後輩ちゃんとニセコイ
「先輩!私と付き合ってください!!」
また突然変なことをあおが言い出した。
なんせさっきまで、すきな水中専用モビルスーツの話をしていたところでいきなりの愛の告白だ。全くついていけれん。
「どうしたの急に。惚れちゃったの?俺に。」
茶化すように言うとあおは、
「ちょ、先輩何言ってるんですか、そんなキメ顔で言われても全然かっこついてないですよ。」
こいつ自分から告白しておいて………。
「で、どうしたの急に。」
これ以上会話をしていると、話が全く進みそうにないので、ミルクティーを一気飲みし、話を切り出す。
「それがですね………。」
話をまとめると、こうだった。
先日、またもや男子に告白を受けたあお。そのあと、女子生徒に「彼氏いないのに振ってばっかりじゃ、男たらしみたい。」と言われたそうで、このままでは友好関係が崩れてしまうかもしれない。
それを阻止したかったあおは、「実は秘密にしていたが彼氏がいる。」と言ったそうだ。
すると、その友人が今度の休日、会いたいと言い出したそうで、断るに断り切れず、結局承諾したらしい。
そして彼氏役なんて頼めるのは俺だけだったので、こうしてお願いされたのだ。
「んや、やだよ。」
もちろん答えはNOだ。
今度の休日は妹と家で映画見ていたい気分なのだ。
「もーなんでですか!」
「だって、面倒だし。だいたい俺とお前じゃ釣り合い取れてないし。」
片や学校のアイドル、片やよくわからん学生君だ。
きっとあおの恋人が俺なんかだと嘘を疑われるに違いない。
「もー先輩ったら、私がいくら超絶美少女だからって気を使わなくてもいいのに。」
そんなことをからかうように言っているあおだが、耳が真っ赤だ。
自分で「超絶美少女」とか言ってて恥ずかしくなりやがったな。
「まぁそこらへんは大丈夫ですよ。秘策があるので。」
そう言ってウインクをしてきた。あざと可愛い。
「それでは今度の休み、よろしくお願いしますね!」
そういってあおは教室に戻っていった。
残された俺は紙カップを投げ入れながら思う。
あれ、学年一の後輩と恋人のふりって結構役得じゃね?
放物線を描きながら放たれた紙カップは、ごみ箱をわずかに外れた。
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