女装女子 あかり視点
【あかり視点】
ほんとうにきれいだなぁ。八王子って王子ってあだ名だけはあるなぁ。私よりずっときれい。ちょっとうらやましいし、憧れるなぁ。大きな瞳に、高身長。顔立ちは端正で、本当の女性より美しい。唇の厚さも艶も色っぽさがある。私にはないものばかり……この人は持っている。
ちょっと女として私の劣っているところが多すぎて嫉妬する。足も細いし……ウエストも細い。私のほうが寸胴だ。
手が触れた。ドキッとする。女同士として歩いているのに、男だと知っていると変に意識している自分が恥ずかしい。
あまり男の人と歩いたことがないからだ。意識していることを悟られないようにしないと。速度をはやめてあるいてみる。
「ちょっと待て――」
八王子が後ろから追いかけて来る。
実は、ある意味私にとっては初デートだ。表向きは女同士だから、デートじゃないけど――私にとってはデートなのだ。筋肉がほどよくついた腕に絡みつきたい……。なんて不埒なことを考えているの? 私の馬鹿馬鹿。
私の飲んだペットボトルを取って勝手に飲んでるし。これって間接キスじゃん。ファーストキスをあっさりと。こいつはきっと慣れているに違いない。こっちは、間接キスくらいでドキドキしているのに。
――きっとモテるんだろうな。
「彼女いないの?」
「いないよ」
意外。この人モテそうなのに。派手なイメージがあるけれど、私と休日女装しているあたり、意外と地味な人なのかな?
「女装ってやっぱり趣味なの?」
あれ? ちょっと焦ってる? 八王子の顔が赤い。ギャル風のメイクとファッションが似合っているなぁ。華やかな男だ。
「今日はお前に付き合ってやっただけだって!!」
「私が男だったら、八王子が女だったら惚れてるなぁ」
あれ……? 八王子動揺している?
「女だったらって男としては魅力ないみたいなこというなよ」
目線をそらしながら会話をする八王子は新鮮だ。
「男としても魅力がないとは言ってないから」
「――あったりまえだろ」
なんだこの距離感。こんな感じで私たちの一日は過ぎていったのだ。
「また来週末ここで待ち合わせしよう」
約束をして八王子の家で、私はメイクを落として着替えて帰宅することに。
「結構、おまえメイクするとかわいいな」
八王子が珍しく褒めてくれた。うれしい――。なんだ? この気持ちは?




