第50話 猫の獣人、フェリス
「あっ! フィリアさん! フォルトゥナさま!」
フェリスと呼ばれていた猫の獣人が地龍の背中からジャンプしてきた。
「お久しぶりです、こんなところで会えるなんて!」
「ほんとよフェリス! しかも地龍に乗ってるなんて!」
「フェリス! 無事に生きててくれて良かったですわ!!」
ルナがフェリスにむぎゅーっと抱きついた。無邪気なルナに対し抵抗するのも気が引けてしまったフェリスは大人しく抱きしめられることにしたのだが……
「ちょっ……フォルトゥナさま……ふにゃあ!!!」
ルナは抱きついたままフェリスの耳を触りだした。
「フォルトゥナさま……そこは……ダメです……」
「フォルトゥナさまではありませんわ。ルナと呼びなさい?」
「そ……そんな王女さまにそんな口のきき方は……にゃあ!!」
「ルナですわ、いいですね?」
「ふにゃあ……ルナさま、許してくださいにゃあ……」
「さまが気に食わないけど、しょうがないわね」
ルナが耳いじりをやめた。フェリスがはぁはぁと息をきらす。
デウスは気まずくてそっぽを向い……たふりをして、横目で見ていた。
そんなデウスにフェリスが気付いた。
「あっ、あの時の!!」
フェリスがデウスのもとに駆け寄り、片膝を付き頭を下げる。
「デウスさま。私を盗賊より救っていただき、ありがとうございました。お礼を言うのが遅れてしまい、大変申し訳ございません」
「い……いいんだよ。当たり前のことをしたまでだ」
突然の事態にデウスは動揺してしまった。
「そっ……それよりあの地龍はフェリス、お前のか?」
デウスはあわてて話を逸らした。
「はい。私は獣人でありながら霊獣使いです。そして私が使役するのは地帝龍です」
「地帝龍? 地龍とは違うのか?」
「地帝龍ですって!?!?」
ルナが大声をあげた。
「地帝龍って、地属性の最高位の霊獣ですわよ! 光の最高位であるペガサスと同じですわ!」
「ペガサスと……そりゃすごいな……」
「あっ、それでペガサスは優しい雰囲気で地帝龍に近づいて行ったのね!」
一同はフィリアの一言に納得した。
「それにしても……」
デウスがフェリスに疑問をぶつける。
「地帝龍まで使役出来るのに、どうして盗賊なんかに捕まってたんだ?」
「そっ……それは……」
フェリスが唇を噛み締める。
「霊獣使いは、言葉を通して霊獣と心を通わせ、指示を出すのですが……。 盗賊たちに襲われたことによるショックで声が出なくなってしまい……」
フィリアは涙を滲ませる。
「フェリスちゃん……」
「フェリス……デウスあなた、フェリスみたいな可愛い子をいじめて楽しいの!?」
「そっ……そんなつもりは……」
ルナに怒られた。そんなつもりは無かったが、それでも女性を泣かせたことに変わりはない。
「いいえ、デウスさんは悪くないですよ。獣人のくせに身体強化魔法も使えない私が悪いんです。だから猫人族の里を追い出されて盗賊に捕まったのですが……」
フェリスの心の闇に触れていくデウスたちだった。




