第13物語 下克上の前触れ
"王は傲慢に包まれていた。自分が負けるはずは無いと"
朝の目覚めは大して良くない。
窓から差し込む太陽の光で目が覚めたからでは無いし、ヨリィーの寝相が悪くてずっと体を蹴られてたからでもない。
思っての他おしとやかに寝らないアルヒェのいびきで目が覚めた訳でもない。
この世界に転移してから3日目の朝、正直眠気も残るし体の疲労感というのは完全に拭いきれていないが、この日のためにと気づいたら目が覚めていた。
ついに今日は作戦決行日。
もう少し時間をかけてからの方が良いのではとは思ったが、いつ国王陛下が起きてきても面倒なので早いところ封印しておこうと考えたのだ。
「ふぁあ……もう朝、かあ。2人ともおきてー」
「んんっ……もうすこ、し……」
「はっ、おはようございますプルミエさん。お早いのですね」
ベッドは2人に貸してた為に、アルヒェは床にクッションを敷いたりして身体を痛めないようにしていたようだ。
「よく寝れはしたけど……今日のことを考えるとどうしても、ね」
「そうですか……。ボクこう見えて朝には弱い方なので、羨ましいですぅ…」
アルヒェとプルミエの2人は、寝起きながらに軽く話をしていた。
今日の下克上を達成させるための、軽いコミュニケーションである。
少し遅れてヨリィーも目が覚めた。
「んんっー。あら、2人もう起きてたのね」
軽く背伸びをしながら、2人をみる。
おはようと声をかけることはヨリィーからはしないが、寝起きだからか眠たげな顔をしている。
「今日は作戦決行の日だよ。といっても詳しく話し合った訳じゃないけど……」
「ずさんな作戦管理ですが……正直なところこれくらい雑な方が今回の作戦は突破できる気がします」
「寝起きだからあんまり頭回らないけど、ウチもそれでいけるきがする」
まるでその場の気分で決めたようなノリの作戦だが、国王陛下自身が殴り込んでくるような事態にでもならないかぎりはこの戦いは勝てるだろうと見込んでいる。
何せ、肝心の国王陛下は安全な部屋で自身の応用能力を使って籠っているのだから……。
「場所は心当たりあるの?国王陛下がいるところの」
「はいっ。こうなる以前は陛下の直属の騎士だったので……」
「右腕だった……。それなら心配いらなそう」
「いえ右腕ってほどではありませんよ。信頼はされてましたが陛下の傍にはいませんでしたし」
「そうなんだ」
直属の騎士とはいっても、あくまで親衛隊のような立ち位置だったと言うだけである。
「とにかく、倒しに行くならこんな無駄話をしてる暇はないわね。さっさと行動してしまいましょ」
「そうですね。早いところ決着を付けないといけません」
「上手く封じ込めることが出来ればいいんだけどね……」
プルミエの不安もさることながら、3人は下克上に向けた準備を始める。
装備の調達もあるが、直ぐに行くのではなく軽く偵察もしている。
装備の調達はプルミエの力と、元々置いてあった装備などを駆使する。
偵察は小柄なヨリィーが城内を探索する。
作戦の調整や指示などはアルヒェが行うという形で落ち着いた。
下克上前の狼煙は、静かに上がっている。
陛下には既に勘づかれている可能性もあるが、いまさらコソコソも出来ないが故に、互いに死なないようにアルヒェの部屋に戻ってくるようにと約束した。
プルミエも装備を作ってから行動を開始するからである。
無線機代わりの魔導器を耳に当てて、3人は行動を開始したのだった。
名前:狭山千夜
新たな名前:プルミエ・エール
2つ名:創造者
基礎能力:真言ノ刻
強み:知識さえあれば、地の文を使用して創造・改ざんが可能。
弱み:使用者の知識が壊滅的だと意味をなさない。仮に知識があっても世界の都合のいいように"添削"される。
応用能力:華癒ノ陣
強み:死亡以外ならあらゆる生命をジャスミンの花の香りで治癒出来てしまう。例え部位が欠損しようと、痛みを伴ってもその痛みすら忘れ失った部位が再生する。
弱み:半径300m圏内でしか効果がなく、怪我人を範囲内に連れていくかその範囲内で怪我をするかしないと発動しない。
既にこの世から魂がはなれた死体は蘇生できない。
また、範囲内なら死んでさえ居なければ敵味方問わないため利敵行為として利用されやすい。
仲間:ヨリィー・ディメンション
仲間の愛称:よーちゃん
ヨリィーの能力:物語添削
強み:対象の添削可能範囲を見つけ、それを添削し自分の力として創造・改善出来る。
弱み:サポート特化故に、攻撃用として能力を行使するのは実質不可能。
相手の方が技量を上回れば添削は行えないため能力は使えない。
サポート特化なのに添削元に力を与えれない。
仲間:アルヒェ・ハイリヒ
役職:幻想の方舟/騎士団長




