5、obvious/「戦う」と云うこと(5) Tessoの部屋
龍一が跳ね上げ式の扉を開けると
「やぁ、待ってました!」
笑顔の青年に迎えられた。
龍一は一瞬呆けて、下に嘉内がいることも忘れ、辺りを見回してしまう。
(これが、抜けニンジャーの部屋)
まず目につくのは大きなかまど。かまどを取り囲むように配置された大小様々な工作道具。大きいものは龍一の身長ほどもある。すり鉢、乳棒、金槌など見知ったものもあれば、鍛冶屋でしか見ない巨大なペンチ、作業台、水桶に火かき棒もある。粘土、鉱物、岩石が床の上、椅子の上、机の上、そこここに置いてあり、壁にはナイフのような刃物がずらりと飾ってある。
かまどのある壁と直角に水場があり、水場にもまた工作道具と思しき専門性が高すぎて龍一の知らないアイテムが雑多に並んでいる。
親切に扉を開ききってくれた青年は長い灰色髪を一つにまとめ、所々穴が空いたり破れたりしたエプロンを身につけて、作業台の上を片付けている。
(作業場……工房、て感じだ)
龍一が息を呑んでいると、「さっさと出ろウスノロ!」嘉内が下から暴言をぶつけてくる。
「あ、あの……お邪魔します」
龍一が緊張しながら出ると、「お気遣いなく〜」と青年は笑い、嘉内が文句を垂れながら龍一に続き出てくる。
「嘉内くん久しぶり。来ると思ってたよ。疲れたでしょ。ちょっと休んで行きなよ」
青年が、いそいそとカップを3つ用意している。
俺たち急いでるんで、と言いそうになった龍一を、嘉内が手で制する。
「春日龍一。こちらTesso。隊長子飼いの情報屋で武器商人だ」
「全部違うねアーティストだね!」
「待って。情報屋?」
龍一は情報の多さに眩暈を起こしそうになった。今日はきみ仁の知らない面ばかり見せつけられる。
「きみ仁が情報屋飼うって、え、きみ仁がなんでそんな?」
これだからお前は何も知らねぇってーんだ、と嘉内が呻いた。




