34話 捕らえた四天王
「貴様ら、騎士道精神を知らんのか!? 不意打ちとはなんと卑怯な!?」
檻の中、ガシャリと拘束用の鎖を鳴らして抗議したのは、誰あろう自称魔王軍四天王のアイルその人だった。
「いきなり攻め込んできたお前が言うのか……?」
しかも自称魔王軍四天王なのに。
ただ、驚くべきことに、アイルは俺の封印術とルーナのブレスを食らっても気絶程度で済んでいた。
だからこそこうして封印術の鎖で拘束している訳だが、只者でないのは間違いない。
「くっ、このまま妾を辱めるつもりか……!?」
「まずは事情を聞きたいだけだ。どうするかはその後だな」
別に辱めたりはしないが。
今は突然の魔物の群れ襲来で、竜の国も混乱している。
野生の魔物はテイム中のグリフォンの縄張りに入らない筈だが、アイルに統率されていたためか、あの魔物たちは竜の国付近にまで迫っていた。
どうやってあんな数の魔物を操っていたのか、なぜミルフィを狙ったのかも含めて全てを聞き出さなくては……そう思っていたのだが。
「その後だと!? つまり事情を聞いた後、鎖で縛った妾に貴様の獣欲をぶつけるつもりか!? くっ、妾の体は好きにできても心までは自由にできると思うな……!」
「……話、聞いてるか?」
物凄く思い込みが激しそうな魔王軍四天王である。
「はっ、もしやイグル王国で水精霊を妾の配下から強奪したのも、全ては妾をおびき出して捕らえるためか!? そして滾る欲望を妾の瑞々しい肢体にぶつけようという計画だったのでは……! ……はうっ!?」
……アイルは何故か顔を赤らめ、色っぽい声をあげていた。
こっちを潤んだ瞳でチラチラ見ているが……まさかそっちの趣味なのか。
ついでにミルフィを誘拐したのがアイルの配下の者だと喋ったも同然なので、この子は相当口も軽いことも分かったが……。
『ほう。わたしの相棒に色仕掛けとはいい度胸ですね?』
「待て、待ってくれルーナ。頼むから魔力の解放を抑えてくれ」
むくれたルーナは人間の姿のまま、拳にブレスのような光を溜め込んでいた。
よほどアイルの態度がお気に召さないと見える。
「くっ、今度は妾をボロ雑巾のようにして屈服させ、抵抗できないようにした後で獣欲をぶつけようと言う算段か……!? しかもそこの女と一緒にっ!! ……はうぅっ……!!」
「……いや、もういい。もういいから静かにしてくれ……」
アイルは色っぽい声を出して体をくねらせているし、明らかに高度な趣味の持ち主だった。
まさかその扇情的な服装もそっちの趣味があるからじゃないだろうな。
こんな調子では事情を聞き出すどころじゃないし、ルーナに至ってはもっと怒りそうだから勘弁して欲しい。
……アイルのこんな態度から、事情を聞き出すのは後日となり、彼女は何を妄想していたのか一晩中艶っぽい声を上げていたとか。
そして俺は一晩中、ロアナの猫耳を塞いで眠ることになった。
「お兄ちゃん。どうしてあたしの耳をぎゅって塞ぐの?」
「魔族の声が聞こえるからだ。……それもとびっきり教育に悪い感じのやつ」
まだまだ幼さが抜け切らないロアナに悪影響が出ないことを祈るばかりだった。
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