第35話 王族の御前
大きな扉が開く。
大きな広間の真ん中に赤いカーペット。その両サイドの黒色のカーペットのところに兵士たちが整列していた。
カーペットと兵士でかたちどられた道の先にルナがいる。
そして、そこから階段を5段ほど上がったところに……ルナと同じ銀髪の厳かな男性が、そしてルナの眼のような真紅の髪を結っている女性が腰掛けていた。
(あれが国王さまと王妃さまか……)
「前に進みたまえ」
国王の指示に従い、ルナがいる階段の下まで進む。
そしてそこで片膝を付き頭を下げる。
緊張感でデウスは息をすることを忘れていた。
「面をあげよ。改めて名を名乗れ」
「デウス=リーグレットでございます」
「フィリアでございます」
フィリアがちゃんとしている姿はレアだと思ったデウスだった。
「この度、我が娘フォルトゥナを危険から救いここまで護衛をしてくれたいう。盗賊も壊滅させ、その頭をここまで連れてきたとも。感謝するぞ。デウス、フィリア」
「もったいなきお言葉でございます」
国王さまの目は少し赤くなっている。王女の生還に涙した後なのだろうと思った。
それに対して王妃は涼しい顔をしている。デウスは少し王妃に対して違和感を抱いた。
「それで……だ」
国王が話をすすめる。
「フォルトゥナは君たちを自分の従者としてともに王宮で暮らせるようにしたいと言っておるが、そのことを聞いてはおるか?」
「はい、聞いております。我々はそれを承諾し、命に代えてもフォルトゥナさまを守ると誓っております」
さようか……と王はヒゲを撫でる。
「正直に申そう。フィリアはもちろん、デウスも平民という形で従者になるのだったな。平民を王宮にいれることは反発も多く、フォルトゥナが王位を継承するとなったら障害になりかねん。
余はそのリスクを侵してまで君たちをフォルトゥナの従者にすべきか悩んでおるのだ」
それでだ、と続ける。
「我々の目の前でそれを証明してみせよ」
……なんかややこしいことになってきたなとデウスは思った。
「具体的にはどうするのですか?」
「この部屋に君たちを狙う暗殺者を配置した。その暗殺者を排除して欲しい。もちろん本物の武器は使わせないから安心したまえ」
「そうですか……」
デウスは少し考えて口を開いた。
「国王さま。ひとつ意見してもよろしいでしょうか?」
「許そう」
「暗殺者たちには本物の武器を持たせ、我々を殺しにかからせてください」
涼しい顔をしていた王妃の眉がピクっと動く。国王も驚いた顔をした。
「良いのか? 死ぬぞ?」
「この程度で死んでいたらフォルトゥナさまは守れませんから。な? フィリア?」
「えぇ、もちろんよ。やってやろうじゃない!」
「……そうか。なら構わん。ネームレスたちよ、聞こえているな?」
……たち?複数か?
「それでは……始めよ!!」
国王のスタートの声が響いた。




