Ⅲ-3 天使は泣き出す始末で。
鉄の固さが頭、脳天に中る所を支配して、オレの動きを封じられている。
この場合、どうすることもできない。何故なら、召喚すらされていないオレはただの一般人。異界に行った時にしか力は得られないのだから。
「さあ、どうするの?大人しく知ってることを全部吐くか、このままあの世行きになるか。好きな方を選ばせてあげる」
「……選ばなかったらどうなる」
「それはね……ふふ」
悪魔のような微笑みをして天使は唇を舐める。
「あんたを一生あたくしの従順な下僕として手元に置いといてあ・げ・る」
どれもいやな選択だった。
というかオレの人権は軽く無視とは……これはどうやら人生最大の危機のようだ。
「答えは……」
「ん?答えはなあに?ふふふ」
上から目線な天使を睨み、オレは一つの策を興じた。
「お断りだ!」
「――なっ」
それは強行突破。
向けられた銃口を素早く反らして相手に飛び付き上半身に乗ってマウントポジションを取り、手早く腕を掴んで身動きをさせないようにする。
油断していてくれたおかげでこっちもそれなりにやり易かった。
見事に成功したものだ。
「これでどうだ!もうなにもできまいっ」
「ちょ、ちょっと……っ。何するのよ!」
「それはこっち台詞だっつの。オレを脅迫してただで済むとは思うなよ」
「うぅ~~~~っ。どうしてこうなるのよ~~っ!」
天使は上半身が使えない為足をバタつかせる。単純な腕力ではオレには勝てない。それは見た目通りの結果だったわけだ。
「ちょっと脅かして楽しんでから頼みごとをしようとしてただけなのに~~っっ。ミカエル様~~っ。うぇええええぇえんっ!!」
突然天使は泣き出した。
意味がわからない。先に手を出したのは相手だ。オレがなに言われようがそれは負け犬の遠吠えにしかならないはずだ。
それなのに……
「もうやだっ。こんな仕事もういや!あんたと一緒にあたくしも死ぬわっ。もう生きていてもどうしようもないのよ~っ」
どうしてかオレの方が悪みたいな、そんな位置にいた。
……なんでなんだよ。




