竜騎士になろう
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第四十話 竜騎士になろう
俺はグエルターク商会で算盤を教えた後、木工屋に出向いた。
「おう! チャカチャカ鳴る道具はどうだったかい?」
大将が言うのは、多分算盤の事である。古今東西、算盤を持つとチャカチャカやりたくなるのだろう。木工屋では椅子の材料である丸棒と、大きめの板と小さめの板を貰った。銅貨五枚。余っていた材料臭い。これでパスタを打とうと思う。唐辛子が手に入ればペペロンチーノが作れるのだが、無いので大蒜とチーズで食べよう。因みに自転車、ロードバイクの選手はパスタにチーズを掛けて食べる。余計なカロリーを取らないためにね。やってみたら以外と旨かった。
「さ、これから久しぶりに時間があるよ。何処か楽しい場所に・・・」
俺は言いかけたが、ガレンドールにそんなに楽しい場所などあるわけがない。有るのは酒場と飯屋くらいである。基本的に娯楽が少ないのだ。
「ね、じゃあの串焼き食べよ!」
ゲルが俺の右腕に左腕を絡ませ、中央広場にある屋台に引っ張っていく。ゲルの胸が右腕に当たる。俺は全神経を腕に集中させる。大きい。柔らかい。
串焼きは腸詰めだ。一番無難である。俺とゲルは並んで座って腸詰めを食べる。うん、旨い。
「んんん・・・」
ゲルが変な顔をしている。
「どうした? お腹でも痛いか?」
ゲルは大陸最強級の生物、龍である。食中毒になんか負けない気がする。
「んん? んんん?」
歯に物が挟まった感じだ。背中も搔いている。
「ね、帰ろう。すぐ帰ろう!」
ゲルは俺を引っ張ってミコドールの自宅まで帰ってきた。
「ね、悪いんだけど背中がね・・・」
痒いのか? しかし、家の中で二人至近距離で向かい合っている。ゲルが背中を搔く度にワンピースの胸が強調される。バランスを崩し、俺に胸を押し当て、俺が抱き留める格好になった。
俺は我慢できず、ゲルを抱きしめて唇を奪った。右手で背中をさする。さすると言うよりフェザータッチだ。ゲルは体をぴくりと震わせた。ゲルも俺を抱きしめて来る。幸せだ。
俺が唇を離すと、ゲルは目を綴じたままだった。
「ちょっと、何するのよ・・・ん」
俺はゲルの胸を愛撫し続ける。
「何処触っているの、スケベ・・・背中見て欲しかっただけなのに・・・」
ゲルは後ろを向くと、ワンピースをするりと脱いだ。キャミソールも脱ぎ、お尻を覆う下着一枚になる。余りに美しい体に声が出ない。くびれた腰、豊かなお尻。引き締まって上を向いている。
「凄く綺麗だ、ゲル」
「もう、いいから! 背中を見てよ! スケベ!」
ゲルの背中はとても綺麗で、特に何もおかしな所がない。
「何ともないよ」
「本当? あ」
ゲルがこちらを向いた。綺麗で、大きくて、張りのある胸があらわになる。ゲルはそのまましゃがみ込んで胸を隠す。
「もう! 見たでしょう! えっち!」
俺は再びゲルを抱き寄せた。ゲルは俺にまだ心を開いてくれていない。だが、抱き寄せても特に嫌な感じでは無いようだ。俺は心を決めた。
「ゲル、キスして良いか」
「どうしよっかな」
「大好きだ、ゲル」
「うん」
「ね、こうしているとどんな感じなの。俺は幸せで一杯だ」
「うん」
「うんじゃわからないよ」
「教えてあげな・・・」
俺は再び唇を重ねる。俺はゲルをベッドに押し倒した。
「ゴメン。ゲルの事で頭がいっぱいなんだ。もう」
俺は何を言って良いのかわからないまま、ゲルの下着を脱がした。ゲルは俺を受け入れた。俺たちは一つになった。何度も、何度も一つになり、何度も果てた。
夕刻、微睡みから覚めた。俺の腕の中にはゲルがいた。上目使いで俺を見てはにかんでいる。幸せが込み上げてくる。
「どうして、背中を見て貰うだけでエージとしちゃうの、もう。スケベ」
「嫌だった?」
「もう! うちさ、龍だからエージの子供を産んであげれないと思うんだ。龍は子供を産みにくいの。だから、抱いても良いけど本気にならないでね。別れるのが辛くなるからさ。エージはセリーリアとか人間の子がいいよ」
「・・・」
「それにね、私はほとんど年を取らないから、十年後も同じ顔。人間は十五才、二十才、二十五才、全て顔が違うわ。私が住めるのは五年くらい。五年したらここを出ていくから。だから、これ以上抱かれると、うちは本当にエージを好きになってしまうよ。辛くて辛くて仕方ないよ。エージとキスする度、胸が張り裂けそうになるの。エージに抱かれた時、嬉しかったけどとても悲しかったの。今もどうして良いのかわからない。又一人になるのは嫌なの。でもでも」
