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第83話 プルース侯爵家嫡子 ディスキ=プルース



「よぉ金髪。また会ったな」

「あぁん? 誰……だ!?」

金髪の男は振り返った視線の先にデウスがいたことにぎょっとして変な声が出てしまっていた。


「公爵さま……どうしてこちらに……?」

「あぁ、もうすぐここで過ごすことになるからな。仲良くしてくれよ」

「公爵さまも新入生でしたか! 俺……私はプルース侯爵家の嫡子、ディスキ=プルースと申します。公爵さまとのご縁に感謝いたします」

「そうか。よろしくな。じゃあ僕たちはあっちだから、またな」

「はい。また……」

デウスはディスキ=プルースの足先がずっとそっぽを向いていたことに気づいていた。それは完全にデウスを拒絶している心理を表していた。


「デウス、どうしてあいつに声をかけたの?」

「ほんとですわ! 放っておけばよろしかったですの…に…」

「お前らな、もうすぐ教師になるんだぞ?個人的な気持ちで生徒を拒絶したらいけないし、拒絶されてもいけないんだ。まぁ……拒絶されてしまっているようだが」

「なるほど……デウスさまは一番年下ですのに一番賢いですね」

「そうなの! デウスは頭がいいんだから!!」

「フィリアがアホなだけだろ。それより早く行くぞ!」

ひどーい!!と頭をたたいてくるフィリアを無視してデウスは会場に向かった。






(……ったくなんなんだよあいつっ!!)

金髪の侯爵家嫡子のディスキ=プルースはイラついていた。

上位貴族であるディスキには挫折などなかった。望むものはすべて手に入った。

歩いているだけで平民たちはみな頭を下げる。女は向こうのほうから寄ってくる。

そして魔法も使える。金も権力も女も魔法も手にしている自分にはいかなる障害もないと思っていた。そんなある日……







「プルース家当主は国王への反逆罪によって処刑が執行された」

突然の報告にディスキは驚き固まった。脳処理が追い付いていなかった。そんなディスキに報告官が続けた。


「罪の内容は、領民への重税と悪魔襲来の際に逃げ出した国家背信、極めつけに褒賞式で功労者に高位の貴族位を与えると言った国王さまに対する強い反対意見だと。あの冷酷な国王さまに反抗するなんて、親父さんも頭が悪いな」

「……んだと!?」

ディスキは父親を馬鹿にされた怒りで報告官を殴りつけた。


「おいてめぇ……その貴族位を与えられたってやつはどんな野郎だ?」

「お…男1人に女が3人だ……。第2王女さまに黒髪の女と猫の獣人の女。そして赤髪の見た目はガキの男だ……」






(まさか……あいつら!?)

ディスキはムカつく奴らの顔を思い出しハッとした。


(洋食屋と合格発表の所で会ったあいつらは……親父が処刑される原因になったやつらだ!!)

はらわたが煮えくり返る思いだった。自分をコケにしただけでなく、親父まで……。しかしディスキは自分の実力では勝てないことは身に染みてわかっていた。


(くそう……くそうくそうくそう!!! どうして……どうしてだ…!!!)

順風満帆に、そしてやりたい放題にやってきたディスキにとっては耐え難い屈辱だった。




「これより入学試験合格者に対する国立フォールテム学院の入学説明会を始める!!」

学院長のレガティスが全合格者に向けて説明会を始めた。

入学の心得から制服にいたるまで、様々なことを説明していくレガティス。

生徒たちは真面目に聞くものもいれば寝ている者もいるし、説明そっちのけで喋っている者もいた。

そして終盤に差し掛かるころ。


「そして今年度から臨時教師としてSランクパーティ≪神々の代行者≫の4名と『剣姫』のティアモさまが赴任することとなっています。皆さん、この学園で多くのものを学び自分のものにしてください」

生徒たちは神々の代行者や剣姫ティアモの名前に大いに沸いていた。

……が、一人の男は少しも笑わずにデウスたちを睨んでいた。

その殺意のこもった視線にデウスたちもティアも全員が気づいていたが、あえて気づかないふりをして会場を去るのだった。


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