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第71話 歓声に潜む2つの悪意


国王から王命を受けた翌日。


「フォールテム学院の入学試験が2日後だから臨時教師として赴任するのはそれからなんだってなぁ……」

「まぁまぁ……おかげでゆっくり休めるじゃない!」

「そうよ! 最近命狙われるわ悪魔と戦うわで休まる間も無かったからちょうどいいですわ!」

「そうですね、一段落つきましたし入学式までゆっくりいたしましょう!」

「あぁ、そうだな。どうだ、今日はゆっくり王都の店でもまわってみるか?」

「「「さんせーい!!!!」」」

こうしてこの日はみんなで王都を散策することになった。

……のだが……。


「ちょっとあれって……≪神々の代行者≫達じゃない??」

「え……ほんとよ! あの赤い髪の人映ってたよね! 魔導師のデウス=ヌーミネ公爵さまよ!!」

「あの黒髪が……賢者のフィリア=デア伯爵さまだな! なんと麗しい……」

「ってことはあの可愛い猫耳の女性が地帝龍使いのフェリス=グラティアス子爵さまか! あの耳、撫でさせてくれねぇかなぁ……」

「ちょっとあなた!? 子爵さまにそんなこと言ったら不敬罪になるわよ!!」

「そしてあの美しい銀髪と全てを見透かしているような美しい紅眼は……フォルトゥナ王女さまよ! 神獣使いになられたこと、お喜び申し上げます!!!」


城下町はデウスたちが通ったことでパニックに陥った。

それもそのはず、国を救った英雄たちが目の前を歩いているのだ。


「なんというか……」

「せっかくの休みなのにぃ……」

「疲れますね……」

ルナ以外の3人は早々に歓声につかれて渋い顔をしている。


「ありがとうございます!」

「ごきげんよう!」

「えぇ、この国を支えていけるよう精進いたしますわ!!」

……さすがは王女。ルナはすべての歓声に慣れた様子で受け答えをし、笑顔で手を振っている。

その様子はアイドルさながらだ。


「なぁフィリア。ちょっと頼みがあるんだが……」

「わかるわよ言わなくても。準備するからみんな手を繋いで待っていてくれる?」

「わかりましたフィリアさん。ルナさん、手をかしてくださいね」

「ん? えぇ、いいけどどうしたのですか?」

ルナだけがポカンとしつつも、全員が手を繋いだ。その光景は野次馬たちには輝かしい幸せな光景に見えたようだ。あちこちで歓声があがっている。


「虚無の理よりいずる空間よ

2つの空間を繋ぎ1つとせよ |瞬間移動《テレポーテーション」

フィリアの魔法により、4人は一瞬で人だかりの中から消えてしまった。


「すごいわぁ魔道具も使わないで……さすが賢者さまね……」

「しかもフィリアさまは全属性が使えるんだろ? もう神の領域だよな」

「あんなすごい方々なのにみなさんまだ子どもといっていいくらいのお歳だからねぇ……これからが楽しみだなぁ」

ほとんど全ての人がデウスたち一行を褒めたたえていた。

……そこにいたある2人を除いて。




「兄ちゃん、今の見たか?」

「あぁ、間違いなくデウスとフィリアが一緒にいたな」

「あいつら……突然消えたと思ったらこんなところにいたとはなぁ」

「俺らに内緒で駆け落ちした罰としてしっかりお仕置きしなきゃなぁ……イヒヒヒヒ……」

2つの悪意の視線にデウスたちは気づいていなかった。



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