第49話 思わぬ再会
翌朝。デウスは目をさました。
(今日は……初めての依頼でもしに行くか)
そう思って起きようとした時だった。
もにゅ
(……なんだ?この柔らかいの?)
起きようと床に手を伸ばしたつもりが何か柔らかいものを掴んだようだ。
もにゅ……もにゅ……
「……ん」
フィリアが甘い声を出した。
まさか……と思い手の先に視線をやると……的中。
フィリアの育った胸に手が当たっていた。……と言うよりは……
(揉んでしまった……!)
デウスはすぐに手を戻して顔を赤くした。
フィリアは気づいていない。……そうだ、ルナは!
デウスはルナがいるほうに振り返った。
「!?!?」
ルナが急いで布団に潜った。
「ルナ、もしかして今の……」
「見てませんわ! この変態めっ!! 私は美味しくありませんわよ!!」
「ちょっ、ルナ! 今のは……って、そもそもルナは揉むほどないだ……」
ベシン!!
強烈なビンタがデウスを襲う。
「バカっ……バカバカバカぁ!!! あんたなんか不敬罪で死刑にしてやりますわーっ!!!」
「ま……まて! 謝るから殺すなっ!!」
「うーん……みんな早起きだね、おはよう」
フィリアが起きた。やばい。
「さてと、目がさめたらご飯食べてギルドに行くか!!」
そそくさと逃げていくデウスだった。
「あっ、いらっしゃいませ!」
ギルドに着くと、ウェスティーが迎えてくれた。
「さっそく依頼ですか?」
「そうだな。登録したてでも出来るものはあるか?」
「そうですね……王都の横にある渓流に、回復ポーションの材料になる薬草があるのですが、それを10束ほど採集する依頼はどうですか?」
「そうだな。最初はそんなもんでいいだろう」
初めての依頼は薬草採集に決定! ……と思ったのだが
「えー、私戦いたいよデウスー!」
「そうですわ! せっかく私も戦えるようになったのですわ! 魔獣とかと戦いましょうよ!!」
相変わらずわがままな女たちだ。わかりやすく頭を抱えているデウスを見かねてウェスティーが声をかけた。
「途中で遭遇した魔獣や動物たちは討伐して証拠を持ってきていただければ、別途報酬金を差し上げています。ただし自己責任ですので無理はされないでくださいね」
ウェスティーの助言により、薬草採集をしながら遭遇した敵は倒していくこととなった。
「敵いないねー」
「暇ですわ。ふわぁ……」
「お前たち、もー少し真面目にだな……」
王都の近くとあって、魔獣なんて全然いない。そりゃ暇だよな……と考えていたときだった。
ズシン……ズシン……ズシン……
大きな足音?のようなものが近づいてきた。
「えっ、なにやばくない?」
「あぁ、なんかやばそうだな」
「絶対やばいやつですわ……!」
全員が本能的に危険だと思った。
「神聖なる聖域に住まう霊獣よ 今、時は来た
永遠の盟約に従い 我が声に応えよ
汝 フォルトゥナ=ウィンクルムの名のもとに顕現せよ!
霊獣召喚! 光の神獣 ベガサス!!」
ルナが身を守るためにペガサスを召喚する。顕現したペガサスは一度大きく翼を広げると、それをゆっくりと閉じながらルナの側に控えた。……と思われたのだが……。
「ペガサス! みんなを守ってね!! ……って、ペガサス?」
ペガサスは穏やかな表情で足音のほうに近づいていく。
「ゴグアァァァ!!!」
足跡の持ち主が咆哮した。岩が集まって出来たような大きな身体。頭には鋭く尖った岩がある。
もちろん、岩ではない。こいつは……
「地龍ですわ!! どうして地霊獣の地龍がこんなところに……」
ルナが驚きの声をあげた。それも無理はない。霊獣は霊獣使いによってしか顕現しないはずなのだ。この場に精霊獣がいるということは、この強大な地龍を使役できるほどの能力者がこの近くにいるということに他ならない。そして……その人物が敵か味方かわからない以上、気を抜かずに警戒しなければならなかった。
ルナとデウスが周りに注意を払っているなか、フィリアが地龍の背中を指さして叫んだ!
「あーっ!! フェリスじゃないの!!!」
フィリアがフェリスと呼ぶ獣人。空色の毛色を持つその猫の獣人の姿にデウスも見覚えがあった。
(あれは……盗賊から助けた時にじっと見てきてた猫の獣人じゃないか?)
思わぬ再会を果たすデウスたちだった。




