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第20話 ある道中の出会い


「行ってみましょ!」

「あぁ」

デウスとフィリアは声のした方に走っていった。


2人が走った道の先。そこにはきらびやかな装飾のされた馬車とその護衛の兵士が4人、そして……そこを囲むように武装した屈強な男たちが10数人群がり戦っていた。

1人の兵士が倒れている。先ほどの声はこの者のものだろう。


「さっさと金目のものだせよ! こんな豪華な馬車だ、金も綺麗な女も積んでるんだろ? あっはっは!!」

「そんなものは無い! さっさと立ち去れこのゴミ虫どもめ! 王女様に指1本でも触れたらぶち殺してやるからな!!」

「王女? 賢者のほうの王女はこんなところにはいないだろうから……紅眼の銀嶺と呼ばれるほうの王女のことか?」

護衛の兵士の一人が完全に墓穴を掘った。……フィリアに負けないほどのアホだと思う。


「おまっ……余計なこと教えてんじゃねぇ!!」

護衛の中で最も歳上で貫禄のある男が仲間の護衛に対し怒鳴った。その護衛は少し俯きながらボソッと謝罪したようだか、その手から剣は話さない。


「ほーぉ、そりゃ味見するのが楽しみだな! 野郎ども! 護衛を片付けて今日は楽しむぞー!」

群がっている男たちの士気があがり、兵士たちを蹂躙し始める。


「クソっ……があぁぁ!!」

「こんなところでやられてたまる……か……ゲボっ」

瞬く間に2人の護衛がやられた。残りは貫禄のある中年の護衛のみとなり、そして……その護衛の腹から剣が姿を見せる。剣にべっとりとついた血、それは自身が背中から貫かれた死を意味する血であった。


「がっ……フォルトゥナさま…………」

護衛は王女に手を伸ばした。……その手を盗賊に剣で貫かれると、護衛は地面に縫い付けられたように息絶えた。






「フィリア、あれって……」

「聞いた感じ王女様が乗ってる馬車に盗賊たちが襲っているみたい! 早く助けなきゃ!!」

「あぁ、そうだな」

2人がばっと飛び出した、そのときだった。


「そこまでよ!! 社会不適合者の野蛮ども!」

馬車の中からフィリアと同じ歳くらいの女の子が出てきた。


「私はトリスタン王国第2王女 フォルトゥナ=ウィンクルム。 王族の名のもとに、ここを立ち去れ!!」

一瞬周りが静ける。だが……


「これはこれは王女様。その命には従えませぬ」

「なぜですか! 王女の命ですよ!!」

「そんな王女様でも、装飾と服を脱がせればただのメスでしょう?」

ぐはははと男たちが大笑いする。王女は黙り込んでしまった。震えた膝は耐えられなくなり崩れ落ちた。

(誰か……助けて……)


「全員動くな!!」

全ての人間の動きが止まった。もちろん、その場にいた王女も含め。


(なに……?今度は何が起こってるの……?)

王女は不安でいっぱいだった。盗賊に襲われ護衛は全員やられた。絶対絶命の中、今度は突然身体が動かなくなった。しかし、恐怖心からではない。なぜなら、盗賊たちも全員固まっているから……


「なんだ!! 何が起こった!?」

「お頭、ご指示を!!」

盗賊たちも混乱して騒いでいる。


「男は全員声を出すな」

ピタッと盗賊から声がしなくなる。口だけ鯉のようにパクパクしている。


「えっと……王女様……ですかね? 大丈夫ですか?」

「今助けますからね!!」

王女の目には2人の少年少女がうつっていた。


挿絵(By みてみん)

フォルトゥナ=ウィンクルム 

イラスト提供 Solleraさん(Twitter @kd_3010)


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