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不運な俺は異世界に行っても不運な様です  作者: 試験管
シェッテ王国騒乱
281/281

251 事前調査 4


 報告・共有事項が終われば、話は当然今後の動きについてになる。


 下手な事をすれば国家間でのトラブルになりかねない為、騎士達は大掛かりには参加しない事が決まった。

 アルスフィアットの街はヴァイツゼッカー家と団長達が今まで以上に目を光らせ、警邏に力を入れるそうだ。

 俺達クランメンバーと一部の騎士、影の一部、情報屋の一部がフォーグレノスッテに直接乗り込む事になった。

 いや、既に数人は乗り込んでいるそうなのだが、それでも片手で足りる程の人数しかいないので、そう簡単に情報は手に入らない。

 なのでまずは俺の商人の身分を使って、海国に仕入れに行くという体にした。

 所謂“潜入捜査”というやつだね。


 別のルートからも侵入するけど、メインは俺達。

 ぶっちゃけ人目を集める事が仕事でもある為、堂々と国境を抜け、フォーグレノスッテに居座って商談と称し、犯罪組織やシェッテ王国の情報収集を行う。

 商圏の新規開拓という形なので、その土地の情報を調べる事に問題も違和感も無いだろう。

 まあ、普通に海産物とかも欲しいし良い物があれば積極的に購入していく所存である。

 我欲!


 俺達に同行するのは影から一人ヴァルターさん (偽名)、情報屋から一人クリストフさん (偽名)で、それぞれ三人くらいずつ“雑用係(連絡要員)”を連れていくそうだ。

 どちらからも後程挨拶に行かせると言われたので、この場には来ていないのだろう。

 騎士は二名、ツァーベルさんとナータンさん。

 本来はディーターさんが来る予定だったのだがナータンさんが意地でもこちらについてくると譲らず、結果的にこうなった。

 そして、先程からナータンさんの視線が俺からずっと離れず、いたたまれない。

 ……まだ見てる……ぅうっこっち見んな!

 

「やはり無理だろうか?」

「無理だな」


 チェーザリオ様の言葉を即座にヤンスさんが切り捨てる。

 実は小隊長であるツァーベルさんとディーターさんの隊員達も一緒に、と言われたのだ。

 “小”隊と言ってもその人数は三十人を超える。

 それが二つもとなれば六十人。

 ウチはまだ立ち上げたばかりの小さな商会である。

 なのにそんなにたくさんの人間を雇っているのは不自然で、疑われてしまうとヤンスさんが断った。

 俺だってそう思う。

 っていうかそれが“通る”と思っていることに驚いた。


 結局、小隊の隊員達は一小隊のみ、別枠で入国する形になった。

 他は国境付近で待機して、連絡があったり、シェッテ王国側から何か軍事行動があった時の対応に当たる。

 いくら小隊とはいえ、三個小隊全員が行くわけにはいかないもんね。

 バレたら国際問題待ったなしだ。


 潜入する騎士達の内ハンター資格を持つ者達はパーティを組んだり個人でハンターとして、他には観光や親戚に会うためなど色々だ。

 五、六人のグループが一番多いが、二人や三人というグループもいる。

 ハンターではない者達は、観光や親戚に会うという事にしているが、実際は俺達の監視という(タテマエ)を持ってる。

 帝都の大店から俺達が何を購入して、何を契約するのか調べて、情報を収集するという役だ。

 なので多少疑われても「実は……」と伝えたらそれだけで納得してくれるだろうとの事だった。

 みんながみんな同じ理由はダメだと思うので、もう少し理由をバラけさせてもらいたい。


「帝都では今新しい物が求められているので、それを知った新進気鋭の商会が動き、それを見ていた各商会の新人達が後を追って動き出した。シェッテ王国は商機である、と誤認させるには丁度良いだろう」


 そう、恐らく自分に言い聞かせながらチェーザリオ様が固く目を瞑った。

 本人も無理があるとは思っているみたいだ。

 ああ、うん。

 でもさ、無理なもんは無理なんだよね。

 明らかに不自然になっちゃうし、バレた時に一気に身動き取れなくなるからね。

 特に騎士という身分を持った人間が何人も秘密裏に国境を超えた、などとバレた日には言い訳できないし、俺達の身も危うくなる。

 ハンターが領主に依頼されて犯罪組織を潰すのと、騎士団が乗り込んで他国の組織を潰すのでは外聞が全く違う。

 国がこの件に関わっていなかったとしても、あちらは“国として”動かざるを得なくなるだろうしね。


「お互いの安全の為と諦めてもらいたい」

「わかっている。わかってはいるが……」


 オーランドが同情を多分に含んだ視線と言葉を送れば、チェーザリオ様も苦い顔で頷く。

 それがあまりにも辛そうで、俺はフォローを絞り出す。


「い、依頼したお店を変えてみたらどうですか?色んな店から別々に来た方がそれっぽく見えると思いますよ」

「そうだな。あと、オレ達が聞き込みした後にあえて同じ所に入って『あいつらは何を聞いていた?より詳しく教えて欲しい』みたいなことを聞いてみたらまた違う情報が手に入るかもしれないぞ」


