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第14物語 追憶のヴァラルフ陛下

 "我が国は資材不足だ。レイヴェン諸国から捨てられたか?"


「……ワシはこの監獄の鳥(リバートプリズン)内でどれくらい過ごしたんじゃ……? 保全を急ぎすぎた故、他のことを考えておらんかった……」


 それは、1人の老人男性だった。

ファンタジー世界でよく見るタイプの国王らしいフォルム……かと思われたが、老人と言うにはまだ初老のように思えるほどに若々しさが残る。

年齢にして50代前半程だろうか。

綺麗な宝石をあしらってる訳でもない羽毛でできただけのシンプルな羽織ものに、プラスチックで出来たような質の悪いおもちゃのような王冠、虫食いだらけでツギハギが目立つクッションが付いた玉座などなど、アルヒェの部屋とはうってかわってかなり貧困が目立つような部屋である。

国王は現在自身の能力で作り上げた安全な部屋に閉じこもっているが、どこか憂鬱そうだ。


「ワシの判断は間違っていたのだろうか? いいや、レイヴェン諸国の奴がこっちに物資をよこさないから奪ってやろうとしただけ……。同盟を組んでおったはずなのになにをしておったんだ……。少しふりかえってみるか」


 国王は過去の記憶を遡ることにした。

それは、この世界や国が破滅することになる5年ほど前の話。

創造者(リビルド)の数も、5億9666万5324人と中途半端だった頃の話。

まだあの頃は、今よりは平和だった……


◇◇◇


「陛下、レイヴェン諸国の創造者(リビルド)様が陛下に御用があるといいお見えになられました。どうされますか?」


「そうか、あのものが参られたか。通せアルヒェよ」


「ハッ」


 国王の前に居たのは、片膝を地面に付けて頭を下げ敬意を払う態度で国王に通達しに来たアルヒェだった。

強固かつどこか身軽そうな軽装防具を身にまとうその姿は、一瞬剣姫と見間違うほどだが、だれもアルヒェの性別を知るものはいない。

国王の指示で、客人を連れてくる許可が降りた為1度その場からは直ぐに姿を消した。


「……との事ですので、リピート・エール様直ぐに陛下の元へお向かいください」


「ほいほーい。リピーちゃんいくねー! 」


 リピートと呼ばれた創造者(リビルド)は、ヴァラルフ城内にある客人の待機室とも言えるような場所にて待機していた。

その部屋は大人二人が座れる程度のソファーが2つ置いてあり、いくつかの絵画が壁にかけられており縦長の振り子時計も設置されている。

アルヒェに"陛下に聞いてくるのでお待ちください"と言われて待機していたのだ。

丁寧に緑茶や茶菓子まで出して貰えて、待遇はバッチリである。

 そうして待つこと約10分ほどでアルヒェが戻り、許可が降りたことが分かれば席をたち、王室へと向かう。


「おおリピートや、久しいな。立ち話もあれじゃから、そこに腰かけなさい」


 王室にてノックし中に入る。

付き合い自体はそこそこ長いため、すぐに入っても問題は無い。

元々礼儀意識が薄いのもあるが……。

そして、リピートが入ってきたことも相まって、国王は近くに椅子を用意しそこに座るように促す。


「いえいえーいいのよー。今日はひとつお話だけしに来ただけやからねー。なんのはなしかってー?」


――――"裏切り者に罰を与える話を"


 そうリピートが口にした瞬間、全身が白く光る稲妻に覆い尽くされる。

リピートの周りにも小さな稲妻が鳴り響く。

しかしこの音に国王以外は気づいていないのだろうか、異変を察知している様子もない。


「! リピート! どういうつもりじゃっ。裏切り者って……」


「おやおやヴァラルフ国王さんわすれたのー? キミは無許可で私の国の資材を奪った。最初こそ見逃したが、2度や3度と立て続けに盗まれてはこっちもたまったもんじゃない。ちゃんとお口があるのだから伝えてくれればいいだけですのにー」


 リピートにただよう稲妻は、次第に1つの装備のような服装になった。

所々稲妻の形が残るギザギザ模様のダメージスカートのような容姿に、露出度がやや高めの上半身となかなか奇抜な服装に変わっていて、髪の毛も静電気で逆立っている。


「そっそれは悪かった。契約を守らなかったワシが悪いのは謝る。じゃから許してはくれぬか? 」


「今更命乞いなんて……。まぁでも、直々に殺してもつまらないから戦争をしようよ。それで勝てた方は言うことを聞けるし自分のモノにできる。どうかな?」


「いっ、いいじゃろ! ワシはリピートなんぞに負けはせんからな!」


◇◇◇


 今思えば、人のものを勝手にとってはいけないという子供の頃から教わった当たり前のことを守ってなかった自分に、最初から勝ち目はなかったのではと国王は考える。


「リピート……。いまならお主の言うことはわかる。じゃが! ワシはまだまけたわけではおらぬ! 下克上を目論んでる愚か者が直にワシを殺しにくるじゃろうが、諦めぬぞ! 」


 国王は覚悟を決めていた。

寝首を狩られない為にもあれから一睡もしていない。

何故5年もかかったかと言うと、互いに今に至るまで実力が似通っていたからだ。

だが、国王の怠惰が不幸を招きヴァラルフ国王は滅亡しかけているのだった。

 このまま黙ってプルミエ達に殺されるくらいなら抗ってやると軽く思考しつつ……。

名前:狭山千夜

新たな名前:プルミエ・エール

2つ名:創造者(リビルド)

基礎能力:真言ノ刻(リフィクション)


強み:知識さえあれば、地の文(えいしょう)を使用して創造・改ざんが可能。

弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。


応用能力:華癒ノ陣(ブロッサムキュア)


強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。


弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。

既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。

また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。


仲間:ヨリィー・ディメンション

仲間の愛称:よーちゃん


ヨリィーの能力:物語添削(リバーストーリー)


強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。


弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。

相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。

サポート特化なのに添削元に力を与えれない。


仲間:アルヒェ・ハイリヒ


役職:幻想の方舟/騎士団長


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