種を蒔いたら爆速で成長
「ここ……本当に畑になるんですか?」
ウィンリーが眉をひそめながら、地面を指で突っつく。
確かに。
見るからに荒れ地。雑草はボーボー、土はカチカチ。
「なる。……多分な」
俺はアイテムボックスから、“種”を取り出す。
――《祝福された野菜の》
《火竜トマトの種》
《スライムカボチャの種》
見た目はどれも普通。
いや、普通じゃない。火竜って何だ。
スライムって何だ。
これが異世界の種か?
「とりあえず、耕すところからだな」
俺はスコップを手に、土を掘り始める。
「ミツボシ様、何か手伝いましょうか?」
「じゃあ、この草むしってくれ。あと石も拾っといて」
「はーいですーー」
ウィンリーはしゃがみ込み、草を引っこ抜いていく。動くたびに金髪がさらさら揺れて、なんか絵になる。
農作業だが、癒される光景だな……。
30分後。
「はあ……っ。終わった……っ」
汗だくで俺はスコップを置いた。
見違えるほどきれいになった小さな畑。
大体四畳分くらいか?
「じゃあ、いよいよ種を蒔くか!」
「おぉー! 農民っぽいですーー!」
……いや、それはちょっと違う。
まずは《祝福された野菜の種》。これは無難そうだ。
次に《火竜トマト》。よくわからんが、名前が強そうだ。そして最後に、《スライムカボチャ》。もはや野菜かどうかすら怪しい。
「えいっ、えいっ」
俺とウィンリーは一粒ずつ、丁寧に種を蒔いた。
美味しく育つか楽しみだ。すると、ピコンとステータスが表示された。
【料理スキル:作物成長】スキルが発動しました。
ん? なんだこのスキル?
作物の成長が早くなるという事か?
俺はステータスのボタンを押す。
――すると、芽が生えた。というか、爆速で生えた。
数秒で芽がぐんぐん伸び、葉を広げ、トマトらしきものがぷらんとぶら下がる。
……なんだこれ、マジで育ったぞ!? 収穫まで10秒って何だよ!
「え、え、えっ!? すごいです! もうできてますー!」
まさかの即収穫!? いや、早すぎるだろ。
《祝福された野菜》は、普通においしそうなレタスっぽいものになっていた。
「ミツボシ様~~! 大変です~~! こっちのトマトが爆発しかけてます~~!」
ウィンリーの叫び声で火龍トマト畑へダッシュする。
「何だって!? 爆発ぅ!? 畑が!?」
蒔いた《火竜トマト》が、真っ赤に熟しながら、ぼんっぼんっと煙を噴き出していた。
しかも、熱い。めちゃくちゃ熱い。
……ってこれ、本当に火を噴くタイプのトマト!?
これどうやって収穫すんだよっ!? 素手で触れたら火傷するじゃねーか!
「水! 水かけましょう水!」
ウィンリーがバケツに水を汲み火竜トマトにかける。
……じゅううぅぅ……。
勢いよく水蒸気が上がり、ようやくトマトの火が収まった。
ふぅ……これが“火竜”の意味かよ……
――他にも
「ミツボシ様! カボチャが……!」
畑の端っこでに蒔いた《スライムカボチャ》がモニョモニョと蠢いていた。
いや、カボチャの中身が動いてる!? ていうか跳ねた!?
「跳ねたぞ!? おい! スライムって、マジで生きてんのかこれ!」
ぼよんっ!
スライムカボチャが宙に浮き、俺の腹にアタックしてきた。
「ぐっ……こいつ、野菜の皮を被った魔物かよ……!」
「ぷっ……あははっ! ミツボシ様、スライムに負けてますぅ~~!」
「笑ってないで手伝えーーっ!」
俺たちはある程度収穫を終える。
「……よし、今日はこれで“異世界朝食”を作るとするか」




