67 さよなら。私のヒーロー(王子様)。
さよなら。私のヒーロー(王子様)。
夏休みが終わって、二学期が始まり、萌たち三年生は受験勉強のためにその時間の大半を(今までもさぼっていたわけではないのだけど、今まで以上に)費やすようになった。
そして、二学期を終えて冬休みに入り、年を越えて新年になった。
その間、萌は硯と一緒にずっと、勉強ばかりをしていた。そして、その甲斐があって、萌は硯と一緒に、きちんと、目標の大学に現役で合格をすることができた。
「疲れたー」
萌の隣で硯が言う。
「本当だね」
嬉しそうな顔で、萌が言う。
三月。
本当に久しぶりにオカルト研究会の部室のドアを開けて、部屋の中に入ると、約束通り、(萌と硯も少し早めにやってきたのだけど)そこには朝日奈勝くんと野田葉摘、そして、新谷翔くんの姿があった。
「おはよう」
「おはようございます。真中先輩。早川先輩」
「おはよう。二人とも」
三人はそれぞれ萌と硯に挨拶をしてくれた。
「おはようございます」
「おはよう、みんな」
と二人は三人に挨拶を返した。
それからぼんやりと懐かしそうな顔でオカルト研究会の(あのころと全然変わっていない、おかしなものばかりが置いてある)部室の中を眺めていると、「萌」と、そんな声が萌の後ろからして、硯が萌の背中を押して、「うん」と萌が返事をして、二人はオカルト研究会の部室の中に入っていった。




