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僕だけスキルツリー ~〈記憶力〉ツリー特化ビルドで最強です!~  作者: イ尹口欠


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第二十話

 僕は〈オンライン接続〉して、オープンフィールドに移動した。

 ポータルとなる拠点は最初の街ファーステリア。

 

 ここには多くの機能が集約された街であり、ほとんどなんでもできる。

 大きな図書館もあるので読書も楽しめる。

 まあこれは〈エンサイクロペディア〉がある僕にはいまさら必要ない書物ばかりなのでスルーするとして。

 

 重要なのは貸し工房だ。

 

 ここで僕は〈鍛冶〉を鍛えることにした。

 鉱石は北の山に行って拾うことができるので、とにかく数をこなしてメインとなる武器を作るのが当面の目標となる。

 

 自前で持ち込んだ武器は物がいいとはいえ、ただの鉄の剣である。

 できれば魔法の武器を鍛えるところまで行きたい。

 

 〈剣技〉レベル7の僕の邪魔になる魔物はファーステリア周辺にはいない。

 レベリングするならサードテリアくらいまで足を伸ばす必要があるのだが、……まあそれはおいおいでいい。

 

 正直なところファーステリア北の山で拾える鉄鉱石で〈鍛冶〉を伸ばしまくってからでいいのだ。

 

 嬉しいのはこのオープンフィールドの季節は街ごとに固定であること。

 ファーステリアは常春の街なので、現実の季節に関わらず薬草採集ができる。

 〈鍛冶〉だけでなく〈錬金術〉も同時に伸ばせるとあって、美味しいのである。

 

 あまり長くオープンフィールドで過ごすと現実との齟齬が出そうなので、留まるのは一日だけにしている。

 一日を現実で過ごしてから、一日をオープンフィールドで過ごす、といった具合だ。

 

 

 

 今年の初夏はフェリシアのいるファーランド領に遊びに行くことになった。

 

「ようこそロイク! 今年もよろしくね!」

 

「うんよろしく、フェリシア」

 

 僕を見つめるフェリシアの目がキラキラと輝いている。

 よっぽど退屈だったんだろうなあ。

 きっと貴族の子女として勉強三昧だったのだろう。

 僕が遊びに来ている間もそれは変わらないとはいえ、それでも自由時間が大幅に増えるのは確かだ。

 

 ところで僕としてはちょっとした実験をしたいと思っている。

 早速、実験開始だ。

 〈フレンド申請〉をフェリシアの抱えているブランコに行使した。

 

 ブランコはピクリと耳を動かしてから、僕の方を見やる。

 意味が分からないか?

 いや、幻獣は人間並みの知性を持つ。

 分からないなりに承認してくれることを祈って……あ、承認された。

 

『ロイクへ

 フレンドとは一体、何ですか?

 フェリシアに害のあるものではないかと思いますが、一応、説明を要求します。

 ブランコより』

 

 早速メッセージが届いた。

 フレンドになると会話だけではなくメールのやりとりもできる。

 便利だ。

 これが人間に使えるならもっと便利だが、まだ早い。

 

『ブランコへ

 フレンドとは友人という意味だよ。

 このようにメッセージをやりとりすることができるんだ。

 僕の秘匿魔術のひとつなんだけど、これがあればフェリシアに万が一の危険が迫った場合に僕に対して救援を要請できたりするし、便利だと思うんだ。

 お気に召したかな?

 ロイクより』

 

『ロイクへ

 理解しました。

 このようなことができるあなたは一体、何者なのですか?

 精霊語を操り、今もまた私の知らない魔術を使う。

 あなたは普通ではありません。

 ブランコより』

 

『ブランコへ

 僕が普通じゃないことは説明しづらい。

 ただフェリシアとブランコにとって敵になることはありえないから、そこは安心してくれ。

 ロイクより』

 

 ブルル、とブランコは鼻を鳴らしてフェリシアの手から離れて、僕のもとへとことこと歩いてくる。

 そして手を舐めた。

 ひとまず親愛の証だと思っておこう。

 

 

 

 夜。

 こっそりとブランコを〈記憶の図書館〉に招き入れた。

 

『ロイクへ

 ここは一体どこですか?

