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第96話 3種類の神剣と大国


「なぁ、ティアが言っている神剣……ってなんだ?」

「そういえばディスキ君の攻撃を打ち消したのも神剣が何とかって言っていたような……」

フィリアは足りない頭を頑張ってまわしたが、それ以上は何も出てこないようだ。


「神剣は、使用者の能力を引き上げる効果付き(エフェクティッド)武具(ウェポン)とは違い、剣そのものに能力が宿っている剣のことですわ」

ルナが神剣について教えてくれた。


「神剣にはそれ自体に能力があって、それを自由自在に、かつ最大限に使いこなせる力を持った人間にしか扱えないといわれている剣ですわ。そして彼女は神剣・久遠(くおん)、正式には『開闢(かいびゃく)終焉(しゅうえん)の神双剣 久遠(くおん)』を扱えることのできる唯一の人間なのですわ」


誇らしげにティアについて語るルナ。身近な人の自慢は自分の自慢のように誇らしげに話すのは昔からなのだろう。


「それでは、久遠という神剣にはどのような効果があるのですか?」

フェリスがルナに疑問をぶつけた。


「左手に持つ開闢の剣には、すべての属性の付与魔法(エンチャント)に適性を持ち、刃は欠けることも折れることもないという効果がありますわ。そして右手に持つ終焉の剣には、敵の攻撃の芯を見切り、切り裂くことですべての攻撃を無効化する効果がありますわ」

そして……とルナが一呼吸あけて口を開く。


「彼女、ティアモ・アエテルヌムは……すべての属性の付与魔法を一瞬で施し、その剣技で相手の攻撃をすべて無効化して弱点を打ち込むことができるという天才なのですわ」

デウスたちはルナの言葉に驚いた。その理由はもちもん……


「なんだよそれ……無敵じゃないか……」

「地帝龍でも勝てなそうですね」

「私、ティアさまに絶対勝てない自信があるっ!」

ティアの熱狂的ファンのフィリアは、目の前の凛々しいティアを見て一層目を輝かせている。


「ちなみに、神剣っていうのは久遠だけなのか?」

「ほかにもありますわよ?」

当たり前でしょ?とでも言いたげにルナは他の神剣についても教えてくれた。


ルナによると、神剣と呼ばれるものはこの世界に3種類あるそうだ。

久遠の他にあるのは、大剣と妖刀の2種類であり、もちろんそれぞれに能力と名前がある。


それはまず、神の名のもとに断罪を行う際の一振りは、山を消し飛ばし海を割るほどの力を誇るといわれる『天誅(てんちゅう)と断罪の神大剣 馘首(かくしゅ)』。


そして、使用者の生命を削り漆黒に染まる刀で切られた敵は、切られたことに気づかぬまま息絶え、その返り血を使用者の生命力に転換するといわれる『宵闇(よいやみ)(あかつき)の神妖刀 無影(むえい)』の2種類だという。


「……そしてあのステラっていう女の子。あの子は代々妖刀・無影を使いこなしている家系の娘のはずですわ。だからこのトリスタン王国には神剣が2本、そして隣国フレア帝国に1本あることになりますわ。そしてこの存在が、トリスタン王国とフレア帝国が世界二大大国といわれるゆえんでもありますの」


なるほどなぁ……とデウスは深くうなずいた。この世界のことが分かってきた気がして少し嬉しかったのだ。


「ねぇみんな! もうすぐティアさまの試合が始まるよ!!」

「うん。まぁフィリアは聞いていなかっただろうな」

「ルナさん、気にしないでくださいね」

「えぇもちろんよ。フィリアが難しい話を最後まで聞いてくれるとは最初から思っていませんわ」

全員でフィリアをいじっているのにも気づかないほど、フィリアは身を乗り出してティアを見つめていた。


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