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 萌は、みんなに自分のずっと秘密にしてきた話ができて、……すごく満足していた。満ち足りた気持ちでいっぱいになっていた。

「うーん」

 と萌は屋上で、背伸びをした。

「早川さん。遊んでないで、実験の準備、手伝って」

 すると朝日奈くんにそう怒られてしまった。

「はい。すみません」

 そう言って、萌は急いで、みんなのところに移動して、UFOを呼ぶ実験の準備を手伝った。


「まあ、頑張って準備しても、UFOなんてこないんだけどね」新谷くんが汗をぬぐってそう言った。

「そういうこと言わない」にっこりと笑って硯が言う。

 新谷くんと硯は今、二人で一緒にUFOを呼ぶための図形を(あの奇妙な模様のある円形の図形だ)屋上の床の上に白いチョークで、その図形のお手本が書いてあるプリントを持ちながら描いていた。

 確かにUFOは、SF小説の中や、映画や物語の中にしかいないのかもしれない、と萌は思った。でも、それはつまり、人の心の中にUFOがいる、ということなのだ、と同時に萌はそう思った。

 萌は自分の秘密の話を新谷くんと硯に、そして、朝日奈くんや葉摘に、オカルト研究会の仲間たちに伝えることができた。(それは萌にとって、まさに奇跡のような経験だった)

 鈴谷林太郎先生は、萌が噂のことを含めて、ずっとなにかに悩んでいるということを、察してくれていたみたいだったけど、自分からその悩みを直接、萌に聞くのではなくて、オカルト研究会という場所を通じて、その部活の仲間たちに任せて、自分は萌から少し距離をおいたところに立っている、ということを意図的に考えて行動していたようだった。(つまり、生徒の(今回は萌の)ためのライ麦畑のキャッチャーになろうとしてくれたのだ)

 そういう自分と、自分の生徒との距離の取り方を見て、すごく鈴谷先生らしいな、と萌は思った。(萌は、そんな鈴谷林太郎先生にすごく感謝をしていた)


 そんな奇跡を体験した萌にとって、あるいは本当にUFOがあらわれたとしても、それは、そんな不思議なことを人生にはあるのだな、とその現実をきちんと受け止めることができるような、そんな心の余裕があった。(なにせ、人生というものは、それくらいの驚く体験が感動する出来事が、たくさん、まだ未成年の萌が知らないだけで、今回の出来事で、あるということがわかったのだから)

 途中から、新谷くんは無駄な話をしなくなった。萌が新谷くんの様子を見ると、いつの間にか、文句を言っていた新谷くんはみんなと一緒になって、夢中で(それもすごく楽しそうな顔をして)UFOを呼ぶための図形を屋上の床の上に描いていた。

 新谷くんは自分はそんなものにまったく興味はない、というふりをしているだけで、決して、オカルトが嫌いなわけではないのだ。

 そのことが、この三ヶ月の間のオカルト研究会での出来事を通じて、早川萌には理解することが、ちゃんとできていた。

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