俺はゲルをそっと抱く。ゲルは俺の胸で泣いている。
「ゲル、俺の正体を教えるから、聞いてね。俺は召還魂の巻き込まれなんだ。俺の魂は元々違う世界にいたよ。ゲルと別れると、今度は俺もひとりぼっちになる」
「召還魂・・・エージのその頭の中は違う世界の知識なんだね」
「うん。このまま行くと、俺はセリーリアかマーヤレーナと結婚しそうだよね」
「まぁマーヤレーナさんはエージを心酔しているから、そのうち求婚が来るよ。命令に近いかもね」
「だから、ゲルと結婚したい。俺はグエルターク商会や、貴族やらの中で生きたくないんだ。元々の世界がそういう感じで、辛い日々だったんだ。もう自由に生きたいんだ。こっちに来て、ゲルがいて、鎧買うときゲルの裸見て、そこからゲルを好きになったんだ。だから、ゲルが旅立つなら俺も行く。寂しいから一人にしないでくれ」
「何言っているのよ。ワイヴァーンアックス商会はエージのために作ったんだよ?」
「わかってくれるさ。ちゃんと製法は残していくよ」
「うん。子供産めないよ。いいの?」
「・・・大地の女神様にお願いしたら出来そうな気がするんだ」
俺は深呼吸する。目を綴じて祈り始める。
「大地の女神様、俺とゲルは結婚します。時期が来たらゲルと俺の子供が欲しいです。力をお貸し下さい」
俺が大地の女神、ゲルの母親にお願いするとゲルの体が真っ赤に火照った。
「絶対産める、産める」
ゲルはのけぞり始めた。俺とゲルはひとつになった。
「はあ、はあ、はははは、あはははは。おっかしい。あははは。もう、おかしいじゃない。あははは。うちは何を心配していたのかな。あはははは。出て行くかはともかく、今日からウチはエージのものだね。ね、結婚はちょっと待って。なんだか心の整理がね。でも結婚を断るのにウチを使って良いよ。たぶんその時には心も落ち着いているから」
「ありがとう。友達から、恋人になった、で良いかな」
「うん」
「ね、出会って直ぐに本名を教えたよね。あれって家族にしか教えちゃいけないんだ。家族にならないのなら、殺さないといけないの。ゴメンね。ちょっとほっとしてる」
「・・・」
「あとね、ダンジョンの管理権限の時、魔力を通したよね。魔法使いではね、異性に魔力を通すことはあれをするより凄いことなんだ。恋人とか夫婦でしかしないの」
「そうか・・・」
「フレヤさん、どっちも知っているから。アハハ。早く結婚してって言いなさいと何回も言われたよ。ゴメンね。実はとっくに夫婦っぽかったんだ」
「ええええ?」
「怒っていない?」
「びっくりした。怒るわけ無いだろ、嬉しい位だ。あ、そうしたらフレヤさんには全て筒抜けか。今日した事も・・・」
「でね、最後に、白龍の竜騎士になってほしいんだ、エージ。エージ以外に乗られたくないよ」
「うん。俺でいいのか」
「もう。散々しちゃったのに!」
「今日から竜騎士エージ・サクヤマか」
「うん。じゃぁ早速乗って欲しいの。背中の鱗が痒くて堪らないの。乗って貰わないと鱗を剥がせないよね。たぶん剥がれ掛かってる。鱗を見て欲しかっただけなのに、全てをエージにあげちゃった」
「仕方ないだろ、突然裸になるんだから。あれは絶対にゲルが悪い!」
「そうかもね」
俺はゲルを抱きしめ、軽くキスをした。俺たちは服を着て外に出た。
「じゃ、龍に戻るよ」
ゲルは純白の龍に戻る。ゲルは龍でも美しく、気高かった。ゲルが頭を下げたので、俺は背に飛び乗った。背というより、首の付け根にのる。
首筋の鱗が四枚ほど剥がれ掛かっている。鱗は引っ張ると簡単に抜けた。
「抜けたよ」
「・・・エージにあげるね。防具にするといいよ」
「うん、ありがとう」
俺はゲルから飛び降りる。
「ね、口も見て。牙が抜けそうなの。最後の乳歯ね」
ゲルが口を開ける。巨大な口だ。俺など一のみだ。鋭い牙が並んでいるが。下あごの牙が一本、グラグラしている。俺は牙を手に持つと前後に揺すると簡単に抜けた。
「抜けたよ」
俺はゲルの鼻をゴシゴシする。少し湿っている。犬みたいだ。家に鱗と牙を置いてくる。俺は再びゲルに乗る。
「ね、少し飛ぼうぜ」
「何処に行くの?」
「決まってる。大海原だ!」
お読み頂き、ありがとうございます。
めでたく、エージが竜騎士になりました。




