第54話 黒幕の正体
(……ん? ここは……?)
デウスは目をさました。目をさましたこの場所は……牢獄?
「……はっ!!」
デウスは自分の立場を理解した。自分は攫われたのだ。あの広場で……
ん? 広場? やばい!!
「みんな! どこだ! どこにいる!?」
「……ん? デウス?」
「デウスさま……ここは……?」
「ここはどこじゃ……?」
フィリアもフェリスもレックスおじさんも無事だ。
(……あれ?)
「ルナ! ルナどこだ!!」
デウスは声を張り上げた。ルナがいない。守ると誓った、大事な人が。
「さーて、王女さまはどこかなー?」
冷たい女性の声が響く。しかし、どこかで聞き覚えのある声が。
「……あなた、ウェスティーじゃない!!」
フィリアが声の主に気付いた。確かに声の主はウェスティーだ。
「おいウェスティー、これはどういうことだ?」
「早く助けてよ!」
デウスもフィリアも、状況が理解出来ていない。……いや、理解したくない。だってあの優しい受付のウェスティーが……
「何者だお前は」
国王がすごい気迫で答える。
「これはこれは国王さま。私はネームレス所属、《手がかり》のネームド、ウェスティーギウムと申します」
ウェスティー……ギウムが、まるで貴族令嬢かのようにスカートの裾を広げ礼をする。
「ネームドとな!? ネームレスの中枢ともあろう者が、国王を拉致するとは!!」
国王は憤慨した。自分の部下に裏切られた、仲間から撃たれた、そんな気持ちだった。
「国王さま、お言葉ですがネームレスは国王さまではなく、王妃さまの命で動いております。ご存知でしたか?」
「……インウィディアが……?」
「えぇ、我々ネームレスのトップはインウィディアさまでございます」
衝撃の事実だった。ネームレスのトップが王妃。つまり……
「ルナを殺そうとネームレスを差し向けたのは……王妃だと言うことか?」
「はい、左様でございます国王さま」
なんと……と力が抜ける国王。その場にへたりこんでしまった。
(言われてみれば……)
デウスには王妃が黒幕だとすると納得のいく部分があった。
初めて国王と王妃に謁見した際、ルナの無事に涙目だった国王に対し王妃は涼しい顔をしていた。王女が襲われたというのに。
さらにルナの親衛隊になるための暗殺者との戦いの後では、驚くのではなくオロオロとしていた。自分の差し向けた暗殺者が倒された状況を知っていないとあんな反応にはならないはずだ。
極めつけは……デウスが暗殺者に「僕の前に来い」と言った時の違和感。そうだ、その前の「動くな」の言霊は王妃にも効いていたんだ。だから暗殺者が6人ではなく5人であったことに違和感があったのだ。
つまり……王妃は最初からデウスに強い殺意があったということに他ならない。
「……それで?」
「はい?」
デウスが怒り霊力が炎のように溢れ出ている。
「どうしてそんなことを全て、ペラペラの話してきたんだ?」
「分かりきっていることでしょう? あなたたちにはここで死んでもらうからですよ!」
「燃え盛る命たる炎の渦よ
周りを巻き込み燃え広がれ
燃える命は回帰せん 炎の竜巻 !!」
ウェスティーから魔法が放たれる。その様子をデウスは冷静に見ていた。




