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迷い猫と錆びた加護  作者: 彼鳥 経
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27.迷い猫と錆びた加護

 納税から数週間後,ガルドは探し屋の依頼を終えて宿へと戻っていた.

 路地裏を抜けて宿の前の階段へと向かうと,まずは郵便受けから束を取り出し,閉じたドアの取っ手に手を掛ける.

 ドアを開けるとフェルーザとラゼルトの小競り合いが聞こえてくる.応接スペースには我関せずと新聞を広げる常連客.そんな常連に一声かけてからガルドはフロントへ腰かける.

 フロントからの眺めは少し変化していた.

 ロビー脇の応接スペースの脇にはあらたにカウンターが設けられ,そちらはギルドの受付になっている.そこではラゼルトとフェルーザがなにやらやり合っている.フェルーザの神の事業は和平が目的だったのではと思うが,ラゼルトは適用対象外なのだろう.

 ガルドは「所有権移転通知」と書かれた封筒をちらりと見ると,そのままフロントの下にしまい込んだ.そして,ギルドカウンターの騒々しいやり取りを眺める.

 その隣では,頬杖をついたティオがやはりラゼルトたちを眺めている.フロントの下には,見えない相棒のために少し足の長い椅子が設えられたが,誰も気に掛けはしない.


 ラゼルトが言ったように,地下室で見つけた書類を世間に公表すれば世界はなにか変わったのかもしれない.

 しかし,ガルドは変えないことを選択した.いや,そんなことをしても変えられないことを知っていたのかもしれない.

 いずれにしても,ガルドは変わった.それもたぶんいい方向にだ.ティオはガルドを見ると短く,声を出さずに鳴くふりをした.


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