夜行
アスファルトの端に引かれた白は守ってくれる線じゃない ここから先は自己責任だと無言で突き放すための境界だ
歩行者用に残されたこの細道は生き延びるための配慮というよりまだ死ぬなよという最低限の猶予 私はその猶予の幅を測る
はみ出したら死ぬぜって言われても本懐はそっちだ ひたすらに線のすれすれを狙って歩き続ける夜行 疲れたら東海道五十三次で一休み
日本中を縦断 加算 減算 知ったものか どうせ小銭程度の路銀だ コンビニの募金箱に全部ぶち込んだってさしたる問題は無い
楽しいかどうかだけなんだ 自己満足って言葉がきらめく時 寂しい気持ちが無いわけじゃないけれど泣いたりしないぜ
いつ潰える? この世界は終わるまで回って行くのに自分の事ばかり憂うのは馬鹿馬鹿しい話だが現実問題死生に悩みは尽きない
車が猛スピードで駆け抜けてゆく 急いで下さい運転手さん! と言われてタクシーのトランクに荷物ぶち込んで夜逃げの手伝いしてた黒歴史
なめるクラッチ 吹き飛んだワイパー ボルト緩すぎたタイヤ 乱暴に扱った愛車も今はスクラップか 車検代込みで26万だったからな
歩くだけならタダ どこまで行けるか 死んだら身元不明ならまだ行った事の無い国で 私はまだ何も見ていない ぶらりと旅がしたい




