破壊活動――通称、妖精の斜陽事件――など分かっているものだけでもこのような大事件をおこしたらしい。

 まぁ、あいつらが何であろうと俺がこの世界を楽しむ邪魔をするなら倒すだけだがな。

 そんなことを聞いたところでこれからすることが変わるわけでもないので宿で朝飯を食って屋台を巡って色々買い食いしながらギルドへと向かっているのだった。

 俺たちは元々近くにあるダンジョンに行くつもりだったのだが、どんなダンジョンなのか知るためにギルドの受付で聞くことにしたのだ。


「楽しみっすねーダンジョン、早くこいつを試したいっす」


 俺が合格祝いにやったエクレイル素材の双剣を嬉しそうに眺めながらセナが浮かれている。

 ここまで喜ばれるとは思わなかったが、喜ばれるのは案外悪いものでもないな。

 

「そだねー、でも危険だよ?ダンジョンって」


 いつも通りゆるーいテンションで話すアインだがこいつはこれで凄腕(?)の盗賊職だ。

 斥候としても役に立つし、ダンジョンにあるという罠を解除する上でも盗賊職のやつは必要になってくる。


「でもその危険に見合うだけの物は得られるのだろ?」


 そう言うのはうちのパーティの過激派担当でドラゴンの藍玉だ。

 藍玉は俺の一番目の仲間で配下だ。

 配下といっても契約上そういうことになっているというだけなので特に何ということもないがこいつはたまに過激派なことを言い出すのが悪い癖だな。


「まぁ、そーなんだけどねー」

「ハイリスクハイリターンか、望むところだ」

「ハイリスクハイリターン?なんだそれは」

「ハイリスクハイリターンってのは危険もあるけどそれに見会うだけの見返りがあるっつーことだよ」

「マスターは物知りだな」

「そーでもねーよ」


 俺たちがそんな他愛もない会話をしながら歩くこと数十分、相変わらず朝っぱらから賑わっているギルドに着いた。


「リナ、ダンジョンについて知りたいんだが」

「あ、シンゴさん。申し訳ないんですがギルマスの執務室まで来てくださいますか?」

「また何かあったのか?」

「来たら呼べとしか言われてないので分かりませんが……、あ、他の方たちもお呼びでしたよ。というかシンゴさんのパーティにお呼びがかかってましたね」

「わかったよ、ほら皆行くぞ」

「はいっす」

「はーい」

「うむ」


 なんだかここ最近ゲオルグの所に来すぎのような気がする。

 そんなに何か問題でもあるのだろうか、甚だ疑問である。

 第一、俺たち以外にも冒険者はいるのだ、それを何故わざわざ俺たちなのだろう。

 仮にランク的な問題なのだとしても俺たちと同じようなランクのやつらだって居ないわけではないだろうに。

 なんだってまったく。

 そんな考えても仕方のないことが頭の中をグルグルと回っている内に執務室前まで来ていたようだ。


「入るぞ」


 相変わらずの事後報告ぶりである。

 ゲオルグもいい加減それになれたのかここ最近何も言わずにため息を吐くばかりだ。

 そのため息は諦めではなく呆れのため息あるとともに、こいつには言っても無駄だろうな、などと思われているとは夢にも思わないシンゴだった。

 いつも通り入った執務室だが、いつもと違う点が一つだけあった。

 客が来ていたのだ、それも綺麗な身なりをして護衛らしき女性を侍らせたこれまた綺麗な十七歳ほどの少女だった。


「来客中だったか、出直そう」


 俺たちが執務室を出ようとするとゲオルグが慌てて止める。


「あぁ、待て待て待て待て行くなよおい!」

「来客中じゃなかったのか?」

「いや、そうなんだがとりあえず座れ」


 ゲオルグに勧められた席に腰を落ち着ける俺たち。

 俺たちが座ったのを見計らったかのようにゲオルグの秘書がお茶を置く。


「この方はお前たちへ指名依頼の依頼主だ」


 そう言って綺麗な身なりをした少女を指す。