 レオンさんも一緒にフォローしてくれたが、お互いになんのフォローにもなっていなさそうで冷や汗が止まらない。

 ヤンスさんが冷たい瞳で俺達を見ていた。

 やめて、心折れちゃう……。


 小隊の騎士達をお断りしたとはいえ、こちらは総勢二十二名。

 結構な大所帯だよ、ハハっ。

 以前護衛をした老舗の『グリフォンの嘴』のエーミールさん達でも八人に護衛で俺達六人の十四人だった。

 新興商会が護衛含めて二十人超えというのがどれだけ常識外れなのかって言うね。

 いっそのこと俺達も二手に分かれて、数人は普通のハンターとして潜入してみてもありなんじゃないかな?

 え?ダメ?

 向こうで簡単に合流出来ないし、戦力が足りなくなる、と?

 はい、考えが甘かったです。


「じゃあ馬車をもう一、二台借りる?」

「いや、『烈風』を雇っている体でいこう」

「本当なら厳つい奴らを護衛にした方が良いんだけど『飛竜の庇護』も『三本の槍』もウチのクランだって認知されてるからな。どこまで流れてるかはわからないが、クランの名前と一緒に情報が流れている可能性がある」


 馬車が足りないので追加を提案すれば、レオンさんとヤンスさんから待ったが掛かった。

 気温も上がってきたし、交代で馬車に乗れば良いのだそう。

 朝早く出発すれば日没前には到着するだろうとのことだった。

 『烈風』が“雇われハンター”のふりをするんだって。

 儲けている商会がハンターを子飼いにするのは珍しくないからって。

 ウチのクランメンバーを“子飼いとして育てている新米ハンター”として“雇っているふり”をするとか、なんか頭がこんがらがるよね。

 会議後、オーランドとマックスがハンターギルドに行ってササッと契約をしてきた。



 その晩、宣言通りに影と情報屋から挨拶にきた。


「はじめまして。ヴァルターと申します。これからよろしくお願いします」


 ヴァルターさんは緑の髪と青緑の瞳の二十代中頃の好青年。

 肩甲骨あたりまで伸びた髪を一本に括っている。

 毛量が少ないのか、毛が細いのか、すいているのか俺には判別がつかないが、ヒョロリと流れる細い髪の束は尻尾のようだ。

 穏やかに微笑むその顔は爽やかに腹黒そうで、俺よりもよっぽど“商人”って感じがする。

 背後には雑用係(連絡要員)の男の子達がいるが、誰も彼もが印象が薄く、“どこにでも居そうな十代の少年”ばかりだった。

 街中で一度でも視線を離したら、誰が誰だかわからなくなってしまいそうである。

 彼等は名乗ることもなくぺこりと頭を下げただけだった。


「情報屋から来たクリストフです。どうぞよしなに」


 クリストフさんは小麦色の髪に青い瞳で、デイジーの隣に立てば兄妹ですって言っても違和感が無いくらい見た目の雰囲気が似ている。

 物腰柔らかで、それでいて人懐っこく、笑顔の多い青年だった。

 年はオーランドと同じくらいかな?

 俺より少し上に見える。

 こちらの雑用係(連絡要員)は“ザ・街の悪ガキ共”と言った感じだ。

 万引きされるかも!と警戒はされても、諜報員には絶対に見えない。

 すごく巧妙なラインの選出だ。

 クリストフさんと並んでる姿を見たらご近所の優しいお兄さんと悪たれ坊主軍団って感じだった。


 彼等とはこの日少しだけ話し合い、サクッとお開きにしておいた。

 どうせこれから毎日会うことになるのだ。

 無理に今時間を使う必要はない。

 いつも俺不運をお読みいただきありがとうございます。

 いいね、リアクション、感想、ブックマーク、評価、誤字報告いつもありがとうございます。

 創作の励みにさせていただいています。


 頑張ったのですが出発出来ませんでした。

 しばらくは新しい人や、国、物の説明で全然話が進まなさそうです。

 今しばらくお付き合い下さい。

 ナータンは気持ち悪い。

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― 新着の感想 ―
確かに騎士が多すぎる とはいえ荒事が起こる前提なので戦力は必要 その兼ね合いを取ってのこの人数というところか
キリトさんが皇妃を救い、その折に女神様を降臨させ、皇子皇女に加護を与え(たかのように見え)、皇帝たちから聖人呼ばわりされてると知れば、ウレション噴出しそうですねw
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