第85話 効果付き武具
「デウスさま! お逃げください!!」
腰に差した……日本刀?に似た剣をみると剣術科だろうか。一人の新入生がデウスたちに向かって叫んでいた。
また少し離れたところでは雷の微精霊がある生徒の周りに集まっていた。
「心配するな」
デウスは剣術科の生徒にそう言った。そして……
「霧散しろ」
ふっ……とロウソクの火が消えるかのように全てのファイアボールが消滅した。
……しかし、同じ攻撃がもう一度来た。
「みんな、霊力を温存したい。頼めるか?」
「「任せてっ!!」」
デウスは混乱の中、防衛を他のみんなに任せて術者の捜索に行った。攻撃の出どころで大体の位置はつかめている……が、まだ特定には至っていない。
(急がないと……)
焦るデウスに、雷の微精霊を漂わせた男の子が駆け寄ってきた。
「デウスさま。微精霊によると、術者はあの者かと」
「君は?」
「精霊科に入学することになった、トニトルスと申します。雷の微精霊と契約しています」
「そうか。ありがとう、助かったよ。ついてきてくれるか?」
「もちろんです! 微力を尽くさせていただきます」
精霊科のトニトルスという男の子が術者を特定した。会場である第三演習場の隅にいる男。……術者は案の定、ディスキ=プルースだった。
「デウスさま。私も護衛として連れて行ってはいただけませんか?」
先ほどデウスに向かって逃げるように叫んだ剣術科らしき女の子が駆け寄ってきた。
「えっと……君はさっき…の…」
「剣術科に入学します、ステラと申します。私も連れて行ってください、お願いします!」
「いいのか? 死ぬかもしれんぞ。理由は後で全員に話すが、僕は防御系魔法などは使えないぞ?」
「大丈夫です! 悪魔襲来の際に何もできなかったんです。今回こそは……戦ってみせます!!」
「そうか。……絶対に無理はするな。わかったな?」
「はいっ!!」
デウスは精霊科のトニトルスと剣術科のステラを連れて問題児の所へ走っていった。
一方そのころ……
「地帝龍! 土壁を!!」
「ペガサスは壁に結界を!!」
フェリスとルナは最初の攻撃を見てからすぐに地帝龍とペガサスを召喚しており、二回目が来る前に結界付きの壁を築いた。
「みなさん! 壁のこちら側に来てください!早くっ!!」
「みなさんは私たちが守ります!!」
フィリアとティアが壁にあけた通路に生徒たちを誘導している。……が、攻撃は待ってくれない。
再びたくさんのファイアボールが飛んできた。
「神眼・氷華!!」
「剣技 剣の舞」
氷華によってほぼすべての炎は凍り付いた。その取りこぼしの6個ほどをティアが舞うようなしなやかな剣さばきで切り裂いた。
右手に握られた剣で切り裂かれた火球は、剣に吸収されるように消えてなくなった。
「ティアさんすごいっ!! 炎を切り裂くなんて……さすが麗しい剣姫さまですっ!」
「そんなことないです。私のは神剣の力があってこそですから……。フィリアさんこそ、炎を凍らせるなんてでたらめができるのはフィリアさんくらいですよ?」
「そうかな? えへへ……」
「フィリアっ! デレデレしている場合じゃないですわよ!!」
憧れの剣姫ティアに褒められデレデレとしているフィリアをルナが叱りつけた。
「ごめんごめん、つい……」
「それじゃあ行きますわよ!」
「はい、あの問題児を止めましょう」
「あれ……絶対効果付き武具使ってますよね……」
「効果付き武具?ってなに?」
「効果付き武具はですね……」
ティアはデウスたちのほうに駆けながら説明してくれた。
効果付き武具とは、使用している人間の能力を大きく引き上げることができる武具のことで、それらには大体代償として自身の何かを失うのだという。
「あの攻撃の個数と威力、そしてすぐ二回目が来たところを見ると……恐らく効果は魔力増強・多重詠唱・詠唱省略の3つといったところでしょうか。でも代償は一体……」
「使用者の血液ですわ」
ルナが深刻な顔でそう言った。どうしてわかるの?という問いに、ルナは辛そうな表情で重い口を開くのだった。