「始めまして、この国の王女であるミカエラ・ツヴェル・フォン・リファンと申します。ミカエラとお呼びください」


 なんと王女さまのようだ、だからなんだ。


「それで?王女さまが俺たちに何の用だ?」

「おい、貴様っ!姫様に向かってその口の聞き方はなんだ!」

「シエテ、控えなさい」

「ですがっ!」

「控えなさいと言っています、聞こえませんでしたか?」

「っ、申し訳ありません」


 どうやらきちんと部下を御せるタイプの様だ。


「それで?何の用だ?」


 もう一度そう聞くとシエテと呼ばれた護衛が此方をキッと睨んでくるが無視だ。


「私の護衛が御無礼をいたしまして申し訳ありませんでした、後でじっくりとたっぷりと言って聞かせますので」


 その言葉を聞いたときシエテがたじろいだようだがこれも無視だ。


「今日はあなた方に依頼があって来ました、話を聞いていただけますか?」

「受けるかどうかは別だが」


 そんなことを言っているが指名依頼が来るということは信頼の証であり、これを蹴ると言うことはギルドからの信頼を失うことと同義である故に指名依頼が来たときは断らないのが暗黙の了解となっている。


「ありがとうございます。依頼というのは王都を救っていただくことに他ありません。それというのも王都に魔族が入り込んでいるようなのです。あなた方にはその魔族の討伐をお願い致したいのです」

「その魔族とやらの居場所は分かっているのか?」

「いいえ、まだです」

「俺たちに魔族の居場所を探し出して殺せと?」

「いいえ、魔族は準備が整えば一気呵成に打って出るはずです。あなた方にはそこを叩いて頂きたく」

「被害が出てからでは遅いんじゃないか?」

「そこは大丈夫です。魔族たちはまだ我々に自分たちの事がばれているとは思っていないはずですから事を慎重に運ぼうとするでしょう、そして事を起こすにしてもあまり大掛かりなことはしないでしょう」

「何故だ?」

「魔族たちの狙いは王都、延いては我が国でしょうから大掛かりなことをして王都を破壊しようものならその後の統治に影響がでます」

「成る程、魔族たちの狙いは国だから破壊などしようものならその後に修復が必要となり国庫が圧迫され、その後の統治に影響がでるようなことは避けるはずだ、と?」

「えぇ、ですからできることと言えば民草を扇動して利用することくらいかと」

「成る程……」

「受けていただけますか?」

「俺は構わんが、何より面白そうだ」

「面白そう、ですか」

「強いのと戦えるんだ、面白いじゃないか」

「まぁ、受けてもらえるのなら構いませんが」

「だろ?お前らはどうだ?」


 そう言ってパーティメンバーの藍玉、セナ、アインに聞く。


「構わんよ」

「ダンジョン行きが延びるっすけど、構わないっすよ」

「いーよー」


 満場一致で受けることになった。

 まぁ、こいつらならこう言うだろうと思ってたけどな!


「だ、そうだ」

「ありがとうございます」

「それで、報酬は?」

「聖金貨四枚に王金貨二十枚です」

「そんなに出して大丈夫なのか?」

「私のポケットマネーですので」


 さすがお姫さま、ポケットマネーで聖金貨四枚出てくるのか。

 恐ろしやー。

 まぁ、貰えるものは貰うがな。


「そうか、いつ出発だ?」

「明日にでも」

「了解だ。よし、帰って準備だ!」


 そうして俺たちは王都に魔族退治に行くことになるのだった。

 エクソ○ストみたいと思ったが、祓うのではなく殺すので退治だろう。

シンゴは戦闘狂ではありません、そんな感じに見えますが違いますw


いつも読んでいただきありがとうございます。


次の投稿は明日11/18(火)の予定ですが、学校行事で水戸にいくのでもしかしたら無理かもです


誤字や脱字などありましたら気軽にご指摘ください。


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