第64話 決戦
「行くわよ!!」
フィリアが先陣を切る。
「燃え盛る命たる炎の球よ 空を翔る風の刃よ
我が敵を焼き尽くせ
其よ 万物を灰塵と化せ 灼熱の豪火!!」
フィリアの火と風の複合魔法、炎魔法が悪魔たちに放たれる。
空気すら蒸発させるほどの炎は、普通の火魔法とは比べ物にならないほどの高火力であった。
これには悪魔たちも後退せざるを得なかった。
「地帝龍!!」
フェリスの掛け声により、地帝龍が大きく地面を蹴りつけ、悪魔の後方に大きな地割れが起きる。
フィリアの攻撃を避けた悪魔たちはそのまま地割れに落ちていった。
「ペガサス! 頼みましたわ!」
悪魔たちの動きを封じたところに、ペガサスが攻撃をしかける。
空を駆け上がるペガサスの口元に球状に集まった光は、地割れの奥の悪魔たちに向けて光線として放たれた。
その威力は凄まじく、王都全体が揺れるほどであった。
しかし、ここまでしても悪魔たちは倒れない。
「虚無空間」
「眷属化」
盗賊の悪魔が攻撃を和らげ、スキンヘッドの悪魔が地中のミミズを眷属化し、魔獣・ジャイアントワームを生み出す。
「ペガサス! 結界を張って!!」
ペガサスが光の結界を展開する。ジャイアントワームの突進は結界に反射され無効化された。
「ルナ! ペガサス! そのまま結界を張ってて!
フェリス! 地帝龍! 私に合わせて!!」
フィリアが指示を出した。デウスとの作戦……敵の動きを封じ、もしくはデウスから意識をそらすという目的を果たすために。
「生命の根源たる水の流れよ 全てを飲み込む激流よ
その水流もって もがく者を沈めたまえ 大洪水!!」
「地帝龍! 合わせて!!」
地帝龍がフィリアの水魔法に合わせて地割れの上部を砕く。砕かれた土や岩は水魔法に混ざり土石流となって悪魔たちを襲う。
「無駄だ! 虚無空間」
「無駄はそっちよ!!」
「なんだと? なんのこと……だ!?」
悪魔が魔法を打ち消そうと虚無空間を展開したが、効果はフィリアの水魔法にしか適用されなかった。
地帝龍によって混ぜられた土砂は魔法ではなくただ地面を砕いた破片であるため、結果として虚無空間によって水分の大部分のみが吸収され、水分量が減ったセメント状の濁流が悪魔たちを襲った。
「こ……これは……」
「動けんん!!」
悪魔の動きが大きく鈍った。ここにフィリアがたたみかける。
「凍りつきなさい! 氷華!!!」
フィリアの神眼・氷華により、濁流ごと悪魔たちを凍りつけた。
「デウス!」
「今のうちですわ!」
「頼みましたよ!」
フィリア、ルナ、フェリスの3人が後方で構えていたデウスに声をかけた。ここまで作戦通り。
「あぁ……あとは任せておけ」
フィリアの。ルナの。フェリスの。国王の。そして……多くの人の命を。多くのものを背負ったデウスの身体からは、溢れんばかりの霊力が揺らめいていた。




