Ⅲ-5 天使が聞き捨てならないことを言い出して。
自宅の自分の部屋で引きこもり、ネット通販のクリムゾンさんでグッズを買い込み、萌えるアニメや燃えるアニメを観ながらネットの掲示板でリアルタイム生中継をするなどetc.をするのがオレの日課だ。
――が。
オレはある日勇者として異世界『シンフォニア』に召喚されてから生活が、日常が狂い出したのだった。
今日も今日とて魔女っ娘の萌えアニメ、【マジカルハート☆プリティアサちゃん】を観ていたのだが……、
「何、この幼児アニメ?これ男が見るものじゃないような」
「おまえごときに何がわかる。つまらん戯れ言ほざくならさっさと天界とやらに消え去れバカ天使」
「――んなっ。わたくしをバカ呼ばわりするなんて、とんだ腐れ外道ですわ!下僕のクセに生意気よ!」
「下僕になった覚えはない。と言うか、いい加減服着やがれ服を……!」
見れば最初はツインテールだった髪を卸し、今はワンピースではなくぶかぶかのワイシャツを着ている。しかも下は(青と白の)縞パン着用で他は何も着ていない。
「着てるじゃない」
「それのどこが服なんだっ」
「いいのよ。わたくしはこれが気に入ったのだから。それに、これ貴方様の匂いがしますの」
なんだか照れるようなことをさらっと言われた気がする。
「きもちわるいこと言ってねぇでさっさと元の服装に戻れ」
昨日風呂上がりに着替える服がないとかで代わりに貸したらなぜか気に召してこれを随時着用するようになった。
といっても、こいつとは昨日今日の出会いではあるが。
「いやよ。わたくしはわたくしの好きな格好でいますの。下僕な貴方様に指図されるのは聞き入ることはないのよ」
このしたり顔で居座られるのはどうかしてほしい。
「てか、なんだよ貴方様って。意味わからんぞ」
「婚約者である奴隷を下僕呼ばわりしたり貴方様と慕っても問題はありませんの」
「はぁ?本当に意味わからん――て、はあ!?婚約者ぁあ!?」
「そうよ。言わなかったっけ?貴方様はわたくしの婚約者なの。だってあんな風に男らしく押し倒されて……んんんっ、あっ……きゅんって胸に来ましたの。だから下僕といっしょに婚約者に決めましたの」
んな無茶苦茶な……自分勝手のご都合主義にも程がある。
恍惚な表情で悦に浸る天使。
「何勝手なこと言ってるんだ!オレはぜってー認めないぞ!」
「認めさせてあげるわ下僕」
上目に妖艶に微笑む天使の顔は、悪魔顔負けの腹黒さを秘めていた。




