第十二話
「いいか、絶対にここから動くなよ!?」
「はい。分かりました、父上」
武装した父上とアーヴァング先生、イチェリーナ先生、そしてタチアナは兵を率いて森の奥へと向かう。
一部の兵を残して陣地を守るのは、僕の役目だ。
本当のところ、治癒魔術師としてでもついて行きたいところだったのだが、すげなく却下をくらい、こうして陣地でお留守番と相成った。
これでも当初は「屋敷で留守番」だったわけだから、譲歩をもぎ取った結果である。
アーヴァング先生は「実戦経験もあるしゴブリン程度になら遅れは取らない」と太鼓判を押してくれたのだけども。
さすがに森の奥にゴブリンの指揮個体がいるとなると、父上も慎重な判断を下さざるを得なかったらしい。
……ゴブリンの巣かあ、熟練度稼ぎが捗っただろうに。
大量に湧くゴブリンを想像しながら、僕は大人しく椅子に腰掛けて、父たちの帰りを待つ。
事態は急転直下を迎える。
なんと森からゴブリンがチラホラと湧いて出てきたのである!
これ幸いにと僕は剣を抜いたものの、兵士たちが次々とゴブリンを処理していくのを眺めるだけとなった。
いやあ優秀な兵士たちだなあ。
しかし続々とゴブリンが湧き続ける状況に遂に兵士の手が回らなくなり、僕もゴブリン討伐の陣頭指揮を取ることとなった。
もちろん前線指揮官として、自らゴブリンを斬りながら、だ。
「右手、二匹来るぞ、構えろ!」
僕は〈索敵〉を使いながらゴブリンの掃討に精を出す。
できるだけ走り回りながら、中央部分を広めにカバー。
溜まった熟練度で〈指揮〉を習得して、さらなる効率化を図るのも忘れない。
そうこうする内に、森から嫌な予感が迫りつつあることを〈索敵〉が教えてくれた。
どうやら大物がこちらに向かってきているらしい。
……見えた。
普通のゴブリンよりふたまわりほど巨大な、それでいて鎧を身に着け棍棒を持ったゴブリンだ。
〈ディテクト・ステータス〉をかけてみると?
《名前 ゴブリンジェネラル 性別 男 年齢 3
【器用】125 【敏捷】167 【感知】133
【筋力】278 【体力】205 【知力】102
【魔力】180
〈膂力〉Lv5 〈剛力〉Lv3 〈持久力〉Lv4
〈集中力〉Lv3 〈指揮〉Lv3 〈闘気法〉Lv1》
……ヤバい奴が来たぞ?
ロイク・ルークエンデ(男/8歳)
【魂】
└【前世の記憶】
【肉体】
├【器用】
│ └〈剣技〉Lv4
├【敏捷】
│ ├〈俊足〉Lv2
│ ├〈軽業〉Lv2
│ └〈水泳〉Lv1
├【感知】
│ ├〈発見〉Lv1
│ └〈索敵〉Lv2 update!
├【筋力】
│ ├〈格闘技〉Lv3
│ ├〈盾技〉Lv2
│ ├〈膂力〉Lv3
│ └〈瞬発力〉Lv3
└【体力】
├〈持久力〉Lv4
└〈持久走〉Lv1
【精神】
├【知力】
│ ├〈集中力〉Lv4
│ ├〈記憶力〉Lv10
│ │ ├〈模倣〉Lv3
│ │ ├〈写真記憶〉Lv2
│ │ └〈記憶の図書館〉Lv2
│ │ └〈検索〉Lv1
│ ├〈錬金術〉Lv1
│ └〈指揮〉Lv1 new!
└【魔力】
├〈魔力操作〉Lv2
├〈魔術制御〉Lv2
├〈魔力圧縮〉Lv1
├【水属性】
│ └〈水魔術〉Lv3
├【光属性】
│ └〈光魔術〉Lv2
└【情報属性】
└〈情報魔術〉Lv1