 書庫なのは分かりますが、ファーランド家にこのような場所はありません。

 ブランコより』

 

『ブランコへ

 ここは僕の管理している図書館だ。

 どこからでも入ることができるが、出入りに僕の許可が必要になる。

 ちょっと待っていて欲しい。

 すぐに戻るから。

 ロイクより』

 

 僕だけは一旦〈記憶の図書館〉から出る。

 そして〈オンライン接続〉でオープンフィールドに移動して、再度〈記憶の図書館〉の扉を開いた。

 そこには思った通り、ブランコがやや不機嫌そうな面持ちでこちらを見上げる。

 

「やあブランコ、お待たせ。ここは現実世界とは異なる世界だ。実験に付き合ってもらってありがとう。図書館を介せば、他人を連れてくることができることが分かったのは大きい収穫だ」

 

「がうがう」

 

「あー……メールでのやり取りも面倒だし、ちょっと待っていてくれ」

 

 僕はこの世界で倒した魔物から得た熟練度を消費して、【幻獣語】を習得した。

 

「これで会話が通じると思うけど?」

 

「!? なぜ人間が幻獣語を話すことができるのです!?」

 

「そこはほら。僕って色々と秘密が多いから、詮索は勘弁してよ」

 

「それにしても異常すぎます。それに現実世界とは異なる世界とはどういうことですか。フェリシアの存在が感じ取れません」

 

「この世界にはフェリシアはいないからね。でも安心して。この世界でいくら過ごそうとも、現実世界の時間は静止しているから」

 

「そのような世界が……幻獣界や精霊界ではない、未知の世界ですか……」

 

「そう。ここで僕は修行をしている。一日に一回だけね」

 

「それがロイクの異常な強さの秘密ですか……」

 

 それは違うんだけど、まあ誤解させておくとしよう。

 

「どうだい、ブランコ。君も一緒にこの世界で自分を鍛えてみないか。僕ひとりだと何かあったときに戻れなくなる。ちょっとこの街から遠出したいんだけど、仲間が欲しかったんだ」

 

「危険を冒すということですか? 賛成しかねますが……」

 

「僕ひとりでも問題ないとは思うんだけどね。念の為に保険をかけておきたいと思ったんだ。僕がファーランド領にいる間だけでいいから、付き合って欲しい」

 

「…………自分を鍛える機会、ですか。どのみちロイクの能力がなければ私は元の世界に戻れないのでしょう? あまり好ましいやり口ではありませんが、フェリシアに免じて協力して差し上げましょう」

 

「ありがとう、ブランコ!」

 

 かくして僕はファーランド領にいる間、ブランコとともにサードテリアに向かうことにした。

 サードテリア周辺は今の僕に丁度いい強さの魔物が出現するはずだ。

 上質の鉄鉱石も入手できるし、何ならミスリルだって手に入る。

 

 さあ、さらなる戦力の増強に向かおう!


 ロイク・ルークエンデ(男/9歳)

 

 【魂】

  └【前世の記憶】

 【肉体】

  ├【器用】

  │ └〈剣技〉Lv7

  ├【敏捷】

  │ ├〈回避〉Lv6

  │ ├〈俊足〉Lv4

  │ ├〈軽業〉Lv4

  │ ├〈水泳〉Lv1

  │ └〈跳躍〉Lv1

  ├【感知】

  │ ├〈発見〉Lv2 update!

  │ ├〈索敵〉Lv2

  │ └〈常在戦場〉Lv3

  ├【筋力】

  │ ├〈格闘技〉Lv5

  │ ├〈盾技〉Lv6

  │ ├〈膂力〉Lv4

  │ ├〈瞬発力〉Lv4

  │ └〈鍛冶〉Lv5 update!

  └【体力】

    ├〈持久力〉Lv6 update!

    └〈持久走〉Lv5 update!

 【精神】

  ├【知力】

  │ ├〈集中力〉Lv6

  │ ├〈記憶力〉Lv10

  │ │ ├〈模倣〉Lv5

  │ │ ├〈写真記憶〉Lv5

  │ │ └〈記憶の図書館〉Lv5

  │ │   └〈検索〉Lv3

  │ ├〈錬金術〉Lv6 update!

  │ ├〈指揮〉Lv3

  │ └〈戦術思考〉Lv3

  └【魔力】

    ├〈魔力操作〉Lv6

    ├〈魔術制御〉Lv6

    ├〈魔力圧縮〉Lv5

    ├〈闘気法〉Lv5

    ├【精霊語】

    │ └〈水の精霊術〉Lv2

    ├【幻獣語】

    ├【水属性】

    │ └〈水魔術〉Lv6

    ├【光属性】

    │ └〈光魔術〉Lv4

    └【情報属性】

      └〈情報魔術〉Lv5


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[良い点] ブランコ、意外にもメンド臭いやつでウケる
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