後輩ちゃんの欲
あおちゃん視点です
噂が流れているという事は、週末の休みの時点で友人からのメールで知らされていた。
なので、登校すれば質問攻めが待っているだろうと覚悟して登校した。
案の定、クラスメイトが詰め寄ってくる。
「あの先輩と付き合っているの?」「どんなところが好きなの?」
様々な質問が飛び交う中、私は、どんな気持ちでいたのだろう。
少なくとも、嫌な気分ではなかった。
私と先輩が付き合っているのか付き合っていないのか。
真相を求めているクラスメイト達に対して、きっぱりと「付き合っていない」と言うべきだった。
どうしてだろう、浮かれていたのかな。
私は返答を、はぐらかしてしまった。
受け手にしてみれば、照れ隠しにも見えたかもしれない。
そんな確定でないように見えて、ほぼ確信的な返答をしてしまった。
休憩時間も終わりが近づき、先輩とわずかに時間をずらして教室に戻る。
生徒玄関を通った時、先輩の話声が聞こえた。
私の同級生の人に、私と先輩が付き合っているのかを問われているようだ。
「付き合ってないよ」
先輩はハッキリと告げた。
私が言えなかった言葉を、先輩は簡単に言った。
その瞬間、一気に現実に引き戻された気がして、自分が情けなく思えた。
「何してんだろ、私」
夢を見ることも、できない。
先輩のそのたったの一言が、私の先輩に対する気持ちと、先輩の私に対する違いを表しているかのようで、胸が締め付けられるようだった。
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