閑話 フィリアはデウスを笑わせたい
イラストを提供いただいているSorellaさんよりデウスとフィリアのイラストをいただきましたので、イラストから閑話を執筆しておりました。
ちょうど今日で100話目を投稿しましたので、100話記念ということで公開することに致しました。
ぜひイラストにも注目いただきながらお読みくださいませ!
「ただいまーっ!!」
「ただいま」
デウスの屋敷に戻ってきたデウスとフィリア。
今日はフィリアの要望で繁華街に出かけていた。フィリアは敢えて言わなかったが、事実上のデートだった。
「おかえり! 楽しかったですの?」
「えぇ! とってもね!」
「おかえりなさい。デウスさま、フィリアさん」
家でゆっくり過ごしていたルナとフェリスから「おかえり」と言われる。これが日常だから何とも思わないが、よく考えるとこれ以上ない幸せだ。
「デウスも楽しかった?」
「あぁ、そうだな」
ルナに聞かれたデウスは素っ気なくそう答えた。
「むぅ……ホントかなぁ……」
フィリアの顔が暗くなる。デウスはその表情が気にかかった。
「どうしたんだフィリア?」
「だってデウス全然楽しそうじゃなかったんだもん……ご飯食べてるときも、デウスの服を選んでるときも、今だって……。私と居るとそんなに楽しくないの?」
フィリアがしゅーんとする。その姿はまるで捨てられた子猫のようだった。
「そんなことないぞ。フィリアと一緒に出かけられて楽しかったし、幸せだぞ? この服だって似合ってるって言ってくれたし……どうしてそんなこと考えちゃったんだ?」
デウスはまるで心当たりがないとでも言いたげにポカンとしている。
その様子を見たルナがやれやれと教えてくれた。
「デウス、あなた今日フィリアの前で一度でもにこりとしましたの?」
「あ……あぁ、してない……かもな?」
「だからですわ。笑ってくれずに無表情のままだと、相手に感情が伝わりませんの。楽しいときは楽しそうに笑ってくださいまし!」
ルナに怒られてデウスはやっと気づいた。
(確かに、フィリアが笑ってくれると僕も楽しい。でも僕はフィリアに一度も笑いかけてなかったのではないか……?)
デウスはフィリアが落ち込む理由がわかった。そしてとても申し訳なくなってしまった。
「……済まないな、フィリア。僕は本当に楽しかったんだ。それなのにずっと無表情で……ごめん」
「……ほんとよ! ずっと不安だったんだから……。ほらデウス! ここに座りなさい!!」
フィリアは椅子に座っている自分の太ももをパンパンと叩き、上に座るように誘導する。
デウスはマジかと思いながらも、悪いことをしてしまった手前、言う通りにすることにした。
「デウス、笑う時は口角をあげてニコってするのよ? 知ってた?」
「そのくらい知ってるぞ。僕を何だと思っているんだ?」
「そーなんだ、ごめんごめん。それなら……こーやって笑えーっ!!!」
フィリアは左腕でデウスの後頭部を固定し、右手の指で無理やりデウスの口角を押し上げた。
「いでで……にゃにしゅるんだフィリア! (いてて……何するんだフィリア!)」
「笑い方を知っているのに笑わないのは口角が笑い方を忘れているのかと思って。今思い出させてあげるからねー!」
「やめりょフィリア! もーっっ!!」
デウスはさすがに怒り始めた。しかし……
「フィリア、もっとやるのですわ! デウスの笑顔を取り戻すためにっ!!」
「ルナさん……取り戻す笑顔ってありましたっけ……?」
「ほらデウス、こうやってニコッとするのよ! ほらっ、ニコーっ!!」
「お前ら! 僕を何だと思っているんだー!!!」
デウスの叫びが屋敷に響く。
今日も《神々の代行者》たちは英雄とは思えないほどの緩くて幸せな日常を刻んでいくのだった。




