Ⅲ-2 天使はどうやら神の遣いのようです。
とりあえずカズミとユアを追い出し、天使のような格好をしている痛い奴と対面する。
「おまえ、誰だ」
「おまえとは無礼ね。まぁいいわ。答えてあげる」
いちいち上から目線だな。
「あたくしは天界より遣えし天使見習いのシューア・ハンデルよ。あなたを監視するよう神に言われて来たの」
……なんでこうも立て続けに巻き込まれるんだ、オレは。
しかも意味がわからんことばかりだ。
悪霊でも憑いてんのか?
「神って誰だよ」
「気高きミカエル様よ」
「……」
「なにそのあからさまに疑ってるようなジト目は」
「疑ってるんだよっ。いきなり押し寄せて自分は天使で天界にいる神に遣われてやって来たなんて言われて、すぐに信じると思うか?いねぇよ!」
「うるさい奴隷ね」
「誰が奴隷だ!」
「あんたよ。監視対象だから奴隷と呼んでなにがわるいのよ」
「悪いわっ。だったらまだ下僕と呼ばれた方がまだマシだ…っ」
「じゃあ下僕」
「だからと言ってそう呼んでいいとは言ってねぇっ!」
「本当にうるさい下僕ね」
「誰のせいだ誰の……!」
ワンピースのような薄い布の上からはわからないような小さい胸をしてるクセに、言うことばかり上から目線なのがムカつくぜ……っ。
「どうしてこんな奴が世界を揺るがす程の力を持ってるなんてミカエル様は仰ったんだろう?不思議不思議でしょうがないわ」
今とても変なフラグが立ちそうな台詞を吐いたぞこいつ……。
「ねぇ下僕、あなたって本当に何者?」
「知るか!」
「知らないはずないでしょう?あなた自身のことなんだから」
「知っててもおまえには教えねぇ」
「うるさい上にこのあたくしに楯突くのね」
――カチャ
頭に固いものを突き付けられた。
「言うこと聞かないと……死なすわよ?」
向けられたのは銃口。
天使が持っているとは予測できるはずのないものがオレの脳天を今にもぶち抜こうとしている。
「死にたいの?答えないと、引き金引くわよ」
オレは脅されていた。
天使とは思えない道徳から外れた行為で、オレは選択肢を一方通行に選ばざるを得なかった。