第37話 勅命
「国王さま。まだお聞きではございませんか?
第2王女、フォルトゥナさまは昨日ユムリ村にてネームレスを名乗る者からの襲撃を受けております」
デウスは強い口調で国王に説明する。
「幸い王女さまにケガはございませんでしたが、一歩間違えれば殺されてしまうところでした。
それもそうでしょう? この国随一の実力を誇る国直属の暗殺者が襲撃してきたんだから」
デウスは怒りから国王にむかって敬語が抜けてきていることに気づかなかった。
国王は目を丸くしてデウスの話を聞いていたが…
「デウスよ。お前の実力は認めるが、どこにそんな証拠がある?」
「そうですね……確かにいま手元に物的証拠はありません。
しかしその者にはここのネームレスと同じように首の周りに痣がありました。さらに尋問で自分がネームレスであること、第2王女の暗殺を命じられたことを白状しました。
しかし……誰の命かを聞き出そうとした時、首の痣が光りその者は絶命しました」
国王は、拳を握り悔しがりながら報告するデウスを見た。
「デウスよ。大義であった。
盗賊ばかりか暗殺者からもルナを守っておったとは……感謝してもしきれん」
国王は優しい顔でデウスを見つめる。そしてその顔が厳しい目に変わった。
「デウス。そしてフィリア。お前たちに国王レックス=ウィンクルムの名において勅命を下す。
デウス=リーグレット並びにフィリアを第2王女フォルトゥナ=ウィンクルムの親衛隊に任命する。
さらにフォルトゥナ暗殺未遂事件の黒幕を捕え、もしくは殺害することを命ずる。
この事件の調査の全権を両名に授ける。必要ならばこれを使いたまえ」
国王は六芒星の紋の入った金属の板をデウスに差し出す。
「この板は王家の紋が入っておる。これを見せれば軍も物資も好きに使えるからの。お前たちを信用して渡すのだ。悪用しないように」
デウスとフィリアは王の前に移動し、膝をついて受け取った。
「勅命お受け致します。デウス=リーグレットの名に誓って全身全霊でフォルトゥナさまをお守りし、命を脅かす不届き者を消してご覧にいれます」
「フィリアの名に誓いまして、勅命を全う致します。フォルトゥナさまを狙うものは私が根絶やしに致します」
フィリアが荒ぶったことを言う。大事な人のこととなると人が変わったように怖いことをいうよな……
「頼もしいことを言うものだ! なぁ王妃よ!」
「え……えぇ……。よろしく頼みましたわよ」
なんか……うわの空だった気もしたが、王妃からも期待されていることはわかった。
国王と王妃、そしてルナの期待と重圧を背負って、デウスとフィリアは謁見の間をあとにした。




