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燭蛾  作者: 美輪神 龍也
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第44話 心停止

両手を頭の後ろで組まされた英二と西を、大川、柴崎、若手の組員が遠巻きに囲み銃で狙いを定める。

隆は床にひざまずき、その脳天を大川が銃口で押さえつける。

「西、探したぞ」

おもむろに大川が歩み寄り、素早い動作で西の鼻頭に正拳突きを叩き込む。ぐしゃと鼻の軟骨が潰れ鼻血を垂らした西が顔を歪め、よろける。

西が血の混じった唾を床に吐きだし、怒りで煮えたぎる血走った眼で大川を睨む。

「きさま、俺をそんな目でみるのか……」

「リンは……リンは…なんにも関係ねえ……」

「西、逃げたお前の犠牲になったんだよ、あの女は。お前みたいなクズに惚れて哀れな女だったな…」

「てめぇ…大川……」

怒りでわなわなと震える。

「柴崎、掃除屋に連絡しろ」

柴崎が携帯で屍体処理専門の業者に場所を告げる。

「あの女と同じ葬儀屋にお前らを始末させる。俺なりの情けだ」

「貴様……」

西から離れ大川は英二の前に立ち、顔を覗き込む。

「あんたも厄介な男だな。何者なにもんだ?」

「……西さんとは腐れ縁でな。ただ、隆は、彼は関係無い。帰してやってくれ」

「ほう……」

大川が嫌らしい笑みを浮かべる。

「おい、西の銃よこせ」

大川は若手から受け取った銃を西に渡し、床に落ちていた銃を拾うと英二に渡した。

「柴崎、その隆って野郎の頭から銃離すんじゃねえぞ」

柴崎が隆の頭頂部に銃身を突き立てる。

「西とあんた、銃を構えて向き合え」

二人から離れた大川が指図し、英二と西は三メートルほどの距離で互いに銃を構え向き合う。

「おいあんた。あんたが西を仕留めたら、この隆ってガキを解放してやる」

「……本当だろうな?」

「まぁ、まずは西をれ。話はそれからだ」

大川はただ殺し合いが観たいだけだ。

「おい西!こいつを殺れば、お前を釈放してやる。どっちが先に殺るかだ」

「さあやれ!」


隆がじっと英二を見つめる。

英二は眼球だけを一瞬動かし隆の視線に応える。

英二と西は互いに両手で構えた銃を向け、無言でお互いの眼を探る。

英二の銃を握る手がじわっと汗ばむ。

腕組みをした大川がほくそ笑みを浮かべ眺める。

まだ煙の残る室内を張り詰めた空気が支配する。


英二が靴先で床をトントントンと三回叩く。

西も二回トントンと叩いた瞬間、身体を反転した二人の銃口が火を噴いた。

英二の銃弾が柴崎の左肩を撃ち抜き西の銃弾が若手の太腿を砕く。

隆に駆け寄った英二は、柴崎をアッパー、右ストレート、右アッパー、左フックでどさっと床に這わせる。

隆に肩を貸す英二の背中に大川が銃を向け、引鉄に指をかける。

気付いた西が飛び出し英二に覆い被さる。

大川が歯をきしませ西の背中に全弾を撃ち込む。一発ごとに西の身体がビクッビクッと上下し背中から血飛沫が飛び散る。

西の両手から力が抜け、英二から引き剥がされるように背中からどっと床に倒れ仰向けになる。

西の身体の下から流れ出る血が床の目地を伝い床に溢れ出る。

「西!おい西っ!」

西に被さるようにした英二の顳顬こめかみに大川が銃のグリップを叩き込む。

一瞬で目の前が真っ白になり英二は思わず左手で顔を覆う。ひざまずく英二の襟首を掴み上げた大川は、英二の鳩尾に手刀を突き刺す。うっと息が詰まり前屈みになった鼻骨に右膝蹴りがめり込む。英二は顔面を押さえガクンと両膝をつく。

大川がその左胸に、狙い澄ました右の正拳突きを突き入れる。

心臓にドンッ!と衝撃が走る。

英二の心臓は激しく脈打ち、身体中の血液が一気に心臓に集まる。脳貧血のように目の前が真っ暗になる。ボクシングのハートブレイクショットを大川は正拳突きで放ったのだ。マネキンのように動きがぴたりと止まった英二は電池が切れたかのように、前のめりにがくんと、うつ伏せに倒れた。

英二の心臓が、止まった……。

